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ギリシャのブドウ生産量推移(1961年~2023年)

ギリシャのブドウ生産量は1960年代から2023年までの間、大きな変動を見せてきました。ピークは1968年の1,714,201トンで、1970年代も比較的高水準を維持していましたが、その後減少傾向が現れました。1990年代以降、生産量は70万トン規模に縮小し、直近の2023年には564,210トンと1961年以降で最も低い数値を記録しました。このような減少にはさまざまな要因が絡み合っていると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 564,210
-30.85% ↓
2022年 815,980
-1.49% ↓
2021年 828,280
1.53% ↑
2020年 815,790
1.02% ↑
2019年 807,570
-13.46% ↓
2018年 933,150
12.76% ↑
2017年 827,537
-0.76% ↓
2016年 833,845
-20.18% ↓
2015年 1,044,700
-0.12% ↓
2014年 1,045,990
68.46% ↑
2013年 620,921
-0.65% ↓
2012年 624,978
0.61% ↑
2011年 621,158
-4.85% ↓
2010年 652,812
-2.37% ↓
2009年 668,685
0.12% ↑
2008年 667,900
2.14% ↑
2007年 653,905
-12.37% ↓
2006年 746,221
2.15% ↑
2005年 730,506
1.91% ↑
2004年 716,802
-2.04% ↓
2003年 731,707
21% ↑
2002年 604,715
-16.48% ↓
2001年 724,008
8.45% ↑
2000年 667,626
-4.83% ↓
1999年 701,527
-0.28% ↓
1998年 703,463
-1.02% ↓
1997年 710,706
-2.16% ↓
1996年 726,365
0.87% ↑
1995年 720,074
3.6% ↑
1994年 695,043
-4.78% ↓
1993年 729,949
-42.22% ↓
1992年 1,263,340
-2.25% ↓
1991年 1,292,400
15.14% ↑
1990年 1,122,435
-29.34% ↓
1989年 1,588,605
7.76% ↑
1988年 1,474,232
6.28% ↑
1987年 1,387,081
-13.49% ↓
1986年 1,603,384
-4.59% ↓
1985年 1,680,468
-1.77% ↓
1984年 1,710,810
1.79% ↑
1983年 1,680,690
7.11% ↑
1982年 1,569,140
-2.06% ↓
1981年 1,602,190
5.34% ↑
1980年 1,521,010
9.51% ↑
1979年 1,388,940
-6.62% ↓
1978年 1,487,400
4.39% ↑
1977年 1,424,900
-2.01% ↓
1976年 1,454,170
-3.3% ↓
1975年 1,503,870
-3.5% ↓
1974年 1,558,450
10.75% ↑
1973年 1,407,180
2.86% ↑
1972年 1,368,000
-6.64% ↓
1971年 1,465,272
-5.97% ↓
1970年 1,558,359
-7.42% ↓
1969年 1,683,194
-1.81% ↓
1968年 1,714,201
26.71% ↑
1967年 1,352,835
-8.57% ↓
1966年 1,479,638
-0.09% ↓
1965年 1,480,983
11.25% ↑
1964年 1,331,198
19.05% ↑
1963年 1,118,190
-29.94% ↓
1962年 1,596,070
12.39% ↑
1961年 1,420,137 -

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新データによれば、ギリシャのブドウ生産量は過去60年以上にわたって著しい変動を経験しています。特に1960年代から1980年代までの期間は安定した高い生産量を維持しており、1968年には1,714,201トンという歴史的な最高値を記録しました。この時期、ギリシャはエーゲ海や地中海沿岸の豊かな自然環境と適切な気候条件を最大限に活用し、国内市場や輸出市場のニーズに応えていました。

しかし、1990年代に入ると、生産量は急速に減少し始めます。1993年には729,949トンと、わずか数年で半減しています。これは世界的な農業政策の変化に加え、ギリシャ国内の農業構造の変化が要因として挙げられます。ヨーロッパ連合(EU)の補助政策が一部農家に栽培転換を促し、また労働力の不足や都市への人口流出が農業全般に影響を与えたと考えられます。

さらに、2000年代以降では気象条件の変化がブドウ生産に大きく影響を与えるようになりました。地中海性気候が特徴のギリシャにおいて気候変動による干ばつや気温の極端な変動が頻発し、生産量を安定させることが困難になっています。特筆すべきは2014年、2015年の生産量が一時的に100万トンを超えており、回復の兆しが見えたものの長くは続きませんでした。

2023年の564,210トンという数値は、記録開始以来最も低い水準です。この低下には、以下のような複数の要因が絡んでいると考えられます。新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより農業労働力が低下したこと、また持続するウクライナ危機などに伴うエネルギー価格高騰や肥料の供給不足が農業コストを押し上げたことが挙げられます。

ギリシャでは、ブドウ栽培はワイン産業を支える重要な基盤であり、経済や文化に深く根付いています。しかし、近年の収穫量の減少は、この産業の持続可能性に大きな課題をもたらしています。この現状を打開するためにはいくつかの具体的な対策が重要です。まず、灌漑設備の近代化や乾燥に強い品種の栽培促進など、気候変動への適応策を積極的に導入することが必要です。同時に、農家への技術支援を強化し、収穫効率を向上させる取組も求められます。また、EU内や地中海諸国間での協力強化を進め、技術共有や政策統合を推進し、地域全体で収益性の高い農業を目指すことも重要です。

地政学的なリスクにも注意を払う必要があります。貿易面では、ブドウの輸出先市場での競争が激化しており、ギリシャの生産者には品質向上やブランディングの強化が求められています。また、エネルギーや肥料の安定供給を確保するため、国際的なサプライチェーンの安定化に向けた取り組みも不可欠です。

結論として、ギリシャのブドウ生産量の推移は国内外の多くの要因に影響されてきましたが、これを今後回復させるためには技術革新、政策の調整、国際協力が鍵となります。政府や国際機関はこれらの課題に対応する具体的な方策を講じ、持続可能な農業実現に向けた支援を提供することが期待されます。