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クウェートのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関が発表した最新データによると、1975年から2023年のクウェートのキュウリ類の生産量は大きな変遷を遂げています。1975年には生産量が68トンと低い水準で始まりましたが、1980年代後半には急激な増加を見せた時期がありました。その後、1990年代から2000年代にかけては比較的安定した推移をみせました。また、2010年代以降は波がありながらも高い水準を維持しましたが、2023年には47,948トンと減少しました。この50年近いデータから、クウェートの農業の発展、外的要因の影響、さらには不安定さを含む特徴が見てとれます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 47,948
-40.03% ↓
2022年 79,948
9.3% ↑
2021年 73,143
49.64% ↑
2020年 48,880
-49.29% ↓
2019年 96,391
64.52% ↑
2018年 58,591
-16.82% ↓
2017年 70,436
-10.21% ↓
2016年 78,448
6.47% ↑
2015年 73,682
32.52% ↑
2014年 55,599
-44.72% ↓
2013年 100,568
64.07% ↑
2012年 61,294
-4.74% ↓
2011年 64,343
30.1% ↑
2010年 49,456
9.35% ↑
2009年 45,226
6.3% ↑
2008年 42,547
5.09% ↑
2007年 40,486
-7.59% ↓
2006年 43,812
18.47% ↑
2005年 36,982
-3.29% ↓
2004年 38,241
12.24% ↑
2003年 34,072
4.49% ↑
2002年 32,609
10.63% ↑
2001年 29,476
-6.69% ↓
2000年 31,590
10.43% ↑
1999年 28,607
-12.27% ↓
1998年 32,608
22.88% ↑
1997年 26,537
19.33% ↑
1996年 22,238
-4.03% ↓
1995年 23,173
43.67% ↑
1994年 16,129
-36.61% ↓
1993年 25,446
169.53% ↑
1992年 9,441
88.82% ↑
1991年 5,000
-85.41% ↓
1990年 34,263
-40.63% ↓
1989年 57,710
38.25% ↑
1988年 41,742
17.12% ↑
1987年 35,640
61.27% ↑
1986年 22,100
179.32% ↑
1985年 7,912
213.22% ↑
1984年 2,526
110.5% ↑
1983年 1,200
-10.45% ↓
1982年 1,340
75.39% ↑
1981年 764
107.05% ↑
1980年 369
17.52% ↑
1979年 314
3.29% ↑
1978年 304
115.6% ↑
1977年 141
50% ↑
1976年 94
38.24% ↑
1975年 68 -

クウェートのキュウリ類の生産量データは、同国の農業の発展の歴史や経済状況、さらには地政学的要因の影響を反映しています。1975年にわずか68トンであった生産量が、1980年代後半には35,640トン(1987年)と飛躍的に増加した背景には、国内での近代農業技術の導入や、水不足克服のための灌漑技術の改良が挙げられます。また、石油収益を利用した政策的な支援もこの成長を後押ししたと考えられます。

一方で、1990年から91年にかけての生産量の急激な落ち込み(1990年の34,263トンから1991年の5,000トンへの減少)は、イラクによるクウェート侵攻とその後の湾岸戦争の影響を強く示しています。この期間、農業インフラの破壊や労働力の喪失は大きなダメージを与え、生産性の回復には時間を要しました。

2000年代以降、輸入依存の高い国であるにもかかわらず、クウェートは国内の農作物生産量を一定水準以上に保つ努力を続けてきました。2009年から2013年にかけて生産量が伸び、2013年には100,568トンというピークを記録しました。しかし、その後は気候変動の影響と思われる干ばつや灌漑水源の不足、さらにコロナ禍による物流の混乱が複合的に影響し、2020年代以降の生産量は停滞乃至減少する傾向にあります。2023年には47,948トンと、近年の平均を下回る結果となりました。

こうした長期にわたる推移から、クウェートのキュウリ生産における課題が浮き彫りになります。第一に、水資源不足という根本的な問題があります。クウェートは砂漠気候の国で、降雨量が非常に少ないため、効率的な灌漑技術や海水淡水化システムが欠かせません。第二に、地政学的リスクも今後の農業生産に影響を与える可能性があります。湾岸戦争や周辺地域の緊張が引き続き問題となっており、これが農業輸出入に影響を及ぼすことが考えられます。

今後に向けて、いくつかの具体的な提案が考えられます。まず、持続可能な農業技術の導入が必要です。例えば、ドローン技術を用いた精密農業や、AIを活用した水資源管理が挙げられます。また、地域協力を強化して農業研究と技術移転を進めるべきです。特に同じく水不足に悩む中東諸国との連携が鍵となるでしょう。さらに、地政学的リスクに対処するための食料安全保障体制を強化すべきです。災害時の輸入体制の安定化や、農業従事者の確保に向けた移民政策の整備、国内消費と輸出のバランスを保つ生産計画が重要となります。

結論として、クウェートのキュウリ類の生産量推移は、純粋な農業分野の課題だけでなく、環境問題や地政学的影響など多様な要因が絡み合っています。このデータを分析し、将来の生産性向上のために必要な政策や取り組みを明確化することは、中東地域全体の農業安定にも寄与することでしょう。国際協力と技術革新を柱としたアプローチが、クウェート農業の未来を切り開く鍵となります。

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