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クウェートの牛乳生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによりますと、クウェートの牛乳生産量は1961年の4,800トンから2023年には67,936トンに増加しています。この期間では一貫した増加傾向が見られる年がある一方で、特定の年には急激な変動も確認されました。特に1990年代初頭の低迷期や、2012年以降の安定した増産が重要なポイントとして挙げられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 67,936
-0.79% ↓
2022年 68,479
0.75% ↑
2021年 67,966
0.89% ↑
2020年 67,364
-3.91% ↓
2019年 70,106
5.54% ↑
2018年 66,429
1.33% ↑
2017年 65,557
0.15% ↑
2016年 65,456
14.73% ↑
2015年 57,051
-3.05% ↓
2014年 58,844
12.28% ↑
2013年 52,407
-14.6% ↓
2012年 61,364
11.22% ↑
2011年 55,175
-0.04% ↓
2010年 55,196
35.36% ↑
2009年 40,777
-5.39% ↓
2008年 43,099
-23.02% ↓
2007年 55,988
42.13% ↑
2006年 39,392
-2.36% ↓
2005年 40,345
20.09% ↑
2004年 33,596
-16.27% ↓
2003年 40,125
17.35% ↑
2002年 34,192
13.08% ↑
2001年 30,237
-1.94% ↓
2000年 30,836
-8.44% ↓
1999年 33,679
5.36% ↑
1998年 31,965
4.3% ↑
1997年 30,647
-23.11% ↓
1996年 39,859
19.04% ↑
1995年 33,484
-13.84% ↓
1994年 38,863
98.43% ↑
1993年 19,585
101.89% ↑
1992年 9,701
29.35% ↑
1991年 7,500
-70.56% ↓
1990年 25,477
-28.68% ↓
1989年 35,724
-9.69% ↓
1988年 39,556
-22.81% ↓
1987年 51,242
1.42% ↑
1986年 50,523
30.39% ↑
1985年 38,748
15% ↑
1984年 33,693
51.26% ↑
1983年 22,275
-16.34% ↓
1982年 26,625
50.08% ↑
1981年 17,740
-38.21% ↓
1980年 28,710
17.2% ↑
1979年 24,497
8.47% ↑
1978年 22,585
44.92% ↑
1977年 15,584
32.3% ↑
1976年 11,779
6.22% ↑
1975年 11,089
21.96% ↑
1974年 9,092
27.48% ↑
1973年 7,132
-13.93% ↓
1972年 8,286
28.25% ↑
1971年 6,461
9.51% ↑
1970年 5,900
2.08% ↑
1969年 5,780
2.12% ↑
1968年 5,660
2.91% ↑
1967年 5,500
1.85% ↑
1966年 5,400
1.89% ↑
1965年 5,300
1.92% ↑
1964年 5,200
4% ↑
1963年 5,000
2.04% ↑
1962年 4,900
2.08% ↑
1961年 4,800 -

クウェートの牛乳生産量に関するデータから、1961年からの長期的な増加基調が明らかになりました。当初の4,800トンだった生産量は1970年代に急速に伸び、1980年代中頃には年5万トンを超える安定した供給を確立しました。しかしながら、1990年の生産量は25,477トンに急落し、さらに1991年には僅か7,500トンと最も低い数値を記録しました。この減少は、湾岸戦争による影響が主因だと推測されます。戦争によって農業インフラが破壊され、輸送ルートの混乱や農場での活動停止が生じたためと考えられます。

1992年以降は、国の復興プロセスに伴って徐々に生産量を回復させていきました。1994年には38,863トンと戦前の水準に近づく一方で、その後も生産量は年によって波が見られました。2000年代後半以降では、技術革新や農業政策の改善が寄与した結果、特に2012年以降で安定した増加が見受けられます。最も新しいデータである2023年時点では67,936トンを記録し、過去最高水準を維持しています。この背景には、クウェートが経済的に資源依存からの脱却を目指し、農畜産業の強化を推進していることが挙げられます。

世界的視野で見れば、クウェートの牛乳生産量は主要生産国であるアメリカやインドと比較してはるかに小規模です。例えば2023年におけるインドの牛乳生産量はおよそ2億2千万トンに達し、その圧倒的な規模と比較するとクウェートは主に国内需要を賄う水準と言えます。しかしながら、クウェートの比較的小規模な農業セクターを考慮すると、この安定成長は注目に値します。

一方で、課題として水資源の不足や高温乾燥な気候条件があります。牛乳生産には多くの水が必要であり、クウェートの砂漠気候下では水の確保が重要な課題です。淡水資源に乏しいため、海水淡水化装置に多くを依存していますが、このプロセスはエネルギー消費が大きく、費用対効果が問題視されています。

未来に向けては、持続可能性を考慮した農業技術の導入が重要です。例えば、飼料作物の効率的な栽培技術や適応型畜産システムの構築が一助となります。また、国内外の協力による投資誘致や、牛乳だけでなく乳製品の加工産業の振興も経済の多角化に寄与するでしょう。さらに、再生可能エネルギーを活用した海水淡水化プロセスの効率化も検討すべきです。

地政学的なリスクにも配慮が必要です。湾岸地域ではしばしば政治的緊張が高まり、貿易ルートへの影響が懸念されます。これに対処するためには、国際的な協力を通じて地域の安定化を図るとともに、国内での食糧自給率を高める政策が求められます。

まとめとして、クウェートの牛乳生産量は過去60年以上にわたり大幅に増加しており、特に近年では安定した成長が見られます。ただし、気候的制約や地政学的リスクと向き合いながら、持続可能な成長を追求することが重要です。このためには、技術革新、国際協力、政策支援を組み合わせ、経済的および環境的に持続可能な農業モデルの確立を目指す必要があります。