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アンティグア・バーブーダのパイナップル生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)の最新データによると、アンティグア・バーブーダのパイナップル生産量は、1966年以降、継続的な増減を繰り返しながらも2009年に300トンを突破、2015年には418トンと過去最高を記録しました。しかし、その後は急激に減少し、2022年、2023年にはわずか1トンという極端に低い数値にまで落ち込みました。この長期間にわたる生産量の伸びとその急減には、いくつかの背景要因と課題があると考えられます。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 1
1.49% ↑
2022年 1
-96.21% ↓
2021年 35
-24.53% ↓
2020年 47
-58.43% ↓
2019年 113
-32.47% ↓
2018年 167
-40% ↓
2017年 278
-22.36% ↓
2016年 358
-14.49% ↓
2015年 418
8.35% ↑
2014年 386
4.43% ↑
2013年 370
2.74% ↑
2012年 360
2.86% ↑
2011年 350
7.02% ↑
2010年 327
6.01% ↑
2009年 309
6.54% ↑
2008年 290
7.17% ↑
2007年 270
7.93% ↑
2006年 250
8.95% ↑
2005年 230
9.41% ↑
2004年 210
13.51% ↑
2003年 185
12.12% ↑
2002年 165
3.13% ↑
2001年 160
3.23% ↑
2000年 155
0.16% ↑
1999年 155
1.27% ↑
1998年 153
0.93% ↑
1997年 151
0.16% ↑
1996年 151
0.78% ↑
1995年 150
-10.97% ↓
1994年 168
-7.27% ↓
1993年 182
-9.16% ↓
1992年 200
17.65% ↑
1991年 170
13.33% ↑
1990年 150
15.38% ↑
1989年 130
3.17% ↑
1988年 126
20% ↑
1987年 105
5% ↑
1986年 100
7.53% ↑
1985年 93
-48.9% ↓
1984年 182
0.55% ↑
1983年 181
-2.16% ↓
1982年 185
41.22% ↑
1981年 131
36.46% ↑
1980年 96
-10.28% ↓
1979年 107
-3.6% ↓
1978年 111
326.92% ↑
1977年 26
-35% ↓
1976年 40
263.64% ↑
1975年 11
22.22% ↑
1974年 9
12.5% ↑
1973年 8
-27.27% ↓
1972年 11
22.22% ↑
1971年 9
28.57% ↑
1970年 7
40% ↑
1969年 5
66.67% ↑
1968年 3
50% ↑
1967年 2 -
1966年 2 -

アンティグア・バーブーダにおけるパイナップル生産の推移を見ると、1960年代から2000年代中頃までは、生産量が着実に増加していたことが分かります。例えば、1978年から1988年の10年間で、111トンから126トンへと約14%増加し、2000年代以降は生産技術の向上や農業政策の支援などにより、特に2006年から2015年にかけて順調に増加しました。この時期における数値は、2006年の250トンから2015年には418トンにまで増加しており、年間の成長率は約6%でした。

ところが、2016年以降、突如として生産量が減少に転じ、2023年には1トンにまで落ち込むという異例の事態が起きています。この急激な減少を理解するためには、複数の要因を考慮する必要があります。まず、地政学的な背景の一つとして、アンティグア・バーブーダの小国としての脆弱性が挙げられます。同国は、自然災害、特にハリケーンのような気象災害の影響を非常に受けやすい地理的特性を持っています。近年の気候変動の進行により、より激しい天候が頻発することが指摘されており、それが農業生産に及ぼす大きな影響は無視できません。

また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる経済的混乱も、生産量の急減に寄与した可能性があります。この時期、多くの国では輸送・物流が滞り、農業分野への労働力の確保が困難となりました。さらに、国際的な観光産業の収縮が同国の経済全体に悪影響を及ぼし、農業への投資が縮小した可能性があります。これらの要因はすべて、2020年以降の数値の低下を説明する一助となります。

今後、アンティグア・バーブーダがパイナップル生産を復興させるためには、いくつかの具体的な対策が必要です。まず、気候変動に備えた持続可能な農業技術の採用が重要です。耐気候的なパイナップル品種の育成や、自然災害から作物を守るインフラの整備は効果的な戦略となるでしょう。また、農業従事者への教育や支援の強化も不可欠です。これに加え、地域間での情報共有や資材の共同利用などを進め、近隣のカリブ諸国との協力関係を構築することが重要です。

さらに、国際的な援助や資金提供の枠組みの利用を拡大することも有効です。特に、国連機関や地域開発銀行からの支援を通じて、農業基盤の復興と強化が期待されます。また、柔軟な輸出戦略の採用により、観光産業の変動に依存するリスクを軽減することも考えられるでしょう。

結論として、過去のデータが示しているように、アンティグア・バーブーダのパイナップル生産には、一時的な停滞にもかかわらず、回復と成長の余地があります。今後の対策次第では、再び安定した生産量を達成し、持続可能な発展を目指すことが可能です。今後の挑戦を乗り越える努力が、同国の農業全般の未来を左右すると言えます。