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レソトの豚飼育数推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に更新したデータによると、レソトの豚飼育数は1961年に54,400頭から始まり、2022年には32,583頭に減少しました。一方、ピーク時には2006年に215,741頭を記録しています。このデータは、豚飼育数が長期にわたり大きな増減を繰り返しており、特に最近の数十年間で急激な減少傾向が見られることを示しています。

年度 飼育数(頭)
2022年 32,583
2021年 28,280
2020年 36,401
2019年 53,507
2018年 49,275
2017年 38,689
2016年 83,190
2015年 90,368
2014年 63,145
2013年 66,586
2012年 80,000
2011年 80,000
2010年 83,976
2009年 92,288
2008年 95,342
2007年 215,741
2006年 215,741
2005年 135,266
2004年 111,699
2003年 69,917
2002年 102,829
2001年 116,496
2000年 128,592
1999年 103,700
1998年 79,146
1997年 78,965
1996年 63,700
1995年 65,935
1994年 45,770
1993年 59,680
1992年 44,000
1991年 49,718
1990年 66,516
1989年 70,000
1988年 70,000
1987年 70,000
1986年 70,560
1985年 53,812
1984年 53,031
1983年 54,800
1982年 63,282
1981年 61,601
1980年 82,292
1979年 80,959
1978年 77,802
1977年 80,231
1976年 75,500
1975年 78,000
1974年 79,000
1973年 75,600
1972年 73,000
1971年 69,000
1970年 66,026
1969年 66,000
1968年 65,000
1967年 64,000
1966年 62,000
1965年 60,800
1964年 59,600
1963年 58,000
1962年 56,300
1961年 54,400

レソトにおける豚飼育数の推移を詳しく見ると、1960年代から1970年代にかけて、飼育数は着実に増加していました。これは、当時の農村部における家畜飼育が持続可能な形で伝統的な農業活動を支えていたことを示していると考えられます。しかし、1980年代には飼育数が大きく変動し、特に1981年と1983年に大幅な減少がみられます。こうした著しい減少は、干ばつや病気の流行など気候や疫病の影響が関連している可能性があります。豚や家畜の健康状態を適切に維持する基盤がおそらく脆弱であったことが指摘できます。

その後1990年代中頃には再び穏やかな増加が見られ、1999年には103,700頭、2000年には128,592頭、そして2006年には215,741頭というピークを迎えました。この時期の増加は国内外の市場需要の高まりと、小規模農業の活性化によるものとされています。しかし2008年以降、大幅な減少が進み始めます。特に2020年以降のデータでは著しい減少が確認されており、2021年には28,280頭、2022年には32,583頭にまで減少しています。

このような急激な減少の背後にはいくつかの要因が考えられます。まず、共通の農村経済課題として挙げられるのが、疫病や気候変動による悪影響です。豚や農業関連資源への依存度が高い一方で、広範囲の疫病や自然災害への備えが不十分である場合、迅速な減少につながります。また、経済構造の変化や、都市化による農村人口の減少が農業所得の低下を招いている可能性があります。

さらに、地政学的な背景も無視できません。レソトは南アフリカに囲まれているため、その農業輸出競争力は隣国に依存している部分があります。これに加え、近年のCOVID-19パンデミックの影響で、畜産業や国境を超えた貿易に深刻な影響を与えたことも考えられます。また、飼料コストの増加や輸送の制限といったパンデミック以降の課題も、家畜数減少の一因に含まれるでしょう。

将来的な課題と提言として、まずレソトは、小規模農家の畜産技術とインフラを強化する必要があります。これには、持続可能な豚飼育プログラムの開発や、疫病の予防接種制度の導入が含まれます。さらに、農業従事者への技術支援と教育を通じて、経営スキルおよび収益の向上を図る施策が求められます。

また、地域間の協力を促進し、南アフリカと連携して農畜産物の市場アクセスを改善する取り組みも重要です。そして気候変動に対応するため、被害を抑えるための早期警報システムや気候適応のための資金拠出を国際的に求めるべきです。国際金融機関やNGOからの支援を活用することで、現地の持続可能な農業発展を支える仕組みを構築することも課題解決の鍵となるでしょう。

結論として、レソトの豚飼育数が減少している現象は、単なる統計数値の変動ではなく、経済や社会、環境、さらには地政学的影響の複合的な結果を示しています。このデータをもとに適切な政策を講じることで、農村経済の安定と持続可能性を取り戻すことが期待されます。また、国際的な連携を深め、技術や資金の支援を得ることで、レソトの畜産業をより強靭なものにする重要性があります。