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ミャンマーの羊肉生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ミャンマーの羊肉生産量は1960年代から緩やかに増加し始め、1980年代にはさらに拡大、2000年代には顕著な急上昇を見せました。特に2014年から2016年の間、生産量が大幅に増加しています。しかし、2018年以降、羊肉生産量は急激に減少し、2020年から2023年にかけては横ばいの2,000トンで推移しています。この急減傾向には、地政学的背景や自然災害、新型コロナウイルスの影響などが絡んでいる可能性も考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 2,000 -
2022年 2,000 -
2021年 2,000 -
2020年 2,000
2.56% ↑
2019年 1,950
3.72% ↑
2018年 1,880
-84.17% ↓
2017年 11,874
-3.93% ↓
2016年 12,360
6.65% ↑
2015年 11,589
19.85% ↑
2014年 9,670
21.38% ↑
2013年 7,967
3.98% ↑
2012年 7,662
1.95% ↑
2011年 7,515
26.49% ↑
2010年 5,941
15.56% ↑
2009年 5,141
8.51% ↑
2008年 4,738
2.82% ↑
2007年 4,608
-12.55% ↓
2006年 5,269
7.97% ↑
2005年 4,880
17.08% ↑
2004年 4,168
28.48% ↑
2003年 3,244
11.86% ↑
2002年 2,900
7.41% ↑
2001年 2,700
5.68% ↑
2000年 2,555
14.06% ↑
1999年 2,240
16.67% ↑
1998年 1,920
6.67% ↑
1997年 1,800
4.71% ↑
1996年 1,719
4.18% ↑
1995年 1,650
7.7% ↑
1994年 1,532
-0.58% ↓
1993年 1,541
7.46% ↑
1992年 1,434
10.14% ↑
1991年 1,302
-1.21% ↓
1990年 1,318
0.38% ↑
1989年 1,313
-20.42% ↓
1988年 1,650 -
1987年 1,650 -
1986年 1,650 -
1985年 1,650
10% ↑
1984年 1,500
11.11% ↑
1983年 1,350
12.5% ↑
1982年 1,200
9.09% ↑
1981年 1,100
4.76% ↑
1980年 1,050
5% ↑
1979年 1,000
2.04% ↑
1978年 980
2.08% ↑
1977年 960
0.52% ↑
1976年 955
4.95% ↑
1975年 910
-2.15% ↓
1974年 930
-7.46% ↓
1973年 1,005
0.5% ↑
1972年 1,000 -
1971年 1,000 -
1970年 1,000
21.21% ↑
1969年 825
-18.32% ↓
1968年 1,010
11.6% ↑
1967年 905
11.04% ↑
1966年 815
5.84% ↑
1965年 770
27.27% ↑
1964年 605
21% ↑
1963年 500
42.86% ↑
1962年 350
4.48% ↑
1961年 335 -

ミャンマーにおける羊肉生産量の歴史を振り返ると、1961年の335トンから緩やかな成長を見せ、1980年代には1,000~1,650トンが安定的に生産されていました。一方、1990年代後半に向けてさらに伸びが見られ、やがて2000年代に突入すると生産量は2,000トンを超え、2003年には3,244トン、2004年には4,168トンと急成長を遂げました。この流れはその後も続き、特に2011年から2016年にかけては最盛期に達し、2014年には9,670トン、2016年には12,360トンときわめて高い生産量を記録しました。この時期の急成長は、農業技術の進歩、家畜飼育方法の改善、地域経済の拡大による需要増加に支えられていたと考えられます。

しかし、2018年に入ると状況が一変し、羊肉生産量は大幅に減少して1,880トンとなり、その後2020年から2023年までは横ばいの2,000トンで推移しています。この大幅な減少の背後には、ミャンマー特有の地政学的状況や経済的な課題が存在すると考えられます。ミャンマーは2020年以降、政情不安が高まっており、これが農業分野全般に影響を及ぼした可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症のパンデミックも、労働力不足や流通の停滞を招き、生産活動や輸送の効率を低下させた要因の一つです。

さらに、羊肉生産量の急減には気候変動の影響も否めません。気温や降水量の変化は牧草地の質を低下させ、家畜の飼育環境を悪化させる可能性が高くなります。ミャンマーを含む東南アジア地域は環境変動の影響を強く受けており、この流れは今後さらに拍車をかけると予測されます。

日本や中国、インド、アメリカといった国々と比較すると、ミャンマーの羊肉生産量は非常に低い水準にあります。例えば、中国は羊肉生産の世界大国であり、生産量は毎年1,000万トンを超えています。この差は食文化の違いに加え、生産基盤の規模や効率性の違いを反映しています。また、今後の大きな課題として、ミャンマー内需の変化や輸出促進の必要性が挙げられます。もし国内外で羊肉の需要が増大した場合、現状の低い生産量では不足が懸念されます。

これらの課題を克服するための政策として、まず家畜飼育環境の整備が求められます。具体的には牧草地の管理手法の改善や、飼料供給の安定化が必要です。また、地域経済の整備に伴い、家畜農家への資金援助や労働力の確保も重要な要素となってきます。さらに、民間セクターや国際機関との協力を拡大し、輸出の増加を目指した家畜衛生管理基準の導入や、付加価値の高い製品の開発を行うことも効果的です。

結論として、ミャンマーの羊肉生産量は過去数十年で一時は著しい成長を遂げたものの、近年の急減が示すように、様々な課題に直面しています。このまま低迷を続ければ、国内経済への影響だけでなく、国際競争力の低下も避けられません。しかし、適切な政策と支援を通じて、国際市場における競争力を回復し、地域経済の発展を後押しする可能性は十分にあります。今後、政府、民間、そして国際機関による一層の協力と戦略的なアプローチが求められています。