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ギリシャのカリフラワー・ブロッコリー生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表した最新データによると、ギリシャにおけるカリフラワー・ブロッコリーの生産量は、1961年に23,840トンでスタートし、2000年代前半においては80,000トンを超えた時期が続きました。しかし、2011年のピーク時には110,054トンに達したものの、その後は一貫して減少傾向にあり、2023年には38,290トンまで減少しています。この変化は、農業政策の変化、気候条件、経済構造の変動など、複数の要因が絡み合った結果と考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 38,290
-19.81% ↓
2022年 47,750
-0.6% ↓
2021年 48,040
-5.79% ↓
2020年 50,990
2.93% ↑
2019年 49,540
-16.51% ↓
2018年 59,340
-4.39% ↓
2017年 62,063
-8.16% ↓
2016年 67,576
-13.36% ↓
2015年 78,000
2.07% ↑
2014年 76,417
-29.64% ↓
2013年 108,605
-1.32% ↓
2012年 110,054
0.29% ↑
2011年 109,735
6.32% ↑
2010年 103,213
0.84% ↑
2009年 102,358
1.01% ↑
2008年 101,333
4.9% ↑
2007年 96,598
15.98% ↑
2006年 83,288
-3.46% ↓
2005年 86,273
-2.54% ↓
2004年 88,521
-0.11% ↓
2003年 88,620
11.05% ↑
2002年 79,802
2.61% ↑
2001年 77,774
-3.82% ↓
2000年 80,865
2.33% ↑
1999年 79,023
2.81% ↑
1998年 76,865
1.35% ↑
1997年 75,842
-5.36% ↓
1996年 80,140
2.58% ↑
1995年 78,121
2.85% ↑
1994年 75,959
3.45% ↑
1993年 73,424
20.76% ↑
1992年 60,800
5.92% ↑
1991年 57,400
-16.63% ↓
1990年 68,853
27.51% ↑
1989年 54,000
-5.76% ↓
1988年 57,300
-5.69% ↓
1987年 60,760
13.91% ↑
1986年 53,341
1.53% ↑
1985年 52,537
-11.95% ↓
1984年 59,669
14.58% ↑
1983年 52,077
-1.17% ↓
1982年 52,693
0.91% ↑
1981年 52,219
4.94% ↑
1980年 49,760
12.12% ↑
1979年 44,380
3.18% ↑
1978年 43,013
4.61% ↑
1977年 41,119
-0.63% ↓
1976年 41,378
7.45% ↑
1975年 38,509
-8.16% ↓
1974年 41,929
2.6% ↑
1973年 40,865
14.62% ↑
1972年 35,652
-3.55% ↓
1971年 36,964
-4.73% ↓
1970年 38,800
10.57% ↑
1969年 35,090
4.42% ↑
1968年 33,604
7.18% ↑
1967年 31,352
-5.75% ↓
1966年 33,264
13.7% ↑
1965年 29,256
1.44% ↑
1964年 28,841
-0.24% ↓
1963年 28,910
26.16% ↑
1962年 22,915
-3.88% ↓
1961年 23,840 -

ギリシャのカリフラワー・ブロッコリーの生産量データを時系列で観察すると、60年以上にわたる生産の大きな推移が見られます。1960年代はおおよそ20,000トン台後半で低調に推移していました。この時期は、ギリシャ農業の産業化が進む直前の時代であり、技術やインフラの未発達、内需の限界などから生産量が制約されていたと推測されます。しかし、1970年代に入ると技術的な進展やインフラの拡充、また経済成長の影響で生産量が大きく増加し、1980年代には50,000トンを超える水準に到達しました。

1990年代以降は農業技術のさらなる進展やEU(欧州連合)加盟による貿易規制緩和の恩恵を受け、生産量が70,000トン以上まで引き上げられました。この時期、カリフラワーやブロッコリーなどの野菜は国内需要だけでなく、輸出品目としても注目され、ギリシャ農業において重要な作物となったと考えられます。しかし、2000年代後半から2010年代序盤にかけては一時的にピークを迎えたものの、その後急激に減少に転じています。

特に2014年以降の生産量の低下が顕著で、ここにはいくつかの要因が絡んでいると考えられます。第一に、ギリシャの経済危機が大きな影響を及ぼしました。この危機は国内農業全体に多大な影響をもたらし、農業活動に必要な資金調達が困難になると同時に、従事者数の減少を招いた可能性があります。また、労働力不足も一因として挙げられ、特に若年層が農業従事を敬遠する傾向が問題視されています。

第二に、気候変動が農業環境に及ぼす影響が増大しています。ギリシャは長期的な気候変動の影響を受けやすい地中海性気候の地域に位置しており、近年の夏季には高温や干ばつが頻発しています。ブロッコリーやカリフラワーの栽培には一定の気温や降水が必要となりますが、不安定な気候条件が収量減少を引き起こした可能性があります。

さらに、ギリシャ国内における農業政策や補助金の配置が、特定の作物をより優先して支援する方向へとシフトしている点も要因と考えられます。一方で、輸入品の増加により国内生産への需要が減少し、生産者にとって収益が魅力的でなくなったことも見過ごせません。

これらの問題を解決するためには、以下の具体的な政策提言が重要です。一つ目に、農業技術の効率化や気候変動に強い品種の導入が挙げられます。これには、耐暑性や耐干ばつ性を持つ新品種の研究・開発と普及を伴う政府主導のイニシアティブが必要です。農業分野の研究投資を増やすことで、この課題への対応を加速化することが求められます。

次に、若年層への農業参入を促進する施策が重要です。特に、都市部に住む若者が農業に興味を持つような教育プログラムやインセンティブを提供することが考えられます。これをもとに、農業経済の再生と地域コミュニティの活性化が期待されます。

気候変動への対応としては、灌漑システムの近代化や雨水の効率的な利用など、インフラ面での強化が必要です。また、EUの枠組み内での協力を通じた気候変動対策の推進も、ギリシャにおける農業再建の鍵になるでしょう。

最後に、地域間協力の枠組みを通じた輸出先市場の開拓や、国内市場の再活性化も視野に入れるべきです。他の地中海沿岸諸国での成功例と協力しながら、各地域の強みを活かした農業ネットワークを構築することが重要です。

結論として、ギリシャのカリフラワー・ブロッコリー生産量の減少は国際的・国内的な課題が複雑に絡み合い、その解決には多面的なアプローチが欠かせません。政府・民間・学術機関が連携し、持続可能で競争力のある農業生産体制を構築することが、長期的な成功への鍵となるでしょう。