Skip to main content

ギリシャのクルミ(胡桃)生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年更新の最新データによると、ギリシャにおけるクルミ(胡桃)生産量は、過去60年以上にわたり大きな変動を見せてきました。1961年の約17,960トンから徐々に増減を繰り返しつつ、2021年には65,950トンとこれまでのピークに達しました。一方、2022年と2023年は減少傾向に転じ、2023年の生産量は39,580トンとなっています。この推移は、気候条件の変化や農業技術の進展、需要の変動など、様々な要因によるものです。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 39,580
-34.77% ↓
2022年 60,680
-7.99% ↓
2021年 65,950
81.18% ↑
2020年 36,400
17.27% ↑
2019年 31,040
-2.57% ↓
2018年 31,860
-10.96% ↓
2017年 35,783
24.3% ↑
2016年 28,788
10.94% ↑
2015年 25,949
5.49% ↑
2014年 24,598
1.53% ↑
2013年 24,229
3.4% ↑
2012年 23,431
2.41% ↑
2011年 22,879
1.18% ↑
2010年 22,612
0.86% ↑
2009年 22,419
2.86% ↑
2008年 21,796
3.76% ↑
2007年 21,006
-11.58% ↓
2006年 23,756
9.05% ↑
2005年 21,784
9.83% ↑
2004年 19,833
-1.44% ↓
2003年 20,122
2.46% ↑
2002年 19,639
-12.1% ↓
2001年 22,341
-4.92% ↓
2000年 23,497
-2.88% ↓
1999年 24,194
16.85% ↑
1998年 20,705
-1.65% ↓
1997年 21,053
-7.08% ↓
1996年 22,657
-0.15% ↓
1995年 22,692
-2.33% ↓
1994年 23,233
-4.28% ↓
1993年 24,271
-3.3% ↓
1992年 25,100
13.32% ↑
1991年 22,150
-3.65% ↓
1990年 22,988
-5.88% ↓
1989年 24,425
11.55% ↑
1988年 21,896
22.21% ↑
1987年 17,917
-27.65% ↓
1986年 24,764
-14.07% ↓
1985年 28,820
3.61% ↑
1984年 27,817
-1% ↓
1983年 28,098
10.5% ↑
1982年 25,429
-3.18% ↓
1981年 26,264
16.21% ↑
1980年 22,600
5.61% ↑
1979年 21,400
-2.01% ↓
1978年 21,840
9.96% ↑
1977年 19,862
-21.54% ↓
1976年 25,314
5.89% ↑
1975年 23,906
3.02% ↑
1974年 23,206
-17.6% ↓
1973年 28,162
20.4% ↑
1972年 23,391
-16.85% ↓
1971年 28,132
12.06% ↑
1970年 25,104
5.2% ↑
1969年 23,862
-4.63% ↓
1968年 25,021
9.05% ↑
1967年 22,945
10.04% ↑
1966年 20,851
1.58% ↑
1965年 20,526
13.25% ↑
1964年 18,125
14.97% ↑
1963年 15,765
-25.64% ↓
1962年 21,200
18.04% ↑
1961年 17,960 -

ギリシャのクルミ生産量データを詳しく分析すると、幾つかの特徴的な傾向が浮かび上がります。まず1960年代から1990年代中盤にかけて、平均的な生産量は20,000トン台前半でほぼ安定して推移していました。この期間には一部の年で気候変動や収穫技術の影響などにより増減が見られるものの、大きな増加は観測されていませんでした。

2000年代に入ると、全体的に23,000トンから25,000トンの範囲で推移しており、やや安定感を保っています。しかしながら、2016年以降になると生産量は急激に増加傾向を示し、2017年には35,783トン、そして2021年には65,950トンと、一気に歴史的なピークに達しました。この増産は、ギリシャにおける農業政策の転換や、国際需要の高まりを背景としたものであると推測できます。特にヨーロッパ市場を中心にクルミの健康価値が広く認識され、輸出需要が増加したことがこの生産拡大の要因と思われます。

一方で、2022年と2023年には再び生産が減少し、65,950トンから39,580トンへの縮小が見られます。この背景にはギリシャの気候変動による影響が考えられます。2023年には過去数十年で最も深刻な干ばつが発生しており、水不足や高温が農作物全般に大きなダメージを与えたと報告されています。同時に、世界の経済不安や物流問題により、輸出への障壁が増加した可能性もあります。

また地政学的なリスクにも大きく影響を受けていると考えられます。例えば、近年のウクライナ情勢緊迫化がヨーロッパ全体のサプライチェーンに波及し、肥料や農業資材の供給コスト上昇につながることで生産性が低下した可能性があります。このような地政学的背景はギリシャの農業政策にも中長期的に影響を与える可能性が高いです。

今後の課題としては、気候変動への適応と安定的な農業基盤の構築が挙げられます。ギリシャは地中海性気候を持つ国であり、気温の上昇や降水量の変動が直接的にクルミ生産量に影響を与えるため、農業水管理技術の導入や耐乾性品種の普及が急務です。また、生産者への財政的支援や国際市場での競争力を高めるための品質向上も重要です。例えば、有機農法を推進し「プレミアム」なクルミを生産することで、価格競争に頼らない収益構造を構築することができるでしょう。

さらに国際協力の重要性も高まっています。他のクルミ生産大国、例えばアメリカや中国と協力し、栽培技術や病害虫対策に関する知見を共有することで、持続可能な生産体制を築くことが可能です。また、EU内での農業支援策を有効活用することで、資金や技術力の不足を補うことも現実的な解決策です。

結論として、現在のギリシャのクルミ生産量は過去に類を見ないほどの変動を示しているものの、適切な政策と持続可能な農業戦略に基づけば、今後も安定的かつ競争力のあるクルミ生産国としての地位を確立することが可能と考えられます。長期的には、気候変動対応や市場動向に適応した施策により、さらなる成長と持続可能性を実現することが求められます。