アンティグア・バーブーダのマンゴー・マンゴスチン・グアバ生産量推移（1961年～2023年）

国際連合食糧農業機関（FAO）が2024年7月に公表したデータによると、アンティグア・バーブーダにおけるマンゴー・マンゴスチン・グアバの生産量は1966年の20トンから継続的に増加し、1989年にはピークの1,500トンに達しました。その後、1990年代以降は生産量が徐々に安定し、21世紀に入ってからは概ね1,400トン前後で推移しています。この長期的なデータは、生産量が成長期から成熟期へと移行したことを示していると考えられます。

アンティグア・バーブーダはカリブ海地域に位置し、気候条件が果物栽培に適した国であり、マンゴー、マンゴスチン、グアバといった熱帯果物の生産は伝統的に同国の農業の重要な一部を構成しています。FAOが公表したデータに基づいて、1966年の20トンという控えめな生産量から始まったこれら果物の生産は、1970年代半ばから1980年代半ばまで急激に増加しました。例えば、1981年には1,020トン、1989年には1,500トンの生産量に到達し、この果物セクターの急速な拡大が見て取れます。

こうした生産増加には、気候条件、農業技術の向上、また輸出市場の需要拡大などが貢献したと考えられます。しかし、1980年代末から1990年代初頭にかけての成長ペースはやや鈍化し、1995年には1,300トンに減少しました。その後、2000年以降は概ね1,400トン前後の安定した数値を示し、持続可能な生産体制に移行したことがうかがえます。

この安定期においては、輸出市場の変化、地域社会の食文化の転換、また地球温暖化による気候変動などが影響している可能性があります。気候変動は特に小規模な島国にとって大きな脅威であり、干ばつや台風被害などが農業生産に直接的な影響を及ぼすことが想定されます。2012年に生産量が1,225トンまで一時的に減少したことは、こうした外的要因による脆弱性を示唆しているかもしれません。

また、他国のデータと比較してみると、例えばマンゴーなどを大量に生産するインド（2023年時点で2,500万トン以上）やブラジルなどの主要生産国と比べて、アンティグア・バーブーダの生産量は非常に小規模です。これは同国の土地面積や農業インフラの規模が限定的であるためですが、地域経済に根付いた限定的ながらも持続可能な農業モデルを形成していることを意味しています。

今後、この地域特有の課題として、気候変動の影響に対する適応策の強化が必要です。たとえば、耐乾燥性の高い作物品種の導入、灌漑インフラの整備、また農家への気候変動に関する教育プログラムの導入などが有効な選択肢と言えるでしょう。また、地元市場だけでなく国際市場に向けたマーケティング戦略の再展開や、これらの果物を加工品（ジュースやスナック類）として付加価値をつける政策が生産者に新たな収益源をもたらすかもしれません。

長期的な展望として、地域間協力の枠組みを利用し、近隣諸国との農業技術の共有を推進することが重要です。また、国際協力機構や環境保護団体の支援を得ることで、より気候に適した持続可能な農業モデルが構築できると思われます。最後に、アンティグア・バーブーダにおけるマンゴー、マンゴスチン、グアバなどの果物栽培は、地域住民の生活支援や経済基盤の強化に繋がる貴重な資源であり、これを適切に利用し、発展させていくことが求められます。