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ギリシャのイチゴ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が提供する最新データによると、ギリシャのイチゴ生産量は、2022年に99,640トンに達し、長期的な推移の中で最大値を記録しました。特に2014年以降の急激な増加傾向が顕著であり、それ以前の安定期や低迷期と対照的です。生産量は1960年代の平均約5,000トンから、2020年代において約80,000〜100,000トン前後に大幅に増加しました。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 107,740
8.13% ↑
2022年 99,640
15.62% ↑
2021年 86,180
2.33% ↑
2020年 84,220
13.15% ↑
2019年 74,430
25.45% ↑
2018年 59,330
-20% ↓
2017年 74,158
-4.1% ↓
2016年 77,327
17.06% ↑
2015年 66,060
17.83% ↑
2014年 56,061
710.71% ↑
2013年 6,915
-5.54% ↓
2012年 7,321
-26.22% ↓
2011年 9,923
-11.58% ↓
2010年 11,222
7.72% ↑
2009年 10,417
5.34% ↑
2008年 9,890
5% ↑
2007年 9,419
34.6% ↑
2006年 6,998
-4.56% ↓
2005年 7,332
-5.96% ↓
2004年 7,797
1.52% ↑
2003年 7,680
-12.55% ↓
2002年 8,783
-5.08% ↓
2001年 9,253
-0.79% ↓
2000年 9,327
-10.79% ↓
1999年 10,455
12.65% ↑
1998年 9,281
-2.18% ↓
1997年 9,487
-18.64% ↓
1996年 11,662
24.79% ↑
1995年 9,345
3.22% ↑
1994年 9,054
-43.11% ↓
1993年 15,914
106.67% ↑
1992年 7,700
14.93% ↑
1991年 6,700
-22.02% ↓
1990年 8,592
13.05% ↑
1989年 7,600
20.63% ↑
1988年 6,300
9% ↑
1987年 5,780
29.86% ↑
1986年 4,451
-47.52% ↓
1985年 8,481
-12.12% ↓
1984年 9,651
-2.15% ↓
1983年 9,863
-8.74% ↓
1982年 10,807
-33.61% ↓
1981年 16,278
19.47% ↑
1980年 13,625
10.64% ↑
1979年 12,315
3.4% ↑
1978年 11,910
23.91% ↑
1977年 9,612
9.5% ↑
1976年 8,778
10.21% ↑
1975年 7,965
7.97% ↑
1974年 7,377
-0.69% ↓
1973年 7,428
14.82% ↑
1972年 6,469
34.49% ↑
1971年 4,810
-13.05% ↓
1970年 5,532
3.21% ↑
1969年 5,360
7.67% ↑
1968年 4,978
-7.3% ↓
1967年 5,370
4.41% ↑
1966年 5,143
-4.58% ↓
1965年 5,390
6.77% ↑
1964年 5,048
31.66% ↑
1963年 3,834
23.88% ↑
1962年 3,095
7.54% ↑
1961年 2,878 -

ギリシャのイチゴ生産量は、この約60年間で非常に多様な推移を示してきました。1961年から1980年までは、年間生産量が2,800トンから16,000トンまで徐々に増加するレベルでした。特に1970年代後半から1980年にかけては安定した成長がみられ、13,000トンを超える水準に達しました。しかし、1980年以降は1982年の10,807トンを境に長期間の減少、停滞期を迎え、1986年の4,451トンという低水準や1993年の急激な増加(15,914トン)などの変動が特徴となりました。

注目すべきは、2014年以降の劇的な生産量の増加です。2014年には56,061トンを記録し、翌年にはさらに加速して66,060トンとなり、それ以降は右肩上がりに増加を続けています。2022年にはついに約10万トンを超えるという過去最高を記録しました。この急激な増加は、ギリシャ国内におけるイチゴ栽培技術の進展、低コストかつ高効率な農業手法の普及、さらには輸出の増加などが主な背景として考えられます。

一方で、この生産量急増にはいくつかの課題も潜んでいます。まず、イチゴ生産には適切な灌漑(水資源の管理)と土壌の維持が必要ですが、ギリシャは地中海性気候の影響下にあり、干ばつや気候変動による水不足の懸念があります。水資源の適切な管理が今後の持続可能な生産において不可欠です。また、ギリシャのイチゴ産業は主に輸出に依存しているため、国際市場での需要変動や地政学的リスクが大きな影響を及ぼす可能性があります。たとえば、近年のエネルギー危機や物流コストの上昇は輸出競争力に直接的な悪影響をもたらす要因になる可能性があります。

さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年以降一時的な農業労働力不足が発生しましたが、この課題を克服するために機械化やデジタル農業技術の導入が進められています。ただし、過剰な生産が市場の需要バランスを崩さないよう、適切な生産計画や輸出戦略を立案することが重要です。

将来に向けて、いくつかの具体的な対策が提案できます。まず、持続的な農業を実現するため、水資源管理の徹底、農地の土壌保全、気候変動への適応策を取り入れることが必要です。また、EU内外の協力を通じた輸出市場の多様化や、新規市場の開拓も検討すべきです。さらに、ギリシャ国内市場において消費拡大を図る施策や、イチゴを使った加工品産業の推進も重要となります。

結論として、ギリシャのイチゴ生産は、技術革新と国際市場での需要取り込みにより大きな成長を遂げていますが、この急激な増加を持続可能にするためには、環境や国際市場のリスクに対応する、包括的かつ長期的な戦略が必要とされています。国際機関やEUの支援を活用しつつ、持続可能性を追求し、同産業のさらなる発展を目指す必要があります。