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ミャンマーのプランテン・調理用バナナ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した2024年7月時点の最新データによると、ミャンマーのプランテン(調理用バナナ)の生産量は長年にわたり増加を続けています。特に2000年代以降、著しい成長を遂げており、2023年には過去最高の1,440,483トンに達しました。ただし、2019年以降、若干の減少や生産量の変動も観察されており、そこからの回復には地域的要因や社会情勢が関与していると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1,440,483
12.4% ↑
2022年 1,281,598
6.8% ↑
2021年 1,200,000
-14.56% ↓
2020年 1,404,566
4.77% ↑
2019年 1,340,597
-3.66% ↓
2018年 1,391,563
18.08% ↑
2017年 1,178,502
6.36% ↑
2016年 1,108,069 -
2015年 1,108,070
6.48% ↑
2014年 1,040,635
5.62% ↑
2013年 985,285
3.38% ↑
2012年 953,095
-0.18% ↓
2011年 954,835
0.42% ↑
2010年 950,815
12.95% ↑
2009年 841,815
9.34% ↑
2008年 769,890
-2.42% ↓
2007年 789,000
-0.78% ↓
2006年 795,185
17.29% ↑
2005年 677,980
24.73% ↑
2004年 543,560
-9.72% ↓
2003年 602,065
9.06% ↑
2002年 552,050
9.28% ↑
2001年 505,150
9.24% ↑
2000年 462,430
23.04% ↑
1999年 375,830
-10.08% ↓
1998年 417,955
-1.27% ↓
1997年 423,315
25.34% ↑
1996年 337,730
16.09% ↑
1995年 290,930
-15.59% ↓
1994年 344,675
1.86% ↑
1993年 338,370
22.88% ↑
1992年 275,360
15.69% ↑
1991年 238,015
0.11% ↑
1990年 237,756
3.08% ↑
1989年 230,653
2.94% ↑
1988年 224,062
3.81% ↑
1987年 215,836
-0.81% ↓
1986年 217,602
6.97% ↑
1985年 203,424
1.86% ↑
1984年 199,703
-3.07% ↓
1983年 206,038
11.6% ↑
1982年 184,617
8.12% ↑
1981年 170,748
-3.31% ↓
1980年 176,590
1.11% ↑
1979年 174,659
-4.61% ↓
1978年 183,105
-12.12% ↓
1977年 208,353
13.33% ↑
1976年 183,849
5.15% ↑
1975年 174,849
0.76% ↑
1974年 173,532
7.37% ↑
1973年 161,619
-1.78% ↓
1972年 164,547
-3.92% ↓
1971年 171,252
-0.15% ↓
1970年 171,502
4.9% ↑
1969年 163,490
1.89% ↑
1968年 160,452
3.5% ↑
1967年 155,019
6.59% ↑
1966年 145,441
-1.44% ↓
1965年 147,566
13.51% ↑
1964年 130,000
8.33% ↑
1963年 120,000
21.11% ↑
1962年 99,086
7.7% ↑
1961年 92,000 -

ミャンマーは東南アジア地域の中でも農業が主要産業であり、特にプランテン、すなわち調理用バナナは農村部での栄養および現金収入の源として重要な役割を果たしています。今回のFAOデータは、同国におけるプランテン生産の一連の進展を明確に示しています。

1960年代当初、ミャンマーの生産量は約92,000トンと小規模であり、これは当時のインフラと農業技術の発展途上を反映していました。1970年代になると生産量は徐々に伸び、機械化や農業技術の導入が進むにつれて、年間200,000トンを超えるようになります。この安定的な成長は1980年代まで続きました。

しかし、1990年代以降、特に1991年から1993年にかけてミャンマーのプランテン生産に大きな転機が訪れます。経済政策や農地改革が影響を与え、生産量は275,360トンから338,370トンへ急増しました。この時期は、世界的にも食料安全保障が注目され、高収量作物の導入や輸出可能な農産物の拡大を目指していた背景があります。さらに、1997年に423,315トン、2000年代に入ってからは500,000トンを軽く超える規模に成長しました。

その後、注目すべきは2005年から2006年にかけての急激な生産量の増加です。その背景には、水資源管理の改善や気候変動への対応策が効果を発揮し、収穫効率が高まったことが挙げられます。この成功には技術支援や資金援助が直接的な影響を与えた可能性が考えられます。

近年の動向を見てみると、2015年から2018年にかけては堅調な成長を続け、1,391,563トンを記録しました。しかし、2021年に1,200,000トンと大幅に減少している点が特筆されます。この背景には、新型コロナウイルスの世界的流行が影響を与えたと考えられます。パンデミックによる輸送インフラの混乱や労働力不足が生産に悪影響を及ぼした可能性が高いです。

2023年には1,440,483トンという新たな高みを記録しましたが、この増加分は完全復調を示しているわけではありません。依然として農業労働力の安定確保や輸送網の信頼性改善が課題として残っています。例えば、近年ではミャンマー国内の政治的不安定さが農産品の流通や価格安定に影響を与えており、これが長期的には収量にも影を落とす可能性があります。さらに、気候変動のリスクも無視できません。極端な乾燥や大雨の頻度が増加することで、生産環境が悪化するリスクが高まっています。

これらの課題に対応するためには、いくつかの具体的な対策が求められます。例えば、灌漑システムの普及や農業技術教育の推進は、生産性向上に直結する取り組みです。また、地域の農業協同組合を強化し、輸送やマーケティングの効率化を図ることも、農家の収益安定化に寄与します。さらに、地政学的リスクを緩和するためには国際協力が不可欠であり、特に東南アジア諸国連合(ASEAN)内での農産物協定が、地域の安定供給に貢献できるでしょう。

結論として、ミャンマーのプランテン生産は過去数十年間にわたり大きな進展を遂げてきました。しかしながら、安定的な経済収益と生産基盤の確立を目指すためには、引き続き技術革新と国際協力が必要です。また、農業従事者の生活条件の向上も、持続的発展の中核を成すテーマとして評価されるべきであると言えます。