Skip to main content

ギリシャのキュウリ類生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ギリシャのキュウリ類の生産量は1961年の50,853トンから1985年の186,469トンまで増加傾向を示しました。しかし、1990年代から一部の年を除いて減少傾向が見られ、特に2023年の生産量は115,710トンと、そのピーク時(1985年)の約62%まで落ち込んでいます。近年の変動要因としては、地域的な経済状況、農業の近代化の遅れ、気候変動の影響などが考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 115,710
-18.79% ↓
2022年 142,490
-8.54% ↓
2021年 155,800
-1.71% ↓
2020年 158,510
5.86% ↑
2019年 149,740
-3.69% ↓
2018年 155,480
9.27% ↑
2017年 142,289
-6.88% ↓
2016年 152,799
-0.81% ↓
2015年 154,050
0.05% ↑
2014年 153,969
-4.58% ↓
2013年 161,366
-4.2% ↓
2012年 168,439
0.48% ↑
2011年 167,630
0.11% ↑
2010年 167,448
10.12% ↑
2009年 152,055
-4.91% ↓
2008年 159,912
0.92% ↑
2007年 158,448
1.54% ↑
2006年 156,048
-1.56% ↓
2005年 158,520
1.55% ↑
2004年 156,108
-3.82% ↓
2003年 162,309
-3.01% ↓
2002年 167,352
8.18% ↑
2001年 154,701
-5.74% ↓
2000年 164,124
3.74% ↑
1999年 158,213
-5.62% ↓
1998年 167,625
-2.57% ↓
1997年 172,042
3.94% ↑
1996年 165,519
-2.59% ↓
1995年 169,924
-1.07% ↓
1994年 171,759
-1.63% ↓
1993年 174,614
12.51% ↑
1992年 155,200
-17.97% ↓
1991年 189,200
15.53% ↑
1990年 163,770
0.78% ↑
1989年 162,500
-2.58% ↓
1988年 166,800
1.68% ↑
1987年 164,050
5.18% ↑
1986年 155,966
-16.36% ↓
1985年 186,469
34.09% ↑
1984年 139,067
-1.65% ↓
1983年 141,406
-12.31% ↓
1982年 161,258
14.7% ↑
1981年 140,592
-1.89% ↓
1980年 143,295
18.86% ↑
1979年 120,560
15.27% ↑
1978年 104,586
-8.59% ↓
1977年 114,409
11.32% ↑
1976年 102,773
0.79% ↑
1975年 101,968
-5.35% ↓
1974年 107,735
-0.91% ↓
1973年 108,728
10.09% ↑
1972年 98,759
0.42% ↑
1971年 98,343
-12.53% ↓
1970年 112,432
48.35% ↑
1969年 75,786
7.87% ↑
1968年 70,259
12% ↑
1967年 62,731
0.91% ↑
1966年 62,164
16.92% ↑
1965年 53,169
3.9% ↑
1964年 51,171
4.92% ↑
1963年 48,772
2.53% ↑
1962年 47,567
-6.46% ↓
1961年 50,853 -

1961年から2023年までのデータから、ギリシャのキュウリ類の生産量は明確な変動パターンを持っています。初期の1960年代は緩やかな増加傾向があり、1970年代から急速な拡大を見せました。この成長は、農業技術の進歩と欧州市場への輸出増加によるものと推測されます。特に1970年はじめには112,432トン、1980年には143,295トンと、生産量の飛躍が見られ、1985年には186,469トンと過去最高を記録しました。

しかし、それ以降のデータでは、生産量が概ね安定するか、やや減少する動きを見せています。1995年から2000年にかけて、160,000トン前後で推移する状況が続きましたが、2009年以降のデータでは再び減少傾向が顕著となります。直近の2023年の生産量は115,710トンで、過去10年間で最も低い値に達しました。

この推移には、いくつかの重要な要因が影響していると考えられます。まず、ギリシャの地中海性気候はキュウリ類の栽培に適しているものの、近年の気候変動による影響が深刻です。気温の上昇や干ばつの頻発などにより、生産環境が厳しくなっている可能性があります。また、農業における労働力不足、特に若年層の農業離れは、生産量減少の一因と言えるでしょう。経済状況の変化も無視できない要因であり、ギリシャが経験した経済危機は農業分野への投資を妨げ、設備や技術改良の遅れを招いた可能性があります。

一方で、ギリシャの国際マーケットへの輸出量や競合国との競争状況も重要です。例えば、キュウリ類の輸出市場において、同じ地中海地域のスペインやトルコといった国が競争力を持っています。これらの国々では、農業インフラの整備や規模の経済を活かした効率的な生産が進められており、相対的にギリシャの競争力が低下したと考えられます。

さらに、地域的な地政学的要素も影響を与えています。特に、近年増加している地中海東部での緊張や移民の流入は、ギリシャの農地利用や安定的な生産体制に影響を及ぼしている可能性があります。また、コロナ禍による流通の混乱や、エネルギーコストの高騰も、農業への負担を一層大きくしたと考えられます。

今後の対策として、国内の農業生産効率を向上させることが急務です。これは、灌漑設備の近代化や耐乾性を持つ品種の拡充など、技術革新を通じて達成可能です。また、農業労働者の確保には、若年層や移民労働者の農業参画を促進する政策が重要です。加えて、地域間協力を強化し、他の地中海諸国との間で持続可能な農業方法を共有することも有益でしょう。

結論として、ギリシャのキュウリ類生産量の推移は、過去数十年にわたる地理的、経済的、気候的要因の影響を多分に受けてきました。これに対処するには、長期的視点での政策立案とともに、国内外の変化に柔軟に適応できる仕組みを構築する必要があります。国際機関や隣接諸国との協力も欠かせない要素であり、これがギリシャの農業復興のみならず、更なる成長の鍵となるでしょう。

キーワード検索