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ギリシャの豚飼育数推移(1961年~2023年)

ギリシャの豚飼育数は、1960年代を通じて減少傾向を見せたものの、1970年代に急激な増加を見せ、1980年代でピークに達しました。その後、1990年代から徐々に減少する傾向が続き、2000年代には飼育数の安定的な減少が顕著となりました。ただし、2017年以降はわずかな上昇が見られ、直近の2022年の豚飼育数は741,600頭となっています。この長期データは、国の経済、農業政策、国際市場との関係や地政学的影響の背景を反映しています。

年度 飼育数(頭) 増減率
2023年 787,600
6.2% ↑
2022年 741,600
-2.28% ↓
2021年 758,900
2.14% ↑
2020年 743,000
1.36% ↑
2019年 733,000
1.66% ↑
2018年 721,000
0.58% ↑
2017年 716,856
2.74% ↑
2016年 697,724
-2.21% ↓
2015年 713,519
-1.47% ↓
2014年 724,150
-4.85% ↓
2013年 761,074
-3.98% ↓
2012年 792,611
-3.33% ↓
2011年 819,954
-2.34% ↓
2010年 839,630
-2.56% ↓
2009年 861,696
-2.27% ↓
2008年 881,691
-1.13% ↓
2007年 891,772
-1.17% ↓
2006年 902,302
-4.89% ↓
2005年 948,715
0.89% ↑
2004年 940,309
0.35% ↑
2003年 937,034
-0.33% ↓
2002年 940,145
0.68% ↑
2001年 933,784
-4.03% ↓
2000年 972,976
-2.62% ↓
1999年 999,205
0.1% ↑
1998年 998,245
1.14% ↑
1997年 987,001
-0.72% ↓
1996年 994,177
-1.37% ↓
1995年 1,008,037
-0.55% ↓
1994年 1,013,620
1.23% ↑
1993年 1,001,300
1.53% ↑
1992年 986,200
-0.94% ↓
1991年 995,517
-0.52% ↓
1990年 1,000,700
-1% ↓
1989年 1,010,842
1.31% ↑
1988年 997,775
-5.95% ↓
1987年 1,060,941
5.17% ↑
1986年 1,008,795
-4.92% ↓
1985年 1,060,941
-0.36% ↓
1984年 1,064,803
0.54% ↑
1983年 1,059,057
4.15% ↑
1982年 1,016,891
2.4% ↑
1981年 993,084
4.71% ↑
1980年 948,435
6.34% ↑
1979年 891,908
2.97% ↑
1978年 866,173
5.82% ↑
1977年 818,558
15.5% ↑
1976年 708,726
-6.89% ↓
1975年 761,145
-7.82% ↓
1974年 825,702
39.87% ↑
1973年 590,330
17.01% ↑
1972年 504,502
13.1% ↑
1971年 446,068
16.58% ↑
1970年 382,612
-2.48% ↓
1969年 392,336
-20.26% ↓
1968年 492,000
-10.99% ↓
1967年 552,717
-1.03% ↓
1966年 558,490
14.92% ↑
1965年 486,000
0.62% ↑
1964年 483,000
-5.85% ↓
1963年 513,000
-6.22% ↓
1962年 547,000
-12.9% ↓
1961年 628,000 -

ギリシャの豚飼育数の推移を分析すると、いくつかの重要な傾向が浮かび上がります。初期の1960年代には約62万頭の飼育規模でスタートしましたが、この時期には主に国内市場向けの食肉生産が主要な目的でした。しかし、その後の減少は、農村から都市部への労働力の流出や内需の低迷に影響されたと考えられます。この間、1969年には約39万頭まで縮小しました。

1970年代初頭には再び飼育数が増加し始め、1974年には80万頭を超える急成長を遂げました。この成長は、欧州共同体(現在のEU)との経済協力が進み、農業に対する補助金が増加したことによるものとみられます。その後1980年代に入ると、ギリシャの経済発展と食肉需要の高まりを追い風に、飼育数は約100万頭を超えるピークを記録しました。

1990年代以降、豚飼育数は安定した水準で推移しましたが、2000年代に入ると再び減少傾向が強まりました。この減少の一因として、EU内での市場競争激化や生産コストの上昇が挙げられます。同期間中、特に2008年の金融危機やそれに続く国家債務危機がギリシャの農村経済に甚大な影響を与え、多くの小規模生産者が経営を持続できなくなったことも影響しています。この時期の飼育数は2015年には約71万頭まで減少しました。

しかし2017年以降、わずかながら飼育数は増加傾向を見せています。この増加傾向は、ギリシャ政府が農業分野での近代化や効率化を推進し、輸出市場への対応を強化したことが要因です。しかし、2022年には約74万頭でやや減少しており、今後の動向は依然として注意が必要です。

こうした推移を見ると、ギリシャの豚飼育数に影響を与えた要因は複合的で、経済危機、農業政策、国際市場の変動、さらに地政学的要因などが絡み合っています。特に、国内の小規模農場がグローバル市場で競争する上での課題が浮き彫りになっています。

ギリシャが抱える課題については、まず生産コストを削減するための技術革新が必要です。また、小規模農場が効率的な生産を実現するために協同組合型の組織化を促進することも有効でしょう。さらに、地産地消を推進しつつ、高品質な豚肉製品を国際市場に向けて輸出するためのブランド戦略を強化することが求められます。

将来的には、気候変動が引き起こす農業環境の変化や、新型コロナウイルスの影響によるサプライチェーンの問題がリスク要因となることが予見されます。これに対応するためには、EUの政策枠組みを活用し、環境に配慮した安定的かつ持続可能な農業システムを構築する必要があります。

このデータから導き出される結論として、ギリシャの豚飼育産業は過去の大きな浮き沈みを経て、現在持続的発展へと向かっています。しかし、これを実現させるためには、国内外の市場情勢を見据えながら農業経済モデルを進化させることが不可欠です。具体的な対策としては、農場近代化、輸出促進、国際市場競争力向上のための支援プログラムの実施が挙げられます。これらの取り組みを通じて、ギリシャの豚飼育産業がさらなる安定と成長を遂げることが期待されます。