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世界の羊の毛生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

1992年度の羊の毛生産量ランキングにおいて、オーストラリアが圧倒的な差をつけて87万3,500トンで1位を獲得しました。2位は29万6,000トンを生産したニュージーランド、続く3位は23万8,192トンを生産した中国です。トップ3カ国が全世界の羊毛生産量の大部分を占めており、特にオーストラリアは世界の羊毛生産を牽引する重要な役割を果たしています。これに続くのはロシア連邦やアルゼンチンといった国で、それぞれ17万8,640トン、11万トンの生産量を記録しています。アジア、ヨーロッパ、アフリカ、中南米など世界中で羊毛が生産されている一方で、上位数カ国に生産が集中しています。

順位 国名 地域 生産量(トン)
1 オーストラリア国旗 オーストラリア オセアニア 873,500
2 ニュージーランド国旗 ニュージーランド オセアニア 296,000
3 中国国旗 中国 アジア 238,192
4 ロシア連邦国旗 ロシア連邦 ヨーロッパ 178,640
5 アルゼンチン国旗 アルゼンチン 南アメリカ 110,000
6 カザフスタン国旗 カザフスタン アジア 96,451
7 ウルグアイ国旗 ウルグアイ 南アメリカ 84,425
8 南アフリカ国旗 南アフリカ アフリカ 83,000
9 イギリス国旗 イギリス ヨーロッパ 70,442
10 トルコ国旗 トルコ アジア 59,050
11 パキスタン国旗 パキスタン アジア 49,306
12 イラン(イスラム共和国)国旗 イラン(イスラム共和国) アジア 46,000
13 インド国旗 インド アジア 38,800
14 アメリカ合衆国国旗 アメリカ合衆国 北アメリカ 37,622
15 モロッコ国旗 モロッコ アフリカ 36,000
16 シリア・アラブ共和国国旗 シリア・アラブ共和国 アジア 35,142
17 キルギスタン国旗 キルギスタン アジア 33,700
18 スペイン国旗 スペイン ヨーロッパ 28,405
19 ルーマニア国旗 ルーマニア ヨーロッパ 28,020
20 ブラジル国旗 ブラジル 南アメリカ 27,654
21 ウズベキスタン国旗 ウズベキスタン アジア 27,400
22 ウクライナ国旗 ウクライナ ヨーロッパ 23,080
23 フランス国旗 フランス ヨーロッパ 22,000
24 モンゴル国旗 モンゴル アジア 21,000
25 イラク国旗 イラク アジア 20,500
26 アルジェリア国旗 アルジェリア アフリカ 20,200
27 ブルガリア国旗 ブルガリア ヨーロッパ 19,109
28 インドネシア国旗 インドネシア アジア 18,705
29 トルクメニスタン国旗 トルクメニスタン アジア 16,600
30 チリ国旗 チリ 南アメリカ 16,400
31 アフガニスタン国旗 アフガニスタン アジア 15,187
32 イタリア国旗 イタリア ヨーロッパ 13,700
33 ドイツ国旗 ドイツ ヨーロッパ 13,655
34 アイルランド国旗 アイルランド ヨーロッパ 13,241
35 チュニジア国旗 チュニジア アフリカ 11,000
36 ギリシャ国旗 ギリシャ ヨーロッパ 10,507
37 ペルー国旗 ペルー 南アメリカ 9,600
38 アゼルバイジャン国旗 アゼルバイジャン アジア 9,506
39 ポルトガル国旗 ポルトガル ヨーロッパ 8,835
40 サウジアラビア国旗 サウジアラビア アジア 7,600
41 エジプト国旗 エジプト アフリカ 7,543
42 リビア国旗 リビア アフリカ 7,500
43 ボリビア (多民族国家)国旗 ボリビア (多民族国家) 南アメリカ 7,473
44 ポーランド国旗 ポーランド ヨーロッパ 6,596
45 ノルウェー国旗 ノルウェー ヨーロッパ 5,308
46 ヨルダン国旗 ヨルダン アジア 5,300
47 レソト国旗 レソト アフリカ 5,000
48 メキシコ国旗 メキシコ 南アメリカ 4,675
49 ハンガリー国旗 ハンガリー ヨーロッパ 4,526
50 グルジア国旗 グルジア アジア 4,159
51 イエメン国旗 イエメン アジア 4,045
52 タジキスタン国旗 タジキスタン アジア 3,700
53 タンザニア連合共和国国旗 タンザニア連合共和国 アフリカ 3,700
54 オランダ国旗 オランダ ヨーロッパ 3,000
55 アルバニア国旗 アルバニア ヨーロッパ 2,930
56 北マケドニア国旗 北マケドニア ヨーロッパ 2,642
57 モルドバ共和国国旗 モルドバ共和国 ヨーロッパ 2,616
58 アルメニア国旗 アルメニア アジア 2,100
59 ケニア国旗 ケニア アフリカ 2,040
60 コロンビア国旗 コロンビア 南アメリカ 1,898
61 カナダ国旗 カナダ 北アメリカ 1,498
62 エクアドル国旗 エクアドル 南アメリカ 1,400
63 ナミビア国旗 ナミビア アフリカ 1,400
64 アイスランド国旗 アイスランド ヨーロッパ 1,200
65 バングラデシュ国旗 バングラデシュ アジア 1,149
66 レバノン国旗 レバノン アジア 1,100
67 オーストリア国旗 オーストリア ヨーロッパ 926
68 ジンバブエ国旗 ジンバブエ アフリカ 892
69 パラグアイ国旗 パラグアイ 南アメリカ 784
70 イスラエル国旗 イスラエル アジア 750
71 スイス国旗 スイス ヨーロッパ 697
72 ベラルーシ国旗 ベラルーシ ヨーロッパ 682
73 スウェーデン国旗 スウェーデン ヨーロッパ 630
74 ネパール国旗 ネパール アジア 620
75 クロアチア国旗 クロアチア ヨーロッパ 484
76 ボスニア・ヘルツェゴビナ国旗 ボスニア・ヘルツェゴビナ ヨーロッパ 470
77 キプロス国旗 キプロス アジア 425
78 デンマーク国旗 デンマーク ヨーロッパ 400
79 マリ国旗 マリ アフリカ 376
80 ラトビア国旗 ラトビア ヨーロッパ 348
81 エストニア国旗 エストニア ヨーロッパ 311
82 ミャンマー国旗 ミャンマー アジア 284
83 マレーシア国旗 マレーシア アジア 276
84 フィンランド国旗 フィンランド ヨーロッパ 134
85 リトアニア国旗 リトアニア ヨーロッパ 115
86 クウェート国旗 クウェート アジア 32
87 マルタ国旗 マルタ ヨーロッパ 29
88 スロベニア国旗 スロベニア ヨーロッパ 23
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1992年の国連食糧農業機関(FAO)の発表したデータを見ると、羊毛生産における地理的、経済的な傾向が浮き彫りになります。まず、生産量上位のオーストラリアとニュージーランドは、温暖で草原が広がる気候条件に恵まれており、羊の飼育に適した地理的環境を有しています。こうした農牧条件が、大規模な羊毛生産を可能にしていることがわかります。これらの国々による大量生産は、世界の繊維産業、特に衣服や室内装飾品の生産に欠かせない供給源となっています。

