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ギリシャのトマト生産量推移(1961-2022)

国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新のギリシャのトマト生産量データによると、ここ数十年間において、ギリシャのトマト生産量は一時的な増加を伴うも、総じて減少傾向を示しています。1970年代後半から1980年代初頭にかけては200万トンを超えることもありましたが、その後は変動を繰り返しながら低下し、2022年の生産量は752,510トンとなりました。この数値は、ピーク時である1984年の2,388,410トンの約31.5%に過ぎません。

年度 生産量(トン)
2022年 752,510
2021年 888,320
2020年 908,250
2019年 808,670
2018年 835,940
2017年 785,264
2016年 897,691
2015年 926,113
2014年 917,902
2013年 1,221,168
2012年 1,261,579
2011年 1,294,589
2010年 1,475,735
2009年 1,533,869
2008年 1,397,437
2007年 1,460,944
2006年 1,568,731
2005年 1,705,351
2004年 1,985,942
2003年 1,817,525
2002年 1,752,433
2001年 1,862,626
2000年 2,085,350
1999年 2,127,080
1998年 2,130,940
1997年 2,026,396
1996年 2,062,420
1995年 2,064,239
1994年 2,030,566
1993年 1,944,764
1992年 1,850,000
1991年 2,134,000
1990年 1,844,000
1989年 2,052,000
1988年 1,717,000
1987年 1,688,546
1986年 1,656,000
1985年 2,264,000
1984年 2,388,410
1983年 1,868,795
1982年 1,873,241
1981年 1,884,600
1980年 1,551,911
1979年 1,720,716
1978年 1,655,597
1977年 1,199,133
1976年 1,042,874
1975年 1,670,767
1974年 1,634,915
1973年 1,265,097
1972年 967,682
1971年 1,096,161
1970年 1,011,393
1969年 819,985
1968年 662,873
1967年 518,217
1966年 514,420
1965年 470,196
1964年 435,910
1963年 418,118
1962年 346,180
1961年 368,273

ギリシャは歴史的に地中海気候の恩恵を受け、多種多様な農作物を生産してきた国であり、特にトマトはその代表的な農産品の一つです。しかし、1960年代から2022年までの生産量データを分析すると、トマト生産量の推移には明らかな周期的な変動があり、その背景にはいくつかの内外的要因が影響していると考えられます。

まず、トマト生産が顕著に上昇したのは1960年代後半から1970年代です。この時期、ギリシャでは農業生産効率を改善するための灌漑(かんがい)設備や栽培技術の発展が進みました。1974年には生産量が1,634,915トンに達しました。この後、1980年代初頭になると輸送インフラや生産技術がさらに強化され、生産量は2,000,000トンを大幅に上回る水準に達し、1984年には過去最高の2,388,410トンを記録しました。

しかし、それ以降、トマト生産量は不安定に推移し、2000年代には減少傾向が顕著になります。この減少にはいくつかの理由が挙げられます。まず、ギリシャ国内での農業従事者の高齢化や都市部への人口集中が進み、農地の確保や労働力の維持が難しくなっています。また、トマトの栽培には水資源が必要不可欠ですが、近年では干ばつや気候変動の影響により水資源の確保が困難になる地域も見られます。さらに、1990年代後半からEUによる農業政策や補助金の変化が、ギリシャの農業経済に影響を与えたとも考えられます。

2010年代以降では、ギリシャ経済危機が農業全体に深刻な影響を及ぼしました。この経済危機による政府予算の減少や投資の縮小が、農業支援にも直接的な制約を与えた可能性があります。また、2017年以降の生産量は800,000トンを下回る水準で推移しており、2022年の752,510トンは過去数十年で最低水準に近い数値となっています。このような状況から判断すると、ギリシャのトマト生産は、今後持続可能な対応を検討する必要があります。

将来的な課題としては、気候変動への対応が重要になります。干ばつや異常気象が頻発する中で、栽培技術の見直しとスマート農業(IoTやAI技術を活用した効率的な農業)の導入が期待されます。また、希少な水資源を有効に活用するための新たな灌漑設備の導入や地域全体での協力体制の構築も求められます。さらに、ギリシャ国内だけでなく、EUを通じた政策協調や農産物の輸出拡大戦略をもとに、トマト産業の競争力を高める必要があります。

また、国際貿易の観点からも、中国やインドなどの新興国はトマト輸出市場で急成長を見せており、ギリシャにとってはこれらの国々との競争が一層厳しくなっています。同時に、トマトをはじめとする農産物市場は地政学的リスクの影響も大きく、例えばロシア・ウクライナ間の紛争が農業資材や輸出市場に与える間接的な影響も無視できません。

結論として、ギリシャのトマト生産の現状を踏まえると、競争力の低下や気候変動への適応政策は喫緊の課題と言えます。しかし、地域独自の農産物ブランドの活用や技術革新の推進により、より持続可能な農業生産体制を築くことが可能です。政府や農業団体、地域社会が一丸となり、長期的視点での戦略的な対応が求められます。