国連食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、イタリアにおける羊の毛の生産量は、1961年の12,700トンをピークに増減を繰り返しながら、概ね長期的な減少傾向を示しています。1970年代から1990年にかけて一時的に回復を見せたものの、それ以降は再び減少が進み、2017年には7,259トンまで低下しました。この半世紀以上のデータからは、全体的な生産量の下降が継続しており、特に2000年代以降その傾向が顕著であることがわかります。
イタリアの羊の毛生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ
| 年度 | 生産量(トン) | 増減率 | |
|---|---|---|---|
| 2017年 | 7,259 |
-2.49% ↓
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| 2016年 | 7,444 |
-2.57% ↓
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| 2015年 | 7,641 |
-2.13% ↓
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| 2014年 | 7,807 |
-7.61% ↓
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| 2013年 | 8,450 |
0.21% ↑
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| 2012年 | 8,432 |
-1.47% ↓
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| 2011年 | 8,558 |
-4.26% ↓
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| 2010年 | 8,939 |
-1.46% ↓
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| 2009年 | 9,071 |
-1.43% ↓
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| 2008年 | 9,203 |
-0.15% ↓
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| 2007年 | 9,217 |
1.81% ↑
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| 2006年 | 9,053 |
0.04% ↑
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| 2005年 | 9,049 |
-2.74% ↓
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| 2004年 | 9,304 |
-11.61% ↓
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| 2003年 | 10,526 | - | |
| 2002年 | 10,526 |
-1.32% ↓
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| 2001年 | 10,667 |
-3.03% ↓
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| 2000年 | 11,000 |
0.52% ↑
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| 1999年 | 10,943 |
4.18% ↑
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| 1998年 | 10,504 |
-7.42% ↓
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| 1997年 | 11,346 |
-2.68% ↓
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| 1996年 | 11,659 |
6.13% ↑
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| 1995年 | 10,986 |
-14.9% ↓
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| 1994年 | 12,909 |
1.49% ↑
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| 1993年 | 12,719 |
-7.16% ↓
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|
| 1992年 | 13,700 |
-5.52% ↓
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| 1991年 | 14,500 |
2.84% ↑
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| 1990年 | 14,100 |
2.17% ↑
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| 1989年 | 13,800 |
1.47% ↑
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| 1988年 | 13,600 |
2.26% ↑
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| 1987年 | 13,300 |
-1.19% ↓
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| 1986年 | 13,460 |
4.71% ↑
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| 1985年 | 12,854 |
0.8% ↑
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| 1984年 | 12,752 |
0.21% ↑
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| 1983年 | 12,725 |
0.17% ↑
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| 1982年 | 12,703 |
-2.73% ↓
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| 1981年 | 13,060 |
2% ↑
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| 1980年 | 12,804 |
1.62% ↑
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| 1979年 | 12,600 |
1.65% ↑
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| 1978年 | 12,395 |
2.44% ↑
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| 1977年 | 12,100 |
1.68% ↑
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| 1976年 | 11,900 |
2.59% ↑
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|
| 1975年 | 11,600 |
1.75% ↑
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|
| 1974年 | 11,400 |
2.7% ↑
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| 1973年 | 11,100 | - | |
| 1972年 | 11,100 |
-1.77% ↓
|
|
| 1971年 | 11,300 |
-3.42% ↓
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|
| 1970年 | 11,700 |
-2.5% ↓
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| 1969年 | 12,000 |
0.84% ↑
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| 1968年 | 11,900 |
-2.46% ↓
|
|
| 1967年 | 12,200 |
-0.81% ↓
|
|
| 1966年 | 12,300 |
2.5% ↑
|
|
| 1965年 | 12,000 | - | |
| 1964年 | 12,000 |
-4% ↓
|
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| 1963年 | 12,500 |
1.63% ↑
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| 1962年 | 12,300 |
-3.15% ↓
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| 1961年 | 12,700 | - | |
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イタリアにおける羊の毛の生産量の長期的な推移を見ると、初期の1960年代は比較的安定した水準にありました。1970年代には一時的な低下が見られたものの、1980年代後半から1990年代初期にかけては、羊毛産業が盛り上がりを見せ、1991年には歴史的な高水準である14,500トンに達しました。しかしその後、1995年前後から顕著な減少傾向が始まり、2000年代以降は特に急激に収縮しています。2017年には7,259トンと、最高値である1991年の約半分にまで減少しました。この動向は、イタリア国内の農業政策の変化、国際市場の動向、そして羊毛の需要と供給のバランスに深く関連していると考えられます。
まず、羊の毛は、主に衣類やテキスタイル産業で用いられ、その需要はファッション業界の変化に非常に敏感です。1990年代以降、化学繊維の台頭が天然繊維の需要を大きく侵食しました。化学繊維はコストが安く、用途が広いことから、羊毛に代わる選択肢として多くの産業で採用されるようになりました。また、国際市場においては、中国やオーストラリアが羊毛生産の主要プレイヤーであり、特に中国は低価格での供給により市場シェアを拡大しました。このような外的な競争圧力も、イタリアの羊毛産業にとって大きな影響を与えたと考えられます。
さらに、国内の牧畜業が直面している課題も見逃せません。イタリアでは農業や畜産業の高齢化が進み、若い世代の担い手不足が深刻化しています。その上、農地の都市化や気候変動による牧草地の減少なども生産環境に影響を及ぼしています。羊の毛の品質を安定的に維持しながら競争力を保つことが難しい状況が続いていると言えます。
地政学的な背景としては、2000年代以降のEU内の政策変化や、羊毛の価格低迷の影響も大きいです。例えば、欧州連合内での動物福祉の向上を目指した規制強化や貿易政策の変化が、特に中小規模の畜産業者の負担を増加させた可能性があります。また、新型コロナウイルスの流行により、最近では国際的なサプライチェーンの混乱が発生し、さらなる市場縮小が懸念されます。
現状を踏まえると、イタリアの羊毛産業にはいくつかの課題と希望が存在します。課題としては、まず競争力の低下が挙げられます。これを改善するためには、新しいマーケティング戦略や高付加価値製品の開発が必要です。また、農業や牧畜業への若者の関与を促進するための教育や経済的な支援も重要です。一方で、イタリアはファッションや高級テキスタイル産業の世界的なリーダーでもあり、この分野でのブランド力を活用して、「メイド・イン・イタリー」の羊毛製品の付加価値をさらに強化することが有望に思われます。
加えて、地域間協力を強化し、EU全体での持続可能な牧畜モデルを共有することも欠かせません。特に環境保全や気候変動への適応を重視した持続可能な取り組みが、産業の復権に寄与する可能性があります。例えば、環境に優しい羊毛生産プロセスやトレーサビリティ(製品追跡可能性)を重視する市場戦略が有効と考えられます。また、アフリカやアジア市場への輸出を拡大させ、国際市場での需要を喚起するステップも重要です。
結論として、イタリアの羊毛生産量は長期的に減少傾向にあるものの、国内のテキスタイル産業やブランド力を活用すれば、付加価値の高い形で回復の余地があります。持続可能性とイノベーションを追求しつつ、EUや国際的な協力を進めることで、衰退しつつある羊毛産業に新たな希望を与えることができるでしょう。
イタリアの統計データ
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- イタリアの平均寿命推移【1950年~2100年】
- イタリアの平均年齢推移【1950年~2100年】
- イタリアの人口増加推移【1950年~2100年】
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- イタリアの馬肉生産量の推移
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