国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、アンティグア・バーブーダのカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタンの生産量は1961年の12トンから徐々に増加し、2004年には400トンにまで達しました。その後、2005年以降は減少傾向が続いており、2021年には195トンまで落ち込みましたが、2022年以降にわずかな回復が見られ、2023年には318トンとなりました。この動向は、気候変動、農業政策、そして世界的な市場の変動との関連を示唆しています。
アンティグア・バーブーダのカボチャ・スクワッシュ・ヒョウタン生産量推移(1961年~2023年)
年度 | 生産量(トン) | 増減率 |
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2023年 | 318 |
10.87% ↑
|
2022年 | 287 |
46.84% ↑
|
2021年 | 195 |
-22.79% ↓
|
2020年 | 253 |
-9.21% ↓
|
2019年 | 279 |
-6.73% ↓
|
2018年 | 299 |
-5.93% ↓
|
2017年 | 318 |
-4.49% ↓
|
2016年 | 333 |
-5.08% ↓
|
2015年 | 350 |
-6.83% ↓
|
2014年 | 376 |
1.47% ↑
|
2013年 | 371 |
12.34% ↑
|
2012年 | 330 |
-4.72% ↓
|
2011年 | 346 |
-1.45% ↓
|
2010年 | 351 |
-1.43% ↓
|
2009年 | 357 |
-1.41% ↓
|
2008年 | 362 |
-1.46% ↓
|
2007年 | 367 |
-1.33% ↓
|
2006年 | 372 |
-1.29% ↓
|
2005年 | 377 |
-5.8% ↓
|
2004年 | 400 |
8.11% ↑
|
2003年 | 370 |
12.12% ↑
|
2002年 | 330 |
7.42% ↑
|
2001年 | 307 |
5.93% ↑
|
2000年 | 290 |
2.5% ↑
|
1999年 | 283 |
4.79% ↑
|
1998年 | 270 |
1.89% ↑
|
1997年 | 265 |
-0.6% ↓
|
1996年 | 267 |
2.54% ↑
|
1995年 | 260 |
-1.55% ↓
|
1994年 | 264 |
-0.45% ↓
|
1993年 | 265 |
-1.75% ↓
|
1992年 | 270 |
8% ↑
|
1991年 | 250 |
8.7% ↑
|
1990年 | 230 |
15% ↑
|
1989年 | 200 |
-14.16% ↓
|
1988年 | 233 |
20.1% ↑
|
1987年 | 194 |
7.78% ↑
|
1986年 | 180 |
7.14% ↑
|
1985年 | 168 |
90.91% ↑
|
1984年 | 88 |
-56.22% ↓
|
1983年 | 201 |
-17.62% ↓
|
1982年 | 244 |
25.13% ↑
|
1981年 | 195 |
30.87% ↑
|
1980年 | 149 |
33.04% ↑
|
1979年 | 112 |
23.08% ↑
|
1978年 | 91 |
26.39% ↑
|
1977年 | 72 |
-35.14% ↓
|
1976年 | 111 |
24.72% ↑
|
1975年 | 89 |
45.9% ↑
|
1974年 | 61 |
-34.41% ↓
|
1973年 | 93 |
19.23% ↑
|
1972年 | 78 |
11.43% ↑
|
1971年 | 70 |
27.27% ↑
|
1970年 | 55 |
17.02% ↑
|
1969年 | 47 |
17.5% ↑
|
1968年 | 40 |
14.29% ↑
|
1967年 | 35 |
16.67% ↑
|
1966年 | 30 |
7.14% ↑
|
1965年 | 28 |
12% ↑
|
1964年 | 25 |
25% ↑
|
1963年 | 20 |
33.33% ↑
|
1962年 | 15 |
25% ↑
|
1961年 | 12 | - |
アンティグア・バーブーダにおけるカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタンの生産量は、1960年代から70年代にかけて堅調な成長を遂げてきましたが、その背景には農業技術の向上や内需の拡大があったと考えられます。特に1970年代後半から1980年代にかけては、年によるバラつきが見られるものの全体として増加傾向を維持していました。その後、1990年代から大量生産が本格化し、2004年にピークの400トンを記録しました。しかし、そこを境に減少が始まり、近年では下降傾向が顕著になっています。
この生産量の推移に影響を与えた要因としては、気候変動とそれに伴う自然災害、特に干ばつやサイクロンの影響が挙げられます。アンティグア・バーブーダは南カリブ海に位置し、地理的に台風(ハリケーン)が頻発する地域に属しています。これらの気象現象は、農作物の栽培サイクルに低減できないリスクを与えています。また、地球温暖化の進行による年間平均気温の上昇や降雨パターンの変動が農業生産性に大きな影響を及ぼしたと考えられます。
さらに、これまでの減少傾向には国の農業政策や市場動向も関与している可能性があります。例えば、観光業の発展により他産業へ労働力が流出したことで、農業従事者の数が相対的に減少したことや、輸入品の増加が地元生産の競争力を削いだことが原因として挙げられます。また、2020年以降のパンデミックによる国際物流網の混乱により、従来の農業生産支援が難しくなったことも負の要因となっています。
一方で、2022年以降に生産量が回復傾向を見せ始めたことは、いくつかの要因が背景にあると考えられます。政府が実施した地域農業支援プログラムや補助金の強化、気候変動への適応を目的とした国際的な協力プロジェクトなどがその一助となった可能性があります。実際に、近年の生産量増加は、これら政策の成果を反映していると見ることができます。
将来的な課題としては、まず第一に気候変動への適応が挙げられます。持続可能な農業を実現するためには、耐乾性や耐病性に優れた作物品種の導入や、現地気象に適合した栽培技術の普及が重要です。第二に、農業従事者の確保と技術移転の推進も欠かせません。これは、若年層への積極的な農業教育の推進や、農業技術研修プログラムの充実を通じて実現可能です。さらには、地域協力の枠組みを活用し、気候リスクを共有する地域間ネットワークの構築も将来的に有望です。
加えて、国際社会との連携を深めることで、地元農業を支援する資金調達や技術援助を拡大することが求められます。特に、国際機関や先進国の助言を活用し、気候変動影響に迅速に対応できる持続可能な農業システムを構築することが肝要です。
結論として、アンティグア・バーブーダのカボチャ、スクワッシュ、ヒョウタンの生産量推移は、多くの複雑な要因が絡み合っていますが、現在の回復傾向は希望を示唆しています。この回復を持続させるためには、経済基盤の強化と環境変動への長期的な取り組みが不可欠です。そのためには、国の政策支援だけでなく、地域間協力や国際機関との連携を通じた包括的な取り組みがカギとなるでしょう。