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クウェートのトウモロコシ生産量推移(1961-2022)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の2024年7月更新のデータによると、クウェートのトウモロコシ生産量は1970年代から開始されましたが、急激な変動を伴いながら現在に至っています。特に1980年代中頃から1990年代初頭にかけて一時的に生産量が急増し、近年も年間数万トン前後で推移しています。ただし、大幅な増加と減少が繰り返されており、安定生産には至っていない状況が見受けられます。

年度 生産量(トン)
2022年 21,690
2021年 22,943
2020年 25,792
2019年 25,792
2018年 8,869
2017年 3,838
2016年 2,949
2015年 6,675
2014年 48,098
2013年 27,192
2012年 21,605
2011年 31,498
2010年 18,310
2009年 11,261
2008年 13,563
2007年 20,756
2006年 12,078
2005年 7,300
2004年 7,058
2003年 19,355
2002年 10,793
2001年 6,614
2000年 5,552
1999年 3,720
1998年 3,933
1997年 2,132
1996年 2,133
1995年 1,265
1994年 976
1993年 357
1992年 94
1991年 13
1990年 580
1989年 673
1988年 1,995
1987年 1,950
1986年 1,922
1985年 1,869
1984年 36
1983年 30
1982年 25
1981年 11
1980年 27
1979年 20
1978年 9
1977年 9
1976年 6
1975年 3
1974年 3
1973年 13
1972年 3

クウェートのトウモロコシ生産量推移を振り返ると、1972年から1980年代初頭までは生産量が非常に少なく、年間数トン程度に留まっていました。この当時、クウェートは砂漠気候による農業環境の制約を受けており、灌漑や作物育成技術が大規模に発展していなかったことが背景にあります。しかし1985年を皮切りに、トウモロコシの生産量は急激な拡大を見せるようになります。この急増の原因としては、近代的な農業技術の導入や水資源利用施設の開発、生産効率向上のための政策的支援が挙げられます。

1985年から1988年にかけて生産量は1,800~1,990トンに拡大しましたが、1989年から1991年には673トンを皮切りに再び急減しました。この時期の減少には地域紛争、具体的には1990年から1991年にかけての湾岸戦争の長期的影響が強く関与していると考えられます。紛争による農地の荒廃やインフラ破壊が、農業全般に悪影響を及ぼしたことが主因と見られています。

1990年代中盤以降、安定した回復の兆しが現れ、特に2000年代に入るとトウモロコシの生産量は再度顕著に増加しました。2001年以降は数千トンから1万トンを超えるラインに達し、2007年には過去最高となる20,756トンを記録しました。その後、2011年に31,498トン、2014年にはこれまでの最高記録となる48,098トンに達しました。これらの大幅な増加の背景には、国際的な農業技術交流や質の高い改良品種の導入、生産効率向上のための現地農家への支援政策が関与したと考えられます。

しかし、2014年以降のデータを見ると、生産量は年ごとで極端な変動が再び繰り返されています。2015年には6,675トンに激減した後、2019年には25,792トンに回復する一方で、2022年には21,690トンと低下するなど、不安定な推移が続いている状況です。このような変動には天候条件の変化や水資源の利用状況の変動の可能性のほか、国際市場での穀物価格や物流の変動、新型コロナウイルス感染症の影響も重なっていることが推測されます。特にパンデミック後、食料安全保障が多くの国で再注目されたことから、クウェートとしても国内生産のさらに大規模な安定化が今後の重点課題となるでしょう。

クウェートのトウモロコシ生産の現状を評価する際、省資源型農業技術や持続可能な灌漑法の更なる活用が必要不可欠となります。これには、先端的なドローンやAI技術を活用した畑作管理、水不足状況での高効率作物生産が含まれます。また、他国との農業分野での技術協力や資金投入の枠組みを拡大することも有効です。日本はクウェートと経済面で密接な関係がありますが、自身も高効率農業技術や温室栽培の分野で実績があり、これを共有することで両国の互恵関係をさらに強化できる可能性があります。

地政学的な観点から考えると、中東地域では水資源を巡る緊張が存在します。このため、トウモロコシを含む農作物生産の安定は、単に経済的価値を持つだけでなく、国際的な安定の一助となる可能性も秘めています。特に、食料輸入への過度な依存を減らすことは、国の独立性を高める重要な政策目標とも言えます。

最終的には、これらの課題に対応するため、国際連合や地域的な協力体制を利用するとともに、国内外の専門知識を活用し、生産の長期的な持続可能性を確保することが求められます。このような取り組みを通じて、トウモロコシの安定供給を実現しつつ、中東全域の食料安全保障の強化にも貢献できるはずです。