FAO(国際連合食糧農業機関)の最新データによると、クウェートのジャガイモ生産量は1971年以来大きな変動を示してきました。特に1990年代半ばから急激な増加傾向が見られ、一時的にピークを迎えたものの、近年では波がある推移を見せています。2022年時点での生産量は35,159トンであり、これは直近数年間の平均値に近い水準です。
クウェートのジャガイモ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 18,105 |
-48.5% ↓
|
2022年 | 35,159 |
21.25% ↑
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2021年 | 28,996 |
55.22% ↑
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2020年 | 18,681 |
-46.33% ↓
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2019年 | 34,807 |
-3.88% ↓
|
2018年 | 36,212 |
-30.05% ↓
|
2017年 | 51,771 |
245.46% ↑
|
2016年 | 14,986 |
-74.81% ↓
|
2015年 | 59,486 |
25.12% ↑
|
2014年 | 47,545 |
1.59% ↑
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2013年 | 46,800 |
-23.5% ↓
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2012年 | 61,175 |
-7.88% ↓
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2011年 | 66,407 |
77.8% ↑
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2010年 | 37,350 |
8.26% ↑
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2009年 | 34,500 |
-3.04% ↓
|
2008年 | 35,582 |
28.85% ↑
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2007年 | 27,616 |
-21.03% ↓
|
2006年 | 34,970 |
25.02% ↑
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2005年 | 27,971 |
20.05% ↑
|
2004年 | 23,299 |
12.5% ↑
|
2003年 | 20,711 |
17.22% ↑
|
2002年 | 17,668 |
-7.07% ↓
|
2001年 | 19,013 |
5.75% ↑
|
2000年 | 17,979 |
-26.45% ↓
|
1999年 | 24,446 |
11.71% ↑
|
1998年 | 21,884 |
-30.65% ↓
|
1997年 | 31,556 |
12.78% ↑
|
1996年 | 27,979 |
105.17% ↑
|
1995年 | 13,637 |
176.22% ↑
|
1994年 | 4,937 |
184.06% ↑
|
1993年 | 1,738 |
172.41% ↑
|
1992年 | 638 |
27.6% ↑
|
1991年 | 500 |
-68.75% ↓
|
1990年 | 1,600 |
-18.91% ↓
|
1989年 | 1,973 |
-31.18% ↓
|
1988年 | 2,867 |
71.68% ↑
|
1987年 | 1,670 |
156.13% ↑
|
1986年 | 652 |
-5.78% ↓
|
1985年 | 692 |
0.29% ↑
|
1984年 | 690 |
1.47% ↑
|
1983年 | 680 |
94.29% ↑
|
1982年 | 350 |
9.38% ↑
|
1981年 | 320 |
8.84% ↑
|
1980年 | 294 |
96% ↑
|
1979年 | 150 |
4.9% ↑
|
1978年 | 143 |
-12.8% ↓
|
1977年 | 164 |
485.71% ↑
|
1976年 | 28 |
180% ↑
|
1975年 | 10 |
-61.54% ↓
|
1974年 | 26 |
36.84% ↑
|
1973年 | 19 |
216.67% ↑
|
1972年 | 6 |
-81.25% ↓
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1971年 | 32 | - |
クウェートのジャガイモ生産量推移データを分析すると、その推移にはいくつかの特徴と背景があります。1970年代から1980年代前半にかけて、生産量はおおむね低い水準に留まっており、断続的な増減が見られました。その後、1987年以降に急激な増加が始まり、1994年には4,937トン、1995年には13,637トン、さらに1996年には27,979トンという急成長を遂げました。この成長は、農業技術の導入やインフラ拡充、灌漑技術の進展に加えて、政府の食料自給率向上政策の成果であると言えます。
1990年代後半から2000年代初頭にかけて生産量は依然として高水準を維持しましたが、いくつかの年には減少が見られました。特に1998年、2000年、2002年は一定の減少が顕著でした。これは地政学的な要因や気候条件の変動が関与していると考えられます。例えば、同地域では水資源の利用制限や土壌の塩分濃度上昇などの問題が農作物の生産量に影響を与えている可能性があります。
2011年に66,407トンというピークを記録した後は、全体的な減少傾向が見られる一方で、各年ごとのばらつきが顕著です。2016年には14,986トンと大幅な減少が見られましたが、翌2017年には51,771トンと急回復しています。また、2020年には18,681トンと再び低い水準に至り、新型コロナウイルスの感染拡大による流通や生産体制の影響が示唆されます。ただし、2021年以降は再び安定した回復傾向が見られ、2022年には35,159トンに達しています。
地政学的背景を考慮すると、クウェートは中東特有の乾燥した気候と制約された農業資源が課題となっています。特に地下水の枯渇や水資源管理の困難は、ジャガイモのような水需要の高い作物の持続可能な生産に影響を与えています。また、食料輸入への依存度が高い国であるため、食料自給率を高めることが国策として優先される傾向にあります。
このような状況を踏まえると、将来的な課題としては以下の点が挙げられます。まず、農業技術のさらなる進化が必要です。特に、水資源を効率的に利用する灌漑システムの導入や土壌改良が鍵となります。また、気候変動への適応策として、干ばつに強い品種の導入や農業政策の柔軟な見直しが必要です。さらに、周辺諸国との協力による農業用水の共有や技術交流も効果的な解決策となるでしょう。
国際連合や農業関連の国際機関も、クウェートの持続可能な農業発展を支援する役割を果たすべきです。具体的には、技術援助や資金援助、さらにはデータに基づく政策の策定を通じて、生産力向上を後押しすることが期待されます。これによりクウェートは長期的に安定したジャガイモの供給体制を確立し、さらなる食料安全保障の向上を図ることができるでしょう。
データから明らかになった現状と課題を踏まえると、クウェートにおけるジャガイモ生産は増産の余地を持ちながらも、持続可能性に配慮した政策措置が必要であると結論づけられます。食料生産能力をさらに強化しつつ、それに伴う環境負荷を軽減する試みが重要と言えるでしょう。