ミャンマーのサツマイモ生産量は、1960年代から2022年にかけて大きな変動を経てきました。特に、1990年代後半から2000年代の初めにかけて急激な増加が見られましたが、その後は比較的安定した生産量を維持しています。2022年のサツマイモの生産量は62,712トンとなっており、近年は60,000トン台を堅持しています。一方で、この生産量の変動には、農業インフラ、気候変動、政策の変遷による影響が関連していると考えられます。
ミャンマーのサツマイモ生産量推移(1961-2022)
年度 | 生産量(トン) |
---|---|
2022年 | 62,712 |
2021年 | 62,459 |
2020年 | 62,205 |
2019年 | 63,119 |
2018年 | 59,359 |
2017年 | 60,189 |
2016年 | 61,411 |
2015年 | 62,978 |
2014年 | 60,878 |
2013年 | 60,376 |
2012年 | 59,896 |
2011年 | 61,207 |
2010年 | 58,986 |
2009年 | 59,000 |
2008年 | 58,000 |
2007年 | 57,000 |
2006年 | 56,000 |
2005年 | 52,000 |
2004年 | 45,000 |
2003年 | 60,000 |
2002年 | 60,000 |
2001年 | 57,382 |
2000年 | 38,130 |
1999年 | 30,585 |
1998年 | 25,000 |
1997年 | 23,000 |
1996年 | 22,315 |
1995年 | 22,898 |
1994年 | 25,362 |
1993年 | 27,070 |
1992年 | 26,900 |
1991年 | 26,700 |
1990年 | 26,300 |
1989年 | 26,100 |
1988年 | 26,000 |
1987年 | 26,281 |
1986年 | 22,719 |
1985年 | 27,709 |
1984年 | 25,442 |
1983年 | 22,808 |
1982年 | 23,976 |
1981年 | 21,404 |
1980年 | 18,805 |
1979年 | 18,700 |
1978年 | 16,613 |
1977年 | 17,800 |
1976年 | 19,485 |
1975年 | 18,365 |
1974年 | 19,141 |
1973年 | 16,634 |
1972年 | 16,399 |
1971年 | 17,445 |
1970年 | 15,350 |
1969年 | 13,300 |
1968年 | 11,900 |
1967年 | 11,586 |
1966年 | 8,410 |
1965年 | 9,432 |
1964年 | 6,040 |
1963年 | 5,400 |
1962年 | 4,950 |
1961年 | 4,450 |
ミャンマーのサツマイモ生産量に関する国連食糧農業機関(FAO)のデータによれば、1960年代には年間4,000トンから6,000トン程度と比較的小規模な生産量でしたが、1970年代以降、その量は右肩上がりに増加しました。1970年の15,350トンから1985年の27,709トンへの増加は、サツマイモが国内での消費需要と経済的要因により重要性を増したことを示唆しています。1990年代後半には再び成長が加速し、1999年には30,585トン、2000年には38,130トンと急進的な上昇を見せました。この時期は、農業技術の向上や作付面積の拡大を通じて、収量の伸びが実現したと考えられます。
2000年代初頭には57,382トン(2001年)から60,000トン(2002年)への急増が見られ、生産量はその後も50,000トン台から60,000トン台の範囲内で安定するようになりました。しかし、2004年に45,000トンへ減少した年もあり、この減少には異常気象や国内の農業政策の変化が影響した可能性があります。その後の回復を経て、近年の生産量はほぼ安定し、2022年は62,712トンに達しています。
サツマイモ生産量の増減の背景には、グローバルな気候変動、国内政治の不安定さ、農業に対する政府の支援不足といった問題が影響していると考えられます。長期的に約60,000トン台を維持していることは、ミャンマー農業システムの一定の安定を示していますが、これが十分な収益性を持続しているかどうかは別の課題です。例えば、気候変動による洪水被害や干ばつなどの影響が農業の収量に与えるリスクも忘れてはなりません。
また、地域間比較で見てみると、日本や中国のようなサツマイモの利用が進んでいる国々では、生産量だけでなく付加価値を創出するための加工技術や輸出市場の開拓が進んでいます。ミャンマーでは輸出産業としてサツマイモを活用するための整備が十分ではなく、輸送インフラや農産物の品質管理などの課題が残されています。
ミャンマーが将来、サツマイモの生産および付加価値化で更なる向上を目指すためには、まず農業技術の向上が必要です。例えば、高収量品種の開発や持続可能な農法の導入が検討されるべきです。また、気候変動への適応として、灌漑システムの整備や土壌保全のための取り組みが欠かせません。さらに、政府による農業支援策の拡充や輸出市場の開発も重要です。例えば、近隣国であるタイや中国などとの農業貿易協力を強化することも、サツマイモ生産を経済利益に結びつける鍵になるでしょう。
結論として、ミャンマーのサツマイモ生産量推移データは、この国の農業の発展を物語る重要な指標と言えます。近年の安定した生産量からは農業技術の安定を読み取れますが、さらなる成長と経済的利益を追求するために、輸出拡大と灌漑、品質管理とインフラ整備が優先課題として挙げられます。気候変動リスクを見据えながら、持続可能性のある農業政策を展開していく必要があります。