Skip to main content

ギリシャのオレンジ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organizationが2024年7月に更新した最新データによると、ギリシャのオレンジ生産量は1961年から2022年までの間に大きな変動を経験しながらも、長期的には増加傾向を示しています。特に1990年代後半から2000年代初頭には年間100万トンを超えるピークに達した一方で、2020年代には再び減少傾向が見られます。2022年の生産量は約87万トンであり、依然として世界的に重要なオレンジ生産国の一つであり続けています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 865,880
-0.89% ↓
2022年 873,670
6.77% ↑
2021年 818,310
-7.71% ↓
2020年 886,640
4.42% ↑
2019年 849,080
-7.02% ↓
2018年 913,190
25.53% ↑
2017年 727,459
-9.73% ↓
2016年 805,860
-0.34% ↓
2015年 808,646
7.22% ↑
2014年 754,175
-13.89% ↓
2013年 875,823
3.09% ↑
2012年 849,538
0.27% ↑
2011年 847,254
-6.4% ↓
2010年 905,159
-6.67% ↓
2009年 969,852
12% ↑
2008年 865,905
6.16% ↑
2007年 815,668
-9.28% ↓
2006年 899,122
-3.95% ↓
2005年 936,094
34.05% ↑
2004年 698,294
-26.64% ↓
2003年 951,892
-20.22% ↓
2002年 1,193,191
7.27% ↑
2001年 1,112,307
17.61% ↑
2000年 945,763
-15.81% ↓
1999年 1,123,421
37.13% ↑
1998年 819,254
-17.84% ↓
1997年 997,131
4.36% ↑
1996年 955,456
1.84% ↑
1995年 938,233
-8.94% ↓
1994年 1,030,399
9.98% ↑
1993年 936,923
-0.63% ↓
1992年 942,900
19.61% ↑
1991年 788,300
-10.24% ↓
1990年 878,185
-7.17% ↓
1989年 946,041
21.55% ↑
1988年 778,344
59.91% ↑
1987年 486,730
-42.62% ↓
1986年 848,241
34.3% ↑
1985年 631,609
-21.57% ↓
1984年 805,344
21.11% ↑
1983年 664,943
-10.2% ↓
1982年 740,509
1.69% ↑
1981年 728,195
10.97% ↑
1980年 656,221
89.43% ↑
1979年 346,413
-39.31% ↓
1978年 570,821
-1.8% ↓
1977年 581,308
0.39% ↑
1976年 579,045
3.97% ↑
1975年 556,932
-4.47% ↓
1974年 582,963
35.62% ↑
1973年 429,843
-15.72% ↓
1972年 510,027
40.61% ↑
1971年 362,720
-12.47% ↓
1970年 414,415
-12.89% ↓
1969年 475,740
8.04% ↑
1968年 440,346
46.22% ↑
1967年 301,159
-32.3% ↓
1966年 444,854
17.09% ↑
1965年 379,928
-0.5% ↓
1964年 381,827
40.8% ↑
1963年 271,180
7.64% ↑
1962年 251,934
-19.26% ↓
1961年 312,023 -

ギリシャのオレンジ生産量の推移から、特に注目すべきは、1960年代後半から2000年代初頭にかけての段階的な増加と、近年の減少傾向です。1961年の生産量は約31万トンという控えめな数字から始まりましたが、1970年代に入ると40万トンを超え、1980年代後半には急激に増加して80~90万トンの安定した高水準に達しました。1994年には初めて100万トンを超え、その後1999年と2002年には記録的な120万トン以上を生産しました。この成長の背景には、新しい品種の導入、効率的な栽培技術、気候条件の安定、さらには輸出需要の拡大が挙げられます。

一方で、2000年代中盤以降のデータを見てみると、2004年には一時的に70万トン台にまで落ち込み、その後も90万トン前後での揺れが続いています。この時期の減少の要因として、国内農業における構造的課題が考えられます。たとえば、若年層の農業離れ、土地所有の細分化、気候変動に伴う不安定な降水量や高温化による生育条件の悪化などが挙げられます。近年、2021年や2022年の気候データを見ると、降水量不足や猛暑が作物に悪影響を及ぼした可能性があります。

地政学的要因も無視できません。特に近年、ロシア・ウクライナ情勢やエネルギー価格の高騰がギリシャの農業セクターに影響を及ぼしています。これらの問題は肥料や燃料の価格を押し上げ、生産コストの増大を招きました。さらに、新型コロナウイルスのパンデミックも輸送や人手不足の観点で一定の影響を与えたと推測されます。

国際比較を行うと、ギリシャのオレンジ生産はイタリアやスペインと比較してやや規模が小さいものの、ヨーロッパ市場では依然として品質の高さで需要があります。一方で、インドやブラジル、中国といった新興市場の生産拡大により、競争が厳しくなっているのも事実です。これらの国々は広大な農地と豊富な人手を活用し、低コストでの大量生産が可能なため、価格競争力で優位に立っています。

ギリシャのオレンジ産業が直面する課題にはいくつかの具体的な解決策が考えられます。まず、気候変動の影響を緩和するために、灌漑システムの改良や気候に強い品種への転換が必要です。また、生産率を向上させるために、農業技術への投資やデジタル農法の導入を推進すべきです。加えて、若年層を農業分野に引きつけるためのインセンティブ制度を設けることも有効でしょう。国際市場での競争力を強化するために、ブランド戦略を練り、ギリシャ産オレンジの優れた味や品質を広くアピールするマーケティング活動が重要です。

また、EUの政策枠組みを活用した地域協力も有効な手立ての一つです。他の地中海諸国と連携し、生産から流通までの効率化を図りながら、国際市場全体での存在感を高めるべきです。さらに、オーガニック製品や加工品(ジュースやジャムなど)の市場参入を拡大することで、高付加価値の商材を育成することができます。

結論として、ギリシャのオレンジ生産は歴史的に増減を繰り返しながらも、その地理的条件と既存の技術基盤を活かして復活する可能性を十分に秘めています。これには政策的な支援とともに、生産者自身の戦略的な行動が欠かせません。持続可能な農業モデルへの移行を進め、社会的課題や気候変動への対応を強化しながら、国内外の市場で再び競争力を持つための取り組みが求められています。