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ギリシャのオリーブ油生産量推移(1961年~2021年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新した最新データによると、ギリシャのオリーブ油生産量は1961年から2021年にかけて大きな変動を示しており、1960年代では約20~24万トンの範囲で推移していましたが、1980年代には30万トン台を超える成長が見られました。1991年には39.6万トンというピークを迎えたものの、2000年代以降は年ごとの差が目立ちつつも全体的には横ばいないし、やや減少傾向にあります。近年の2021年では約29.3万トンと報告されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2021年 293,000
-4.87% ↓
2020年 308,000
6.03% ↑
2019年 290,476
-11.36% ↓
2018年 327,718
5.13% ↑
2017年 311,727
-4.97% ↓
2016年 328,021
-1.59% ↓
2015年 333,307
32.56% ↑
2014年 251,431
-13.72% ↓
2013年 291,397
-11.69% ↓
2012年 329,963
-7.64% ↓
2011年 357,254
18.89% ↑
2010年 300,503
-1.47% ↓
2009年 305,000
-7.09% ↓
2008年 328,273
3.17% ↑
2007年 318,201
-17.47% ↓
2006年 385,552
-0.22% ↓
2005年 386,385
20.24% ↑
2004年 321,338
-14.29% ↓
2003年 374,903
-1.76% ↓
2002年 381,620
26.27% ↑
2001年 302,230
-25.99% ↓
2000年 408,375
2.61% ↑
1999年 398,000
0.26% ↑
1998年 396,973
-3.48% ↓
1997年 411,285
11.16% ↑
1996年 370,000
2.79% ↑
1995年 359,967
20.11% ↑
1994年 299,686
-9.19% ↓
1993年 330,000
-0.3% ↓
1992年 331,000
-16.41% ↓
1991年 396,000
101.02% ↑
1990年 197,000
-36.25% ↓
1989年 309,000
1.42% ↑
1988年 304,679
5.69% ↑
1987年 288,273
9.74% ↑
1986年 262,677
-18.94% ↓
1985年 324,069
28.81% ↑
1984年 251,593
-6.17% ↓
1983年 268,151
-22.01% ↓
1982年 343,842
37.63% ↑
1981年 249,839
-24.02% ↓
1980年 328,830
33.68% ↑
1979年 245,984
2.59% ↑
1978年 239,785
2.42% ↑
1977年 234,116
4.65% ↑
1976年 223,705
-6.2% ↓
1975年 238,494
-1.34% ↓
1974年 241,722
25.76% ↑
1973年 192,204
-17.65% ↓
1972年 233,405
19.57% ↑
1971年 195,200
4.9% ↑
1970年 186,086
19.21% ↑
1969年 156,105
-23.6% ↓
1968年 204,334
5.87% ↑
1967年 193,000
3.76% ↑
1966年 186,000
-2.11% ↓
1965年 190,000
46.72% ↑
1964年 129,500
-37.8% ↓
1963年 208,200
271.79% ↑
1962年 56,000
-73.95% ↓
1961年 215,000 -

ギリシャは世界有数のオリーブ油生産国として知られています。この生産データを見てみると、ギリシャのオリーブ油の歴史的推移にはいくつかの重要なパターンがあることが分かります。具体的には1960年代から1990年代にかけて、原則として増加傾向が見られるものの、気候条件や政策の影響により、年ごとの生産量には大きな変動が発生しています。1980年代半ばから1990年代にかけて、ギリシャは業界の近代化や輸出拡大政策によって記録的な生産量を達成しました。ただし、その後の2000年代からは安定期に入りつつも、定期的な収穫不調による減少が見られるようになりました。

特筆すべきは、1991年に記録した39.6万トンというピークであり、これはギリシャのオリーブ油産業の成熟を示す一方で、翌年の33.1万トンへの減少が示すように、気候変動や農業政策の不確実性が影響を与えた可能性があります。オリーブの収量は特に降雨量や気温といった気象要因に敏感であり、1970年代以降の複数年を比較すると、気象変動や異常気象の増加が長期的な生産変動に寄与していると考えられます。

近年の動向を見ても、2019年から2021年の3年間はいずれも30万トン未満を記録しており、1960年代末から1970年代に記録された水準に近い数値が出ています。この背景には、ギリシャ国内外の市場競争の激化、農業労働力の減少、気候危機の進行が挙げられます。また、オリーブ油生産量はギリシャ国内だけにとどまらず、スペインやイタリアといった他主要生産国の影響を受けるため、国際的な需要と供給のバランスにも影響される構造となっています。

これらの課題を解決するためには、気候変動対策として持続可能な農業技術を広めることが欠かせません。これには、乾燥地域でも耐えられるオリーブの新しい品種の育成や、有効な灌漑システムの導入が含まれます。また、国際市場の競争に対応するためには、品質向上を目指した生産手法の改善やブランド戦略の強化が有効です。さらに、若い世代が農業に従事するようなインセンティブの付与も、長期的な安定生産に寄与するでしょう。

地政学的には、ギリシャが地中海沿岸という位置にあるため、輸出形態が近隣諸国やヨーロッパ全体に依存しています。しかし、最新の自由貿易協定や紛争の影響などが外的条件として作用しており、特にロシア・ウクライナ戦争や、地中海地域での水問題が間接的に供給チェーンに影響を与える可能性があります。このため、輸出先の分散やサプライチェーンの強化策を取ることが、経済リスクの軽減につながると考えられます。

総合的に見て、ギリシャのオリーブ油産業は数十年を通して重要な経済資源であり続けてきましたが、今後の気候変動、国際市場との競争、地政学的リスクなど、多面的な課題に対応する必要があります。政府や関連業界は、気候変動への適応策、国際市場向け戦略の立案、そして内需拡大を基盤とした包括的かつ持続可能な政策を実行することが求められています。このような取り組みにより、ギリシャが世界的なオリーブ油輸出国としての地位を一層強化する可能性があります。