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ギリシャの大麦生産量推移(1961年~2023年)

国連の食糧農業機関(FAO)が最新の2024年7月のデータに基づき公開したギリシャの大麦生産量推移を見ると、1960年代から1970年代にかけて急激な増加を経験した後、1980年代以降は全体的な減少傾向が見られました。特に1990年から2000年代初期にかけて顕著な落ち込みがあり、その後も生産量はやや低い水準で推移しています。ただし、2015年や2020年などの特定の年では一時的な増加も観測されています。2023年の生産量は362,520トンで、この数字は直近数年間の平均的な生産量とほぼ一致しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 362,520
12.1% ↑
2022年 323,380
-2.07% ↓
2021年 330,220
-17.17% ↓
2020年 398,680
8.76% ↑
2019年 366,580
6.38% ↑
2018年 344,610
-8.48% ↓
2017年 376,543
-1.34% ↓
2016年 381,650
-25.55% ↓
2015年 512,628
21.8% ↑
2014年 420,880
10.45% ↑
2013年 381,071
13.26% ↑
2012年 336,461
5.47% ↑
2011年 319,003
2.55% ↑
2010年 311,067
-8.8% ↓
2009年 341,084
-3.51% ↓
2008年 353,497
28.84% ↑
2007年 274,373
11.77% ↑
2006年 245,471
7.92% ↑
2005年 227,464
-2.74% ↓
2004年 233,882
3.71% ↑
2003年 225,517
-20.02% ↓
2002年 281,958
2.14% ↑
2001年 276,063
-4.26% ↓
2000年 288,349
0.37% ↑
1999年 287,287
-13.11% ↓
1998年 330,646
-5.28% ↓
1997年 349,061
-2.31% ↓
1996年 357,330
-13.17% ↓
1995年 411,539
-1.1% ↓
1994年 416,130
0.65% ↑
1993年 413,435
-3.85% ↓
1992年 430,000
-8.9% ↓
1991年 472,000
51.28% ↑
1990年 312,000
-49.19% ↓
1989年 614,000
2.5% ↑
1988年 599,000
10.11% ↑
1987年 544,000
-20.12% ↓
1986年 681,000
16.81% ↑
1985年 583,000
-31.73% ↓
1984年 854,000
36.86% ↑
1983年 624,000
-24.18% ↓
1982年 823,000
10.9% ↑
1981年 742,100
-18.54% ↓
1980年 911,000
5.79% ↑
1979年 861,100
-3.36% ↓
1978年 891,000
34.59% ↑
1977年 662,000
-29.78% ↓
1976年 942,800
2.98% ↑
1975年 915,500
-5.52% ↓
1974年 969,000
14% ↑
1973年 850,000
-2.75% ↓
1972年 874,000
11.9% ↑
1971年 781,044
5.99% ↑
1970年 736,910
64.66% ↑
1969年 447,545
-4.96% ↓
1968年 470,899
-39.14% ↓
1967年 773,718
37.32% ↑
1966年 563,438
66.94% ↑
1965年 337,505
39.46% ↑
1964年 242,000
16.91% ↑
1963年 207,005
-10.95% ↓
1962年 232,447
4.97% ↑
1961年 221,442 -

ギリシャの大麦生産量は、1961年には221,442トンという控えめな数字でスタートしましたが、直後の数年間で大幅な成長を遂げ、1967年には773,718トンに達しました。この急増は、当時の農業技術の向上や生産拡大に対する政策的支援が影響したと考えられます。しかし、1968年以降は大きな変動が見られ、ピークと思われる1974年には969,000トンを記録したものの、その後の1980年代から明確な減少トレンドに入りました。

特に、1990年代以降の生産量減少は著しく、1990年には312,000トンと、それ以前のピーク時の3分の1程度にまで落ち込みました。この現象には、農業経済政策の変化、農業従事者の高齢化、機械化の遅れ、さらには農地転用による耕作面積の減少といった複合的な要因が関連していると推測されます。また、気候変動の影響も無視できません。近年の異常気象や干ばつは大麦の収穫において重要な課題となっています。

2020年代に入っても全体的な生産水準は1961年当時と比較して低い水準に留まっており、2023年には362,520トンを生産しました。この数字は過去と比べると控えめながらも、長期的な平均値には近い値を示しています。

大麦はギリシャの農業において、飼料や輸出用などの面で重要な役割を果たす作物ですが、現在の状況は楽観視できません。特にEU内での競争や輸出市場の変動が国内生産に直接的な影響を及ぼしています。例えば、フランスやドイツなど、大麦生産において主導的な地位を占める国々は、生産技術や輸出ネットワークの強化によって競争力を高めており、それに比べギリシャの競争力は低い状況です。また、大麦生産量が特に多いインドやアメリカとは、農地面積や農業資本の規模が大きく異なるため、大きな生産量の差が生まれています。

今後、ギリシャは以下のような具体的な課題に取り組む必要があります。まず、農業部門への投資を増やし、更なる機械化や灌漑システムの導入を促進することです。加えて、若い農業従事者を積極的に育成し、高齢化した農業人口に代わる後継者を確保することが重要です。さらに、EUや国際市場での需要を考慮した品種改良や、国内での地元消費を支えるための持続可能な農法の採用も欠かせません。

地政学的な視点から見ると、気候変動はギリシャの大麦生産にも大きな影響を与えています。特に近年の夏季の高温や水資源不足は、収穫量の変動を引き起こしており、他の地中海諸国でも同様の課題が発生しています。国際協力の枠組みを活用し、気候変動対応策を講じつつ、生産効率の向上を図ることが求められます。

結論として、ギリシャの大麦生産量は過去のピーク時と比較して大きく下落しましたが、適切な政策と技術開発、若者の参入促進によって再び上向きとなる可能性があります。政府や国際機関が連携し、気候変動対策や国際市場における競争力の向上に取り組むことが、将来の安定的な大麦生産を支える鍵となるでしょう。