国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、クウェートの羊肉生産量は1961年から2023年にかけて大きな変動を見せています。1960年代は年間約6,000~9,000トンの範囲で推移していた生産量が、1984年には40,000トンを超え、1994年には48,566トンという急増を記録しました。その後一時的な減少を経て、近年では安定した増加傾向が見られ、2022年には52,715トン、2023年には52,108トンの数値を示しています。
クウェートの羊肉生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 52,108 |
-1.15% ↓
|
2022年 | 52,715 |
1.39% ↑
|
2021年 | 51,994 |
0.89% ↑
|
2020年 | 51,538 |
0.15% ↑
|
2019年 | 51,459 |
2.86% ↑
|
2018年 | 50,030 |
-1.12% ↓
|
2017年 | 50,595 |
-5.35% ↓
|
2016年 | 53,454 |
17.81% ↑
|
2015年 | 45,374 |
3.38% ↑
|
2014年 | 43,889 |
18.62% ↑
|
2013年 | 37,000 | - |
2012年 | 37,000 |
3.64% ↑
|
2011年 | 35,700 | - |
2010年 | 35,700 |
-4.8% ↓
|
2009年 | 37,500 |
-4.09% ↓
|
2008年 | 39,100 |
-4.17% ↓
|
2007年 | 40,800 |
-4% ↓
|
2006年 | 42,500 |
-3.85% ↓
|
2005年 | 44,200 |
4% ↑
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2004年 | 42,500 |
8.7% ↑
|
2003年 | 39,100 |
5.68% ↑
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2002年 | 37,000 |
20.33% ↑
|
2001年 | 30,750 |
-8.48% ↓
|
2000年 | 33,600 |
-1.18% ↓
|
1999年 | 34,000 |
-10.53% ↓
|
1998年 | 38,000 |
-1.3% ↓
|
1997年 | 38,500 |
-1.21% ↓
|
1996年 | 38,972 |
2.43% ↑
|
1995年 | 38,046 |
-21.66% ↓
|
1994年 | 48,566 |
93.81% ↑
|
1993年 | 25,059 |
46.8% ↑
|
1992年 | 17,070 |
100.82% ↑
|
1991年 | 8,500 |
-50% ↓
|
1990年 | 17,000 |
-49.24% ↓
|
1989年 | 33,490 |
0.96% ↑
|
1988年 | 33,171 |
0.26% ↑
|
1987年 | 33,085 |
-0.74% ↓
|
1986年 | 33,330 |
2.8% ↑
|
1985年 | 32,422 |
-19.08% ↓
|
1984年 | 40,065 |
46.84% ↑
|
1983年 | 27,285 |
3.55% ↑
|
1982年 | 26,350 |
10.71% ↑
|
1981年 | 23,800 |
12% ↑
|
1980年 | 21,250 |
12.61% ↑
|
1979年 | 18,871 |
37.57% ↑
|
1978年 | 13,717 |
13% ↑
|
1977年 | 12,139 |
34.98% ↑
|
1976年 | 8,993 |
38.76% ↑
|
1975年 | 6,481 |
-1.76% ↓
|
1974年 | 6,597 |
-26.33% ↓
|
1973年 | 8,955 |
0.84% ↑
|
1972年 | 8,880 |
10.24% ↑
|
1971年 | 8,055 |
-1.52% ↓
|
1970年 | 8,179 |
16.38% ↑
|
1969年 | 7,028 |
-0.3% ↓
|
1968年 | 7,049 |
-4.9% ↓
|
1967年 | 7,412 |
-20.73% ↓
|
1966年 | 9,350 |
10% ↑
|
1965年 | 8,500 | - |
1964年 | 8,500 |
25% ↑
|
1963年 | 6,800 |
14.29% ↑
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1962年 | 5,950 |
-12.5% ↓
|
1961年 | 6,800 | - |
クウェートの羊肉生産量の推移を振り返ると、国内外の複数の要因がその変動に影響を及ぼしてきたことがわかります。1960年代から1970年代初頭にかけて、羊肉生産量は6,000~9,000トンの範囲に留まりました。この当時、クウェートの農業技術とインフラは限られており、地理的条件である乾燥地帯特有の気候なども、畜産業の拡大にとって大きな障壁となっていました。しかしその後、石油収入の増加を背景としてインフラ投資が促進され、畜産業にも恩恵を与え、生産量が徐々に改善していきました。1979年から1984年の間には特に急激な増加が観察され、この間に最大で21,250トンから40,065トンにまで拡大しました。このような成長には、技術革新と輸入飼料の増加が貢献したと考えられます。
1990年の数値で突如として17,000トンに減少した理由の一つは、イラクによる侵攻(湾岸戦争)を含む地域紛争の影響が挙げられます。国土が経済的・物理的に大きなダメージを受け、農畜産業もその被害を免れることはありませんでした。この時期の生産量減少は、地政学的リスクがクウェートの農業セクターに与える深刻な影響を示しています。その後、復興に向けた政策や資源配分が行われたことで、1994年には48,566トンのピークを記録しました。
近年(2020年代)では、51,000トン前後の安定した生産量が続いています。この水準に達した背景には、効率的な畜産業技術への投資と、輸入に依存しない自給率向上を目指す政府の政策が寄与しています。しかし、この安定は同時にいくつかの課題もはらんでいます。例えば、過度な水資源の消費が環境に与える影響や、気候変動が与える不確実性があります。また、羊肉の消費文化が深く根付く中東地域全体での供給不足が発生した場合、輸出品目としての羊肉がさらに戦略的重要性を帯びる可能性もあります。
未来を展望する上で、クウェートは持続可能な農業技術へのさらなる投資を実施する必要があります。例えば、乾燥地でも効率よく畜産を行える水循環システムの導入や、地域協力による飼料供給網の構築が効果的です。また、持続的かつ多様な供給を目指して、輸出依存度の低減と国内養殖の強化を進めるべきです。併せて、羊肉生産に関連する温室効果ガス排出を最小化するための研究開発も優先事項として挙げられます。
結論として、現在の安定した生産量が維持されるかどうかは、気候変動や地政学的リスクといった外的要因に大きく左右される状況にあります。その中で、クウェートは国内の資源管理の効率化や、隣接する湾岸協力会議(GCC)加盟国との連携を強化することで、羊肉の安定供給と持続可能性を両立させる道を模索していくべきです。今後、政府や国際機関が協調して、こうした課題を克服するための具体的な行動計画を策定していく必要があります。