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レソトのトウモロコシ生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、レソトのトウモロコシ生産量は1961年以降、顕著な変動を示しています。一部の年度には生産量が顕著に増加した一方で、特に近年では大規模な減少が観察されました。たとえば、1996年は過去最高の188,489トンを記録しましたが、2016年は過去最低の19,181トンに落ち込むなど、気候変動や農業技術の問題が関与している可能性があります。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 126,994
76.15% ↑
2022年 72,096
-18.58% ↓
2021年 88,553
306.54% ↑
2020年 21,782
-11.53% ↓
2019年 24,621
-77.6% ↓
2018年 109,912
-36.34% ↓
2017年 172,666
800.19% ↑
2016年 19,181
-70.78% ↓
2015年 65,636
-27.13% ↓
2014年 90,072
4.34% ↑
2013年 86,325
-2.11% ↓
2012年 88,187
20.16% ↑
2011年 73,390
-42.76% ↓
2010年 128,213
124.44% ↑
2009年 57,126
-4.23% ↓
2008年 59,651
-1.1% ↓
2007年 60,312
-12.29% ↓
2006年 68,762
-12.67% ↓
2005年 78,739
-2.79% ↓
2004年 80,996
-1.32% ↓
2003年 82,080
-26.13% ↓
2002年 111,110
-29.76% ↓
2001年 158,190
48.12% ↑
2000年 106,800
-14.25% ↓
1999年 124,549
5.04% ↑
1998年 118,578
-16.52% ↓
1997年 142,050
-24.64% ↓
1996年 188,489
201.43% ↑
1995年 62,531
-58.05% ↓
1994年 149,063
62.37% ↑
1993年 91,805
50.32% ↑
1992年 61,074
24.85% ↑
1991年 48,918
-71.49% ↓
1990年 171,579
25.03% ↑
1989年 137,227
-14.09% ↓
1988年 159,726
68.29% ↑
1987年 94,912
9.74% ↑
1986年 86,488
-6.35% ↓
1985年 92,350
16.33% ↑
1984年 79,384
4.18% ↑
1983年 76,200
-8.22% ↓
1982年 83,028
-21.43% ↓
1981年 105,674
0.05% ↑
1980年 105,618
-15.41% ↓
1979年 124,856
-12.79% ↓
1978年 143,168
13.69% ↑
1977年 125,932
156.33% ↑
1976年 49,128
-30.11% ↓
1975年 70,292
-42.64% ↓
1974年 122,542
75.06% ↑
1973年 70,000
18.64% ↑
1972年 59,000
-20.27% ↓
1971年 74,000
11.25% ↑
1970年 66,514
-34.72% ↓
1969年 101,893
-4.54% ↓
1968年 106,743
-2.96% ↓
1967年 110,000
0.92% ↑
1966年 109,000
-0.91% ↓
1965年 110,000 -
1964年 110,000 -
1963年 110,000 -
1962年 110,000 -
1961年 110,000 -

レソトのトウモロコシ生産量の推移を見ると、全体的に非常に不安定な動きを示しており、その背景には多様な要因が絡んでいると考えられます。1961年から1970年代初期まではほぼ安定し年間10万トンを前後していましたが、その後、著しい波があります。特に1970年代後半の増加(1977年に125,932トン、1978年には143,168トン)や、1996年に記録された188,489トンといったピークが見られます。一方で1991年や2016年、2020年のように、4~6万トンを下回る年もあり、大幅な生産減少が目立ちます。特に2016年には19,181トンと深刻なレベルに落ち込みました。

この変動の要因として、まずレソト特有の地理的・気候的条件が挙げられます。レソトは山岳地帯が多数を占め、乾燥や異常な気象状況に弱い農業環境に位置しています。例えば、エルニーニョ現象による干ばつが フィールド作物の成長に直接的に影響を与える要因になり得ます。さらに、農業技術の発展が他地域や他国に比べて遅れていることも、土壌劣化や効率的な灌漑技術不足による生産量の低下に寄与していると考えられます。

近年の傾向を具体的に見ると、2020年前後の低調期から2021年にはかなり回復し88,553トンを記録しましたが、2022年には再び生産量が減退し72,096トンとなっています。トウモロコシはレソトにおける主要作物であり、国内の食料供給や経済の中核をなす産業でもあるため、このような不安定な生産量は国全体の食料安全保障に大きな影響を与える可能性があります。南部アフリカ地域全体での気象変動や国際市場の価格変動も、レソトが直面している影響をさらに深刻化させる一因と考えられます。

また、トウモロコシの不安定な生産は地政学的なリスクとも関連が深いです。同地域には食糧不足に早急に対応できる経済的・インフラ的な体制が整っていないため、干ばつの影響や災害が発生すると貧困層がさらに厳しい影響を受けることが懸念されます。これは農民だけでなく、広い層の国民にとって深刻な問題です。食料価格が上昇することで栄養不良が増加し、それがさらなる社会的問題を引き起こす可能性があります。

この課題に対する解決策として、まずは気候変動への適応力を高めるための仕組み作りが不可欠です。例えば、耐乾性の高いトウモロコシ品種の開発・導入は生産効率を向上させる手段の一つと言えます。また、灌漑システムの整備といった農業インフラのアップグレードや、農業技術の習得を目的とした教育・研修の提供も重要です。国際機関やNGOとの協力を強化し、資金や技術を確保することも有効でしょう。

さらに、国内外の経済市場への依存を減らすため、レソト独自の持続可能な農業モデルの構築が望まれます。その中には、農家の収入の多角化を促進する政策や、地域を超えた災害支援ネットワークの形成も含まれます。気候に敏感な農作物単一に頼るリスクを低減し、通常時の収入源を安定化させる取り組みも鍵となります。

結論として、レソトのトウモロコシ生産量の推移はそのまま国内の食料安全保障と経済状況のバロメーターを示していると言えるでしょう。そのため、短期的な対応として干ばつ対策と災害支援の強化を進める一方、中長期的には農業技術の革新と市場への適応戦略が必要です。このような統合的なアプローチを通じて、レソトのトウモロコシ生産がより安定し、持続可能なモデルの確立が進むことが期待されます。