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ミャンマーのサトウキビ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、ミャンマーのサトウキビ生産量は1961年の約81万トンから2023年には1,122万トンに増加しました。特に1990年代後半から2000年代にかけて急激な成長が見られ、その後は安定的な生産が続いています。近年のピークは2019年の1,185万トンですが、それ以降は若干の減少傾向を示しています。この推移からは、ミャンマーが長期的にサトウキビ生産を拡大してきたことが明らかです。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 11,220,886
-2.49% ↓
2022年 11,506,924
1.53% ↑
2021年 11,333,345
-1.89% ↓
2020年 11,551,111
-2.49% ↓
2019年 11,846,176
3.94% ↑
2018年 11,397,183
9.9% ↑
2017年 10,370,042
-0.64% ↓
2016年 10,437,058
2.91% ↑
2015年 10,142,400
-8.86% ↓
2014年 11,128,400
7.97% ↑
2013年 10,307,400
9.5% ↑
2012年 9,413,100
-1.3% ↓
2011年 9,537,400
3.11% ↑
2010年 9,249,500
-3.27% ↓
2009年 9,562,000
-1.87% ↓
2008年 9,744,200
0.69% ↑
2007年 9,677,700
20.39% ↑
2006年 8,038,900
13.66% ↑
2005年 7,073,000
-1.69% ↓
2004年 7,194,900
5.74% ↑
2003年 6,804,290
7.54% ↑
2002年 6,327,300
-9.66% ↓
2001年 7,003,800
20.74% ↑
2000年 5,800,500
8.15% ↑
1999年 5,363,200
0.36% ↑
1998年 5,343,900
5.7% ↑
1997年 5,055,900
27.07% ↑
1996年 3,978,700
24.37% ↑
1995年 3,199,200
44.21% ↑
1994年 2,218,500
-17.1% ↓
1993年 2,676,200
-17.12% ↓
1992年 3,229,000
53.38% ↑
1991年 2,105,200
9.04% ↑
1990年 1,930,700
-17.72% ↓
1989年 2,346,400
-34.2% ↓
1988年 3,566,100
3.88% ↑
1987年 3,433,000
-10.89% ↓
1986年 3,852,700
2.27% ↑
1985年 3,767,100
2.85% ↑
1984年 3,662,600
-1.5% ↓
1983年 3,718,200
35.9% ↑
1982年 2,736,000
34.42% ↑
1981年 2,035,340
39.28% ↑
1980年 1,461,344
-20.61% ↓
1979年 1,840,742
2.77% ↑
1978年 1,791,190
10.18% ↑
1977年 1,625,692
-0.33% ↓
1976年 1,631,137
35.46% ↑
1975年 1,204,115
-28.64% ↓
1974年 1,687,416
-16.97% ↓
1973年 2,032,405
24.54% ↑
1972年 1,631,897
13.62% ↑
1971年 1,436,230
9.46% ↑
1970年 1,312,098
0.32% ↑
1969年 1,307,911
-9.53% ↓
1968年 1,445,645
-8.72% ↓
1967年 1,583,690
9.39% ↑
1966年 1,447,747
33.52% ↑
1965年 1,084,290
-7.37% ↓
1964年 1,170,591
-9.4% ↓
1963年 1,292,050
18.63% ↑
1962年 1,089,173
34.1% ↑
1961年 812,219 -

ミャンマーのサトウキビ生産は、この約60年間で大きな変化を遂げました。1960年代から1980年代までは、生産量が1,000万トンに達するどころか、100万から300万トン程度で大きな揺れを見せていました。この当時の経済基盤や農業システムの未整備、気候条件の影響を背景に、生産の安定性を欠いていたことが推測されます。しかし、1990年代後半から2000年代にかけて、同国のサトウキビ生産は飛躍的に増加し、2000年代中盤には年6,000万トンを超える規模となりました。この急成長は、技術革新や農業に対する政府の積極的な政策、ならびに新たな農地の開発によるものである可能性が高いです。

2010年代以降、ミャンマーのサトウキビ生産量は一段と拡大しました。2014年には1,100万トンを超え、その後のピークである2019年の1,185万トンに達するなど、世界における主要なサトウキビ生産国の一つに位置づけられるまでになりました。しかし2020年以降は、やや減少する傾向が見られます。この背景には、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックや、同国の地政学的リスク、農業従事者の高齢化や若年層の農業離れといった国内の構造的問題が影響している可能性があります。また、気候変動による異常天候や洪水の影響も生産量減少の要因と考えられます。

ミャンマーのサトウキビ生産における課題としては、生産過程での効率性向上や気候の変動への対応策が挙げられます。同国は国際市場向けにサトウキビを輸出していますが、高い国内需要に対応するためにも、可採農地の効率活用が求められています。また、生産インフラ不足や近代的な農業技術への投資が遅れている点も、生産のボトルネックとなっています。

これからの対策として、政府によるインフラ整備や農業技術の導入支援が不可欠です。例えば、灌漑設備の改善や気象データを活用した持続可能な農法の展開、さらに農業教育や若者の参入を促進する施策が期待されます。隣国であるタイやインドの成功事例では、農業協同組合の強化や輸出市場の多様化が大きな役割を果たしていることがわかります。これらの戦略を参考にすることで、ミャンマー農業全体の底上げを図ることが可能でしょう。

地政学的なリスクについては、ミャンマー国内の政治的不安定さがサトウキビの主要輸出先に影響を及ぼす可能性があります。不安定な輸出環境を補完するため、地域間協力を強化し、ASEAN諸国や中国など近隣諸国との包括的な貿易協定を構築することが求められます。また、気候リスクに対しては、気候変動適応型の品種改良を進める国際協力プロジェクトに積極的に参加することで、中長期的な影響を軽減することができます。

以上のように、ミャンマーは過去60年間でサトウキビ生産を著しく増大させることに成功しましたが、近年の減少傾向やさまざまな課題に直面しています。これらに適切に対応することで、同国の農業部門はさらなる成長の可能性を秘めていると言えます。国際機関や民間セクターとの連携を強化し、持続可能な農業発展を目指す取り組みが今後非常に重要になります。