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クウェートのキャベツ生産量推移(1961年~2023年)

FAO(国際連合食糧農業機関)が2024年7月に発表した最新データによると、クウェートのキャベツ生産量は1975年の16トンから2000年代初頭には1万トンを超え、2009年には17,293トンに到達しました。しかし、その後は2010年代に入ると減少傾向が強まり、特に2020年以降は新型コロナウイルス感染症の世界的影響や地域課題が加わり、2021年には6,445トン、2022年には7,327トンとなっています。このデータから、全体的な増加傾向に加え、近年の減少という2つの特徴が浮かび上がります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 5,690
-22.34% ↓
2022年 7,327
13.69% ↑
2021年 6,445
-8.51% ↓
2020年 7,044
-25.55% ↓
2019年 9,462
-13.96% ↓
2018年 10,997 -
2017年 10,997
15.71% ↑
2016年 9,504
9.56% ↑
2015年 8,675
-18.82% ↓
2014年 10,686
0.51% ↑
2013年 10,632
-26.95% ↓
2012年 14,555
19.43% ↑
2011年 12,187
-20.46% ↓
2010年 15,321
-11.4% ↓
2009年 17,293
33.14% ↑
2008年 12,989
-15.03% ↓
2007年 15,287
11.94% ↑
2006年 13,656
-0.96% ↓
2005年 13,789
7.67% ↑
2004年 12,807
37.84% ↑
2003年 9,291
20.07% ↑
2002年 7,738
10.2% ↑
2001年 7,022
32.19% ↑
2000年 5,312
0.32% ↑
1999年 5,295
89.78% ↑
1998年 2,790
38.05% ↑
1997年 2,021
39% ↑
1996年 1,454
54.03% ↑
1995年 944
71.01% ↑
1994年 552
-19.42% ↓
1993年 685
1570.73% ↑
1992年 41
-93.17% ↓
1991年 600
-71.54% ↓
1990年 2,108
-34.45% ↓
1989年 3,216
11.28% ↑
1988年 2,890
60.56% ↑
1987年 1,800
47.54% ↑
1986年 1,220
4.54% ↑
1985年 1,167
-13.56% ↓
1984年 1,350
1400% ↑
1983年 90
125% ↑
1982年 40
-54.55% ↓
1981年 88
-14.56% ↓
1980年 103
178.38% ↑
1979年 37
131.25% ↑
1978年 16
23.08% ↑
1977年 13
8.33% ↑
1976年 12
-25% ↓
1975年 16 -

クウェートのキャベツ生産の推移を見ると、長期的には顕著な増加傾向が見られます。特に1984年に1,350トン、1988年には2,890トンと、生産量が飛躍的に増加し、1999年にはついに5,295トンに達しました。その背景には、クウェート政府による農業政策の強化や灌漑技術の向上、さらには地域の食糧自給率向上を目指した取り組みがあると考えられます。また、2000年代における1万トンを超える安定的な生産量の達成は、同国農業の近代化と国際市場との連携の結果と言えるでしょう。

しかし、特筆すべきは1990年代初頭の著しい生産量の激減です。特に1991年の生産量は600トンという急落を記録しました。この減少の主たる原因は、1990年の湾岸戦争により農業インフラが破壊され、生産活動が停滞したためです。その後、農業施設の復旧と共に生産量は回復し、1999年には5,295トンに達しました。このエピソードは、地政学的要因が国の農業にどれほどの影響を及ぼすかを如実に示しています。

2009年以降は、17,293トンとピークに達した後、減少傾向が見られるようになりました。この背景には、クウェート特有の乾燥した気候条件の影響がある一方で、農地拡張が制限される中での資源利用効率の問題や、急速な都市化による農地の縮小が考えられます。また、新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2020年以降、世界的な物流の混乱や労働力不足が拍車をかけ、2021年には6,445トンという低水準を記録しました。

現状を評価する上で、日本やアメリカのように安定して農産物を供給できる国々と比較すると、クウェートの状況は脆弱性が高いと言えます。クウェートと気候条件が部分的に似る国であるイスラエルでは、スマート農業技術や高度な水管理システムを活用して農業生産性の向上に成功しています。このような技術導入による農業モデルの転換が、クウェートでも必要とされているでしょう。

近年のキャベツ生産減少への対策としては、農業における水と資源の効率的な利用をさらに進める必要があります。例えば、イスラエルのようにドローンやセンサー技術を利用したスマート農業を導入し、作物育成状況のリアルタイムでの把握を行うことが挙げられます。また、地域間協力の枠組みを強化し、他の湾岸諸国とも連携して農業技術と知識の交換を促進することが重要です。さらに、食糧安全保障の観点から農作物の多様化を図ることも不可欠です。

地政学的に重要な位置にあるクウェートは、食糧自給の強化が喫緊の課題と言えます。この課題を解決するためには、多角的な取り組みが必要です。環境に優しい農業を支援する国家政策の拡充や、民間セクターとの協力体制の構築を図りつつ、安定した食糧供給を目指す努力が求められます。

データから浮かび上がる結論として、キャベツ生産の増減はクウェートにおける農業の発展や課題を象徴しています。将来的にクウェートが持続可能な農業を実現するためには、国際的な協力や最新農業技術の導入と普及を進めることが重要です。このように、食糧安定の達成はクウェートだけなく、地域全体の将来をも支える鍵となるでしょう。