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ギリシャの牛乳生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関が2024年7月に更新した最新のデータによると、1961年から2022年の間にギリシャの牛乳生産量は全体的に増加傾向を示しました。ただし、いくつかの時期では減少や停滞も観察されます。最も顕著な伸びを見せたのは1960年代から1990年代で、多くの年で着実な増加が継続しました。一方、2000年代後半から2010年代にかけてはほぼ横ばいか減少基調となり、特に2018年以降には生産量の低下が目立ちました。2020年台初頭には回復の兆しがあるものの、依然として長期的な生産量の減少リスクが存在しています。

年度 生産量(トン)
2022年 1,999,420
2021年 2,027,730
2020年 1,990,330
2019年 1,959,440
2018年 1,844,900
2017年 1,921,152
2016年 1,910,153
2015年 1,971,541
2014年 2,017,828
2013年 2,016,683
2012年 2,020,129
2011年 2,029,129
2010年 2,044,071
2009年 2,051,180
2008年 2,053,462
2007年 2,043,278
2006年 2,064,818
2005年 2,054,398
2004年 2,038,439
2003年 2,064,155
2002年 2,069,129
2001年 2,032,239
2000年 2,011,742
1999年 1,993,095
1998年 1,994,021
1997年 1,981,748
1996年 1,976,555
1995年 1,970,639
1994年 1,931,291
1993年 1,923,356
1992年 1,860,241
1991年 1,804,681
1990年 1,791,183
1989年 1,795,489
1988年 1,769,614
1987年 1,736,720
1986年 1,661,157
1985年 1,659,694
1984年 1,659,815
1983年 1,678,526
1982年 1,678,235
1981年 1,691,283
1980年 1,652,608
1979年 1,685,291
1978年 1,665,289
1977年 1,668,721
1976年 1,704,967
1975年 1,689,899
1974年 1,617,924
1973年 1,571,548
1972年 1,430,271
1971年 1,400,608
1970年 1,357,916
1969年 1,298,838
1968年 1,253,244
1967年 1,264,510
1966年 1,189,879
1965年 1,109,614
1964年 1,094,189
1963年 1,092,671
1962年 1,088,423
1961年 958,944

1961年に958,944トンでスタートしたギリシャの牛乳生産量は、国内外の農業改革や技術革新の影響を受けて1970年代まで急速に増加しました。背景には、効率的な酪農技術の普及と、国内需要の拡大がありました。1970年には1,357,916トン、1975年には1,689,899トンと急成長を遂げています。さらに、EU加盟後、共通農業政策(CAP)の下での補助金や競争力強化策が功を奏し、1990年代には1,900,000トンを超える規模にまで到達しました。

一方、2000年代に入ると、ギリシャの牛乳生産量はピークに達してからほぼ横ばい、または小幅な変動を繰り返すようになりました。2000年台初頭には2,000,000トンを上回る水準を維持していましたが、2015年以降は減少傾向が顕著になり、2018年には1,844,900トンと際立つ低迷を見せています。この背景には、ギリシャが直面する経済危機の影響や、農業人口の減少による人手不足、若い世代の農業離れが挙げられます。また、牛乳価格の国際的な変動や、輸入製品との競争激化も重要な要素となりました。

2020年代前半には若干の回復が見られ、2021年には2,027,730トンに達しています。しかし直後の2022年には再び1,999,420トンに落ち込んでおり、このことはギリシャの牛乳生産の脆弱性を浮き彫りにしています。また、気候変動の影響、具体的には異常気象や水資源の不足が家畜飼育に悪影響を及ぼしている可能性も排除できません。

地域ごとの背景を考慮すると、ギリシャの多くの牧畜地域は中小規模の農場で構成されており、大規模化が難しいという特徴があります。この点では、アメリカやドイツのように効率的な大規模酪農を展開する他国との競争力の差が顕著になっていると考えられます。また、隣国トルコや東欧諸国と比較しても、生産コストの高さが競争の障害となっています。

地政学的背景としては、ウクライナ戦争やエネルギー価格高騰もギリシャの酪農業界に直接的・間接的に影響を与えています。これらの緊張が飼料輸入価格や燃料コストを上昇させ、生産業者に負担を強いています。

今後の対策として、まず挙げられるのは国内生産基盤の強化です。具体的には、中小規模の酪農場に対する助成金の拡大や、若い世代が酪農業に参加しやすい環境づくりが不可欠です。また、持続可能な農業の普及を目的とした省エネ技術や水資源管理の導入、国際市場における競争力を高めるための品質向上施策も重要です。さらに、ギリシャ特有の乳製品、例えばフェタチーズなどの輸出促進を図り、付加価値の高い市場を開拓することが求められます。

結論として、ギリシャの牛乳生産は過去数十年の間に大きな進展を遂げましたが、近年は減少傾向が続いています。この動向を食い止め、再び増産体制を構築するには、多方面にわたる政策的アプローチが求められます。国際機関やEUとの連携を強化し、経済的・技術的支援を受けることで、ギリシャの酪農が持続可能な形で成長を続けることが期待されます。