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レソトのトウモロコシ生産量推移(1961-2022)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、レソトのトウモロコシ生産量は1961年以降、顕著な変動を示しています。一部の年度には生産量が顕著に増加した一方で、特に近年では大規模な減少が観察されました。たとえば、1996年は過去最高の188,489トンを記録しましたが、2016年は過去最低の19,181トンに落ち込むなど、気候変動や農業技術の問題が関与している可能性があります。

年度 生産量(トン)
2022年 72,096
2021年 88,553
2020年 21,782
2019年 24,621
2018年 109,912
2017年 172,666
2016年 19,181
2015年 65,636
2014年 90,072
2013年 86,325
2012年 88,187
2011年 73,390
2010年 128,213
2009年 57,126
2008年 59,651
2007年 60,312
2006年 68,762
2005年 78,739
2004年 80,996
2003年 82,080
2002年 111,110
2001年 158,190
2000年 106,800
1999年 124,549
1998年 118,578
1997年 142,050
1996年 188,489
1995年 62,531
1994年 149,063
1993年 91,805
1992年 61,074
1991年 48,918
1990年 171,579
1989年 137,227
1988年 159,726
1987年 94,912
1986年 86,488
1985年 92,350
1984年 79,384
1983年 76,200
1982年 83,028
1981年 105,674
1980年 105,618
1979年 124,856
1978年 143,168
1977年 125,932
1976年 49,128
1975年 70,292
1974年 122,542
1973年 70,000
1972年 59,000
1971年 74,000
1970年 66,514
1969年 101,893
1968年 106,743
1967年 110,000
1966年 109,000
1965年 110,000
1964年 110,000
1963年 110,000
1962年 110,000
1961年 110,000

レソトのトウモロコシ生産量の推移を見ると、全体的に非常に不安定な動きを示しており、その背景には多様な要因が絡んでいると考えられます。1961年から1970年代初期まではほぼ安定し年間10万トンを前後していましたが、その後、著しい波があります。特に1970年代後半の増加(1977年に125,932トン、1978年には143,168トン)や、1996年に記録された188,489トンといったピークが見られます。一方で1991年や2016年、2020年のように、4~6万トンを下回る年もあり、大幅な生産減少が目立ちます。特に2016年には19,181トンと深刻なレベルに落ち込みました。

この変動の要因として、まずレソト特有の地理的・気候的条件が挙げられます。レソトは山岳地帯が多数を占め、乾燥や異常な気象状況に弱い農業環境に位置しています。例えば、エルニーニョ現象による干ばつが フィールド作物の成長に直接的に影響を与える要因になり得ます。さらに、農業技術の発展が他地域や他国に比べて遅れていることも、土壌劣化や効率的な灌漑技術不足による生産量の低下に寄与していると考えられます。

近年の傾向を具体的に見ると、2020年前後の低調期から2021年にはかなり回復し88,553トンを記録しましたが、2022年には再び生産量が減退し72,096トンとなっています。トウモロコシはレソトにおける主要作物であり、国内の食料供給や経済の中核をなす産業でもあるため、このような不安定な生産量は国全体の食料安全保障に大きな影響を与える可能性があります。南部アフリカ地域全体での気象変動や国際市場の価格変動も、レソトが直面している影響をさらに深刻化させる一因と考えられます。

また、トウモロコシの不安定な生産は地政学的なリスクとも関連が深いです。同地域には食糧不足に早急に対応できる経済的・インフラ的な体制が整っていないため、干ばつの影響や災害が発生すると貧困層がさらに厳しい影響を受けることが懸念されます。これは農民だけでなく、広い層の国民にとって深刻な問題です。食料価格が上昇することで栄養不良が増加し、それがさらなる社会的問題を引き起こす可能性があります。

この課題に対する解決策として、まずは気候変動への適応力を高めるための仕組み作りが不可欠です。例えば、耐乾性の高いトウモロコシ品種の開発・導入は生産効率を向上させる手段の一つと言えます。また、灌漑システムの整備といった農業インフラのアップグレードや、農業技術の習得を目的とした教育・研修の提供も重要です。国際機関やNGOとの協力を強化し、資金や技術を確保することも有効でしょう。

さらに、国内外の経済市場への依存を減らすため、レソト独自の持続可能な農業モデルの構築が望まれます。その中には、農家の収入の多角化を促進する政策や、地域を超えた災害支援ネットワークの形成も含まれます。気候に敏感な農作物単一に頼るリスクを低減し、通常時の収入源を安定化させる取り組みも鍵となります。

結論として、レソトのトウモロコシ生産量の推移はそのまま国内の食料安全保障と経済状況のバロメーターを示していると言えるでしょう。そのため、短期的な対応として干ばつ対策と災害支援の強化を進める一方、中長期的には農業技術の革新と市場への適応戦略が必要です。このような統合的なアプローチを通じて、レソトのトウモロコシ生産がより安定し、持続可能なモデルの確立が進むことが期待されます。