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クウェートの大麦生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによれば、クウェートの大麦生産量は1968年から2023年までの55年間で大きな変動を伴いながら推移してきました。特に1980年代後半から2000年代初頭にかけて大幅な増加傾向が見られた一方で、1990年代前半には急激な減少が記録されています。近年では、2021年に過去50年間での最高値を記録したものの、2023年にはやや低下し、4,709トンに達しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 4,709
-4.82% ↓
2022年 4,948
-11.71% ↓
2021年 5,604
1.29% ↑
2020年 5,533 -
2019年 5,533
136.55% ↑
2018年 2,339
4.28% ↑
2017年 2,243
-2.31% ↓
2016年 2,296
-11.42% ↓
2015年 2,592
-52.72% ↓
2014年 5,482
-9.01% ↓
2013年 6,025
17.2% ↑
2012年 5,141
31.92% ↑
2011年 3,897
112.83% ↑
2010年 1,831
-20.6% ↓
2009年 2,306
29.12% ↑
2008年 1,786
-10.7% ↓
2007年 2,000
0.6% ↑
2006年 1,988
-12.38% ↓
2005年 2,269
18.98% ↑
2004年 1,907
-1.95% ↓
2003年 1,945
-7.95% ↓
2002年 2,113
-9.35% ↓
2001年 2,331
12.12% ↑
2000年 2,079
-4.55% ↓
1999年 2,178
22.09% ↑
1998年 1,784
50.17% ↑
1997年 1,188
-6.97% ↓
1996年 1,277
93.78% ↑
1995年 659
205.09% ↑
1994年 216
-39.66% ↓
1993年 358
804.04% ↑
1992年 40
-95.44% ↓
1991年 869
-27.59% ↓
1990年 1,200
-30.23% ↓
1989年 1,720
3.06% ↑
1988年 1,669
15.1% ↑
1987年 1,450
18.95% ↑
1986年 1,219
-1.3% ↓
1985年 1,235
66.89% ↑
1984年 740
-1.33% ↓
1983年 750
56.25% ↑
1982年 480
19.4% ↑
1981年 402
108.29% ↑
1980年 193
-5.85% ↓
1979年 205
68.03% ↑
1978年 122
577.78% ↑
1977年 18
-30.77% ↓
1976年 26
4% ↑
1975年 25
316.67% ↑
1974年 6
-45.45% ↓
1973年 11
-35.29% ↓
1972年 17
70% ↑
1971年 10
25% ↑
1970年 8
60% ↑
1969年 5
66.67% ↑
1968年 3 -

クウェートの大麦生産量推移のデータを振り返ると、1968年から1970年代前半までは一桁台の生産量が続き、農業における大麦栽培の役割は非常に小さかったと考えられます。しかしながら、1970年代後半以降は生産量が急激に増加し始め、1980年代には年間750トンを超える水準に成長しました。1989年には1,720トンに達するまでの急拡大が見られ、この増加はおそらく農業技術の改良や灌漑設備の整備といった要因に起因すると考えられます。

しかし、1990年以降、湾岸戦争という地政学的リスクがクウェートの大麦生産に大きな影響を与え、1992年にはわずか40トンまで急落しました。この時期の減少は、戦争に伴うインフラの破壊や、労働力の不足、資源の他分野への転換などによるものと推測されます。1990年代半ばから再び回復基調に入り、2000年代に接近するにつれて生産量は再び上昇を見せ、2001年には2,331トンと1990年の水準を大きく超えました。

その後は波がありつつも全体的には安定した生産量を保ちながら、2010年代後半にはさらに増加が見られました。2019年から2021年にかけては、5,000トンを超える数値を連続して記録し、生産量は顕著に伸びました。一方で2022年、2023年のデータを見ると、急激ではないものの微減となり、持続的な生産増加を実現するための課題が浮き彫りになっています。この近年の減少は気候変動の影響や土壌の持続可能性、地下水供給の制約といった要因が影響している可能性が高いです。

他国と比較すると、大麦生産量で著名な中国やアメリカ、インドなどと比べるとクウェートの生産規模は依然小規模であり、主に国内需要を補うための生産となっています。クウェートの気候条件は非常に乾燥しており、降水量も少ないため、農業における灌漑設備や水資源管理の重要性が他地域以上に高いことがわかります。

今後さらにクウェートが持続可能な農業を確保するためには、いくつかの対策が必要とされます。例えば、塩害に強い大麦品種の導入、農地の土壌改善策、そして灌漑技術のさらなる最適化が重要でしょう。地域間での協力枠組み構築を進め、例えば隣国との共同研究を通じて気候変動に対応した農業計画を策定するといった国際的アプローチも効果があると考えられます。また、砂漠化対策として植生保護を推進する政策も、長期的に見れば大麦生産の安定に寄与するでしょう。

総じて、クウェートの大麦生産推移はその歴史的背景や地理的条件を色濃く反映しています。データからは、内外の課題を克服しつつ、その潜在力をさらに引き出すための努力が求められていることが浮き彫りにされています。国や国際機関が一丸となって、適応力の高い農業形態を目指す支援を行う必要があると結論づけられます。