国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ルワンダの羊肉生産量は1961年の804トンから2023年の2,597トンまで推移しています。特に2010年以降、生産量は大幅に増加した時期がありましたが、2019年を境に減少傾向にあります。2023年の生産量は、過去10年のピークである2015年の6,630トンと比較すると約61%減少しており、この低迷には複数の要因が絡んでいる可能性があります。
ルワンダの羊肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
---|---|---|
2023年 | 2,597 |
-7.61% ↓
|
2022年 | 2,811 |
-15.95% ↓
|
2021年 | 3,345 |
-6.7% ↓
|
2020年 | 3,585 |
-19.62% ↓
|
2019年 | 4,460 |
-14.62% ↓
|
2018年 | 5,224 |
-10.04% ↓
|
2017年 | 5,807 |
2.57% ↑
|
2016年 | 5,662 |
-14.6% ↓
|
2015年 | 6,630 |
9.98% ↑
|
2014年 | 6,028 |
3.9% ↑
|
2013年 | 5,802 |
3.92% ↑
|
2012年 | 5,583 |
5% ↑
|
2011年 | 5,317 |
5% ↑
|
2010年 | 5,064 |
224.62% ↑
|
2009年 | 1,560 |
10.17% ↑
|
2008年 | 1,416 | - |
2007年 | 1,416 | - |
2006年 | 1,416 |
2.61% ↑
|
2005年 | 1,380 |
-1.71% ↓
|
2004年 | 1,404 |
25.89% ↑
|
2003年 | 1,115 |
23.92% ↑
|
2002年 | 900 |
7.14% ↑
|
2001年 | 840 |
12.9% ↑
|
2000年 | 744 |
-7.46% ↓
|
1999年 | 804 |
42.55% ↑
|
1998年 | 564 |
-21.67% ↓
|
1997年 | 720 |
5.26% ↑
|
1996年 | 684 |
14% ↑
|
1995年 | 600 |
-45.65% ↓
|
1994年 | 1,104 |
8.24% ↑
|
1993年 | 1,020 | - |
1992年 | 1,020 |
1.19% ↑
|
1991年 | 1,008 |
1.2% ↑
|
1990年 | 996 |
1.22% ↑
|
1989年 | 984 |
7.89% ↑
|
1988年 | 912 |
1.33% ↑
|
1987年 | 900 |
4.17% ↑
|
1986年 | 864 |
-4% ↓
|
1985年 | 900 |
4.17% ↑
|
1984年 | 864 |
2.29% ↑
|
1983年 | 845 |
-1.73% ↓
|
1982年 | 860 |
-0.51% ↓
|
1981年 | 864 |
-4% ↓
|
1980年 | 900 |
13.64% ↑
|
1979年 | 792 |
1.54% ↑
|
1978年 | 780 |
1.56% ↑
|
1977年 | 768 |
0.63% ↑
|
1976年 | 763 |
-2.15% ↓
|
1975年 | 780 |
25% ↑
|
1974年 | 624 |
-17.46% ↓
|
1973年 | 756 |
23.53% ↑
|
1972年 | 612 |
8.51% ↑
|
1971年 | 564 | - |
1970年 | 564 |
30.56% ↑
|
1969年 | 432 |
-20% ↓
|
1968年 | 540 |
40.63% ↑
|
1967年 | 384 |
-8.57% ↓
|
1966年 | 420 |
-22.22% ↓
|
1965年 | 540 |
28.57% ↑
|
1964年 | 420 |
-33.96% ↓
|
1963年 | 636 |
-19.7% ↓
|
1962年 | 792 |
-1.49% ↓
|
1961年 | 804 | - |
ルワンダの羊肉生産量の推移を見ると、1960年代から1980年代半ばまでは比較的緩やかな増加が見られます。その後、1994年に発生したルワンダの大虐殺の影響を受け、同年の生産量が一時的に1,104トンと増加したものの、1995年には一気に600トンまで落ち込むなど、社会不安が生産に与えるリスクの大きさがうかがえます。ただし、2000年代以降は、政策的な安定や農業支援プログラムにより着実な回復を遂げ、特に2010年から2015年にかけて急激な増加を記録しています。この期間には、持続可能な農業技術の導入や食料自給率向上政策が大きく寄与したと考えられます。
しかしながら、2019年以降、羊肉生産量は顕著に減少し続けています。この背景には、気候変動による降雨パターンの不安定さ、農村部の資源争奪、あるいはパンデミックの影響による物流の問題などが考えられます。具体的には、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、物流や市場の需要が混乱したことも生産減少を加速させた要因の一つでしょう。
特に注目すべきは、ルワンダの地政学的背景です。隣国との国境問題や紛争の影響が畜産業に波及し、農村地域の経済活動を制限するリスクがあります。また、羊肉の生産には土地利用や飼料供給の確保が重要ですが、ルワンダは国土面積が小さく、農地の競争が激しいため、畜産業の拡大には限界があります。
現状を改善するためには、いくつかの具体的な施策が必要です。例えば、気候変動への対応として灌漑システムや耐乾性の高い飼料植物の導入を進めることが挙げられます。また、国際協力を活用し、高付加価値商品の開発や輸出の振興を促進することも有効でしょう。さらに、農家や畜産業者に対する教育と技術支援を拡大し、持続可能な生産モデルを採用することで生産の安定性を向上させることが期待されます。
結論として、ルワンダの羊肉生産量は過去数十年にわたり波動的な動きをしており、近年は持続可能な成長に向けた課題が顕在化しています。国際機関や地域政府の連携を強化し、地政学的リスクや気候変動の影響を軽減するための計画的な対策が不可欠です。今後もデータの継続的なモニタリングが重要であり、それに基づいた柔軟な政策対応が求められます。