中国が3位にランクインしている点も注目に値します。当時の中国はまだ羊毛の加工や製品化の面で国際競争力を高めつつある段階にありながら、生産量の多さが目立ちます。これは、中国が広大な国土と多様な気候帯をもち、特定の地域での羊の飼育が盛んであるためと考えられます。この傾向は国内消費需要の増加だけでなく、将来の輸出戦略を見据えた生産基盤構築の一環とも読み取れます。

一方、ヨーロッパや南米にも興味深い特徴があります。アルゼンチンやウルグアイは、草原地帯を活かして地域経済を支える主要産業として羊毛の生産を展開しています。これらの国々は規模の点でオーストラリアやニュージーランドには劣りますが、品質の高い繊維として評価される羊毛を多く生産しています。また、イギリスやフランスなど、伝統的に羊毛産業が盛んなヨーロッパ諸国もランキングに名を連ねていますが、近代的な産業構造とともに生産量が他地域より低下していることが確認できます。

課題として挙げられるのは、羊毛生産の地域的偏りと長期的なリスクです。多くの上位国の生産量が高い一方、アフリカや中東地域の多くの国では生産量が比較的少なく、繊維産業への貢献度が低い状況が続いています。生産技術や経済基盤の向上が課題になるでしょう。また、気候変動は特定の地域に深刻な影響を及ぼしており、特に羊毛生産では、乾燥化や牧草地の減少が懸念されています。このような環境変化が持続的な羊毛供給に大きな脅威を与える可能性があります。

将来への提案としては、いくつかの施策が考えられます。第一に、生産量が低い国々への技術援助や育成プログラムの導入が挙げられます。例えば、アフリカ諸国では灌漑や牧草地整備を支援することで、羊の飼育環境を改善する取り組みが重要です。第二に、高品質な羊毛の開発や市場の多様化を進めることが求められます。これは、単に量的な生産だけでなく、品質と多用途性を重視する姿勢でもあります。また、国際的な枠組みとして、気候変動の影響を軽減するための協力プロジェクトを立ち上げることも有益です。

結論として、1992年度のデータは、当時の世界各地域の羊毛生産状況や経済的役割を明らかにすると共に、生産地における気候・経済的課題の存在を示しています。各国が地域資源をうまく活用するだけでなく、国際協力を通じて共有課題に取り組む姿勢が未来の羊毛産業の持続可能性を高める鍵となるでしょう。政策的には、農牧業支援と気候変動対策の両立を目指した戦略が効果的です。

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