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ギリシャの羊の毛生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによると、ギリシャの羊の毛生産量は、1960年代の9,000トン前後から、1980年代にかけて徐々に増加し、一時的に10,000トンを超えるピークを迎えました。その後、2000年代以降は減少傾向が顕著で、2017年には7,400トンにまで減少しています。この推移は、ギリシャの農業生産基盤の変化や経済的状況、そして地政学的リスクなど多方面の影響を反映していると言えます。

年度 生産量(トン) 増減率
2017年 7,400
-1.13% ↓
2016年 7,484
-1.33% ↓
2015年 7,585
-1.06% ↓
2014年 7,666
-1.72% ↓
2013年 7,800 -
2012年 7,800
0.65% ↑
2011年 7,750
1.97% ↑
2010年 7,600
-5.53% ↓
2009年 8,045
0.57% ↑
2008年 8,000
-7.47% ↓
2007年 8,646
-2.5% ↓
2006年 8,868
-1.27% ↓
2005年 8,982
-1.04% ↓
2004年 9,076
0.92% ↑
2003年 8,993
-4.86% ↓
2002年 9,452
-0.82% ↓
2001年 9,530
-1.19% ↓
2000年 9,645
2.48% ↑
1999年 9,412
0.21% ↑
1998年 9,392
0.01% ↑
1997年 9,391
-1.95% ↓
1996年 9,578 -
1995年 9,578
-0.2% ↓
1994年 9,597
-10.36% ↓
1993年 10,706
1.89% ↑
1992年 10,507
8.64% ↑
1991年 9,671
-0.1% ↓
1990年 9,681
-0.04% ↓
1989年 9,685
0.96% ↑
1988年 9,593
1.05% ↑
1987年 9,493
-0.89% ↓
1986年 9,578
1.89% ↑
1985年 9,400
0.74% ↑
1984年 9,331
0.48% ↑
1983年 9,286
-9.08% ↓
1982年 10,213
0.27% ↑
1981年 10,186
2.57% ↑
1980年 9,931
0.95% ↑
1979年 9,838
10.91% ↑
1978年 8,870
-0.94% ↓
1977年 8,954
-1.44% ↓
1976年 9,085
-0.1% ↓
1975年 9,094
-1.29% ↓
1974年 9,213
5.11% ↑
1973年 8,765
5.65% ↑
1972年 8,296
1.87% ↑
1971年 8,144
1.95% ↑
1970年 7,988
-1.41% ↓
1969年 8,102
2.69% ↑
1968年 7,890
-2.33% ↓
1967年 8,078
1.66% ↑
1966年 7,946
-0.46% ↓
1965年 7,983
-3.33% ↓
1964年 8,258
-1.48% ↓
1963年 8,382
-2.59% ↓
1962年 8,605
-5.44% ↓
1961年 9,100 -
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ギリシャの羊の毛生産量は、その国の農業および畜産業の一翼を担ってきた指標の一つです。データが示すように、1961年には9,100トンの生産量がありましたが、その後10年間はやや減少がみられました。1970年代には持ち直し、1980年から1982年には10,000トンを超える高い生産量に到達しました。1990年代も生産量は比較的安定しており、1992年と1993年には過去最高となる10,507トンおよび10,706トンを記録しています。しかしながら、2000年以降は減少に転じ、近年では生産量の減少幅が大きくなり、2017年には7,400トンにまで落ち込んでいます。

この変化の背景には、様々な要因が関与しています。一つ目の要因は、ギリシャ国内の農業および畜産業の構造的な変化です。EU加盟後の農業政策の影響を受け、作物栽培や他の家畜生産が優先されるなど、羊毛生産が相対的に低下する傾向が見られました。二つ目に、国際的な羊毛需要の変動や価格低迷が挙げられます。化学繊維の台頭により、羊毛の市場競争力が弱まったことが背景にあり、これは世界的な現象ですがギリシャでも影響を受けました。同時に、家畜飼育に必要な資源や労働力の不足、都市部への人口移動などが地方の畜産業維持を困難にしています。

さらなる要因として、2008年以降の世界金融危機の影響が挙げられます。ギリシャは深刻な経済危機に直面したことで、農村部の経済基盤が一層弱体化し、家畜業の縮小が進みました。このように、社会経済的な要因と農業構造の変化が複合的に影響していると考えられます。

この現状の克服に向けて、いくつかの対策が提案されます。まず、羊の毛という資源自体の付加価値を高める取り組みが必要です。例えば、ギリシャ産の羊毛を高品質なブランド製品として国際市場にアピールすることが考えられます。それに加え、生産過程で環境に優しい手法を採用することで、持続可能な生産としての差別化も重要です。また、地域の農業経営を支援するための政策として、EU資金を利用した若年層の畜産業参入を促進したり、飼料価格の安定化を図るべきでしょう。

さらに、国内外で羊毛需要を拡大するために、化学繊維よりも自然素材を好むトレンドとの連携も視野に入れるべきです。持続可能なファッションやエコフレンドリー素材需要の高まりを活用することも、重要な戦略といえます。そして、地政学的リスクとしては、不安定な国際関係が羊毛輸出に及ぼす潜在的な影響も注視する必要があります。特にギリシャ周辺地域における輸送ルートの確保や、自然災害の発生に備えた輸出支援策も欠かせません。

結論として、ギリシャにおける羊の毛生産量の減少は、国際的および国内的な要因が重なって引き起こされた結果であると言えます。この課題を乗り越えるためには、産業構造の変化を見据えた政策立案や、持続可能性を重視した経済戦略が不可欠です。今後、農業関係者、政策立案者、そして国際機関が連携し、ジリ貧状態から脱却し得る新たな方法を模索することが求められます。

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