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ルワンダの豚飼育数推移(1961年~2023年)

2024年7月に国際連合食糧農業機関が発表したデータによると、ルワンダの豚の飼育数は1961年の52,000頭からスタートし、年々増減を繰り返しながらも、2000年代以降に急激な成長を示していました。2016年には史上最高となる1,684,709頭を記録しましたが、その後は減少傾向にあり、2022年には786,191頭と大幅に落ち込んでいます。このデータは、ルワンダの家畜産業の経済的状況や、地政学的、環境的、社会的課題と連動していると考えられます。

年度 飼育数(頭) 増減率
2023年 711,896
-9.45% ↓
2022年 786,191
-25.63% ↓
2021年 1,057,197
-15.21% ↓
2020年 1,246,891
-4.4% ↓
2019年 1,304,325
-1.96% ↓
2018年 1,330,461
-22.49% ↓
2017年 1,716,438
1.88% ↑
2016年 1,684,709
12.88% ↑
2015年 1,492,506
47.04% ↑
2014年 1,015,000
0.37% ↑
2013年 1,011,250
2.22% ↑
2012年 989,316
40.04% ↑
2011年 706,472
3.18% ↑
2010年 684,708
7.08% ↑
2009年 639,416
9% ↑
2008年 586,621
2.82% ↑
2007年 570,507
8.15% ↑
2006年 527,531
34.92% ↑
2005年 391,000
19.7% ↑
2004年 326,652
54.14% ↑
2003年 211,918
1.99% ↑
2002年 207,783
11.91% ↑
2001年 185,674
4.77% ↑
2000年 177,220
11.02% ↑
1999年 159,625
32% ↑
1998年 120,928
-14.84% ↓
1997年 142,000
5.97% ↑
1996年 134,000
11.67% ↑
1995年 120,000
-20% ↓
1994年 150,000
2.74% ↑
1993年 146,000
2.82% ↑
1992年 142,000
2.9% ↑
1991年 138,000
18.5% ↑
1990年 116,452
-2.66% ↓
1989年 119,631
-5.4% ↓
1988年 126,455
20.89% ↑
1987年 104,600
17.65% ↑
1986年 88,911
8.06% ↑
1985年 82,277
0.33% ↑
1984年 82,004
-40.71% ↓
1983年 138,300
7.39% ↑
1982年 128,784
-7.66% ↓
1981年 139,468
16.37% ↑
1980年 119,850
5.58% ↑
1979年 113,518
15.18% ↑
1978年 98,558
18.56% ↑
1977年 83,126
17.68% ↑
1976年 70,640
-5.23% ↓
1975年 74,542
11.09% ↑
1974年 67,099
27.43% ↑
1973年 52,654
-12.25% ↓
1972年 60,003
3.16% ↑
1971年 58,163
8.29% ↑
1970年 53,709
14.27% ↑
1969年 47,000
52.92% ↑
1968年 30,735
-22.08% ↓
1967年 39,444
31.48% ↑
1966年 30,000
15.38% ↑
1965年 26,000
-27.57% ↓
1964年 35,898
-23.84% ↓
1963年 47,138
-17.3% ↓
1962年 57,000
9.62% ↑
1961年 52,000 -

ルワンダの豚飼育数推移は、同国の歴史的、経済的、地政学的背景を色濃く反映しています。1960年代から1980年代初頭にかけては、農業基盤の拡大とともに飼育数も増加しました。しかし、1984年に82,004頭まで急減した背景には、当時のルワンダ国内の農業政策の転換や社会的混乱が影響していると考えられます。それ以降、飼育数は概して回復し、2000年代後半には急激な増加が見られました。特に2012年から2016年にかけて、豚飼育数はほぼ倍増し、2016年に1,684,709頭に達しています。この時期の成長は、農業および畜産業の近代化政策の推進、並びにルワンダ政府による食糧安全保障強化への積極的な取り組みが大きな要因とされます。

しかし、2017年をピークに減少傾向に転じ、特に2022年には786,191頭と2016年の半分以下に落ち込みました。この急激な減少にはいくつかの要因が考えられます。一つ目は病気の流行です。アフリカ豚熱(アフリカンスワインフィーバー)のような家畜伝染病は、経済的に大きな打撃を与えただけでなく、家畜数の削減に直結しました。二つ目は、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行です。これにより、畜産業に関わる物流や市場の閉鎖が影響し、豚の生産サイクルに支障をきたしました。さらに、コロナ禍やウクライナ危機による飼料価格の高騰も影響し、農家の負担が増大した可能性があります。また、気候変動による干ばつや洪水など、環境変化も家畜管理における課題として無視できません。

飼育数低下が示す課題は、豚肉が多くの地域住民にとって主要なたんぱく源である点を考慮すると、深刻な影響を与えます。飼育数減少は食糧安全保障の危機を招くだけでなく、農家の収入にも直接的な影響を及ぼし、経済的不安定を助長しかねません。

将来に向けた具体的な対策として、まず第一に、伝染病対策を強化する必要があります。監視体制の構築やワクチンの普及、飼育環境の改善を通じて、感染リスクを緩和することが重要です。また、気候変動に対応するための持続可能な畜産モデルを導入し、飼料供給の多様化を図ることで影響を緩和する取り組みも求められます。さらに、ルワンダ政府は国際的な支援を活用しながら、農家の技術訓練や市場構築を支援するべきです。例えば、デジタル技術を活用した家畜管理や、地域間での協力を強化する仕組みを構築することで、生産と流通の両面で効率を高めることが期待されます。

結論として、ルワンダの豚飼育数の推移は、その国の経済や社会の変化、さらには地球規模の問題に対する対応能力を示した重要な指標です。豚飼育業の持続可能性を確保するためには、多方面から協調して取り組む必要があり、特に伝染病や気候変動への対策が急務となっています。この分野は今後も注目に値するため、国際機関や他国の協力を得て、より強固な体系を築いていくべきでしょう。