国際連合食糧農業機関(FAO)が2024年7月に発表したデータによると、アンティグア・バーブーダにおけるサトイモの生産量は1966年の3トンから1983年には最大値の101トンに到達しました。その後、生産量は大きく減少し、1990年代半ば以降はおおむね安定した推移となっており、2000年代以降は毎年およそ40トン前後で推移しています。
アンティグア・バーブーダのサトイモ生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 38 |
-1.1% ↓
|
2022年 | 38 |
-0.58% ↓
|
2021年 | 38 |
-0.6% ↓
|
2020年 | 38 |
-0.9% ↓
|
2019年 | 39 |
1.92% ↑
|
2018年 | 38 |
-1.6% ↓
|
2017年 | 39 |
-2.07% ↓
|
2016年 | 40 |
-2.32% ↓
|
2015年 | 40 |
-3.67% ↓
|
2014年 | 42 |
1.62% ↑
|
2013年 | 41 |
3.33% ↑
|
2012年 | 40 |
-2.42% ↓
|
2011年 | 41 |
-1.06% ↓
|
2010年 | 41 |
-1.12% ↓
|
2009年 | 42 |
-1.13% ↓
|
2008年 | 42 |
-1.3% ↓
|
2007年 | 43 |
-1.26% ↓
|
2006年 | 43 |
-3.78% ↓
|
2005年 | 45 |
0.44% ↑
|
2004年 | 45 |
21.62% ↑
|
2003年 | 37 |
8.82% ↑
|
2002年 | 34 |
13.33% ↑
|
2001年 | 30 |
0.74% ↑
|
2000年 | 30 |
6.05% ↑
|
1999年 | 28 |
8.63% ↑
|
1998年 | 26 |
0.27% ↑
|
1997年 | 26 |
-0.96% ↓
|
1996年 | 26 |
4.12% ↑
|
1995年 | 25 |
-7.34% ↓
|
1994年 | 27 |
-4.12% ↓
|
1993年 | 28 |
-4.77% ↓
|
1992年 | 30 |
-1.5% ↓
|
1991年 | 30 |
15.38% ↑
|
1990年 | 26 |
4% ↑
|
1989年 | 25 |
-43.18% ↓
|
1988年 | 44 |
10% ↑
|
1987年 | 40 |
33.33% ↑
|
1986年 | 30 |
150% ↑
|
1985年 | 12 |
100% ↑
|
1984年 | 6 |
-94.06% ↓
|
1983年 | 101 |
359.09% ↑
|
1982年 | 22 |
-37.14% ↓
|
1981年 | 35 |
20.69% ↑
|
1980年 | 29 |
-65.06% ↓
|
1979年 | 83 |
84.44% ↑
|
1978年 | 45 |
125% ↑
|
1977年 | 20 |
-31.03% ↓
|
1976年 | 29 |
45% ↑
|
1975年 | 20 |
-75.61% ↓
|
1974年 | 82 |
54.72% ↑
|
1973年 | 53 |
12.77% ↑
|
1972年 | 47 |
56.67% ↑
|
1971年 | 30 |
150% ↑
|
1970年 | 12 |
20% ↑
|
1969年 | 10 |
25% ↑
|
1968年 | 8 |
60% ↑
|
1967年 | 5 |
66.67% ↑
|
1966年 | 3 | - |
アンティグア・バーブーダのサトイモ生産量は、1966年から2022年までの期間で大きな変動を見せてきました。データを詳細に分析すると、特に1970年代と1980年代初頭に急激な増減が観察されます。具体的には1966年の3トンから1974年まで上昇を続け、わずか8年で82トンに達しましたが、1975年には急に20トンまで減少しました。1983年に101トンのピークを迎えた後は、再び減少して安定化し、1990年代以降は年間30トンから40トンの規模で推移する傾向が見られています。
この生産量の変動は、国内的および国際的な農業政策、地政学的影響、そして気象条件など、複数の要因に関連していると考えられます。例えば、アンティグア・バーブーダは小規模な島国であり、土地や水資源が限られているため、特定作物への集中は常に課題となります。特に、1970年代後半から1980年代にかけてサトイモ以外の作物への転換や輸出用作物の強化、それに伴う支援政策の変化が生産量の減少に寄与した可能性が高いです。また、台風や干ばつなどの自然災害リスクもこの時期に大きな影響を与えていると推測されます。この地域は気象変動の影響を強く受けるため、農業生産に不安定さが伴うことが特徴です。
現在、サトイモ生産量は安定しているものの、50年以上にわたるデータを見てみると、かつてのピーク時の規模を取り戻す兆しはほとんど見られません。これには、輸入食品の普及や消費スタイルの変化、また労働力不足、さらには観光産業の優先化といった経済的要素が関係していると考えられます。一方で、サトイモは伝統的にアンティグア・バーブーダを含むカリブ地域での基盤的な作物であり、食糧安全保障の観点からもその意義は大きいです。
将来に向けた課題として、気象変動への適応が挙げられます。干ばつや台風への対策を強化し、耐性のあるサトイモの品種を導入することで生産の安定性を向上させる必要があります。また、若年層を含む農業従事者の確保も重要です。これを達成するためには、農業を誘致するための職業訓練プログラムや、経済的インセンティブの付与が役立つでしょう。
次に、国際的な協力の強化も生産量増加への一助となる可能性があります。例えば、カリブ共同体(CARICOM)の枠組みを活用し、農業への技術支援や情報交換を促進することで、より持続可能な農業実践を確立することが考えられます。さらに、地元市場だけでなく、周辺諸国や観光客向けに新鮮なサトイモや加工食品を輸出するためのマーケティング戦略も重要です。
結論としてアンティグア・バーブーダのサトイモ生産は、過去に大きな変動が見られるものの、近年では安定しています。この状態をさらに改善し、過去の水準を回復するには、気候変動対策、農業への投資、人材育成、国際協力といった多方面からの取り組みが求められます。サトイモは地域の伝統的作物であるだけでなく、将来的な食糧安保の鍵となり得るため、その重要性を見失わないことが肝要です。