国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、2009年の羊の毛生産量では、中国が364,002トンで世界1位、オーストラリアが361,118トンで2位、ニュージーランドが185,800トンで3位という結果でした。このランキングでは、生産量が上位の国々が限られており、特に中国とオーストラリアがトップを占めている状況です。他方で、日本はランキングに登場しておらず、国内での羊毛の自給はほぼ存在しない状態であると予想されます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
アジア | 364,002 |
| 2 |
|
オセアニア | 361,118 |
| 3 |
|
オセアニア | 185,800 |
| 4 |
|
アジア | 66,561 |
| 5 |
|
南アメリカ | 65,000 |
| 6 |
|
ヨーロッパ | 64,336 |
| 7 |
|
ヨーロッパ | 54,658 |
| 8 |
|
アフリカ | 52,596 |
| 9 |
|
アジア | 43,224 |
| 10 |
|
アフリカ | 41,919 |
| 11 |
|
アジア | 41,540 |
| 12 |
|
南アメリカ | 41,057 |
| 13 |
|
アジア | 40,270 |
| 14 |
|
アジア | 37,500 |
| 15 |
|
アジア | 36,428 |
| 16 |
|
アジア | 30,598 |
| 17 |
|
アフリカ | 27,820 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 27,049 |
| 19 |
|
アジア | 24,980 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 22,352 |
| 21 |
|
アジア | 21,856 |
| 22 |
|
アジア | 21,000 |
| 23 |
|
アジア | 17,000 |
| 24 |
|
アジア | 15,252 |
| 25 |
|
アジア | 14,700 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 14,000 |
| 27 |
|
北アメリカ | 13,770 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 13,544 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 12,500 |
| 30 |
|
南アメリカ | 11,395 |
| 31 |
|
アフリカ | 11,183 |
| 32 |
|
アジア | 11,006 |
| 33 |
|
南アメリカ | 10,279 |
| 34 |
|
アフリカ | 10,128 |
| 35 |
|
南アメリカ | 9,530 |
| 36 |
|
アフリカ | 9,260 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 9,071 |
| 38 |
|
アジア | 9,000 |
| 39 |
|
南アメリカ | 8,645 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 8,045 |
| 41 |
|
アフリカ | 8,033 |
| 42 |
|
アジア | 7,593 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 6,409 |
| 44 |
|
アフリカ | 5,630 |
| 45 |
|
アジア | 5,434 |
| 46 |
|
南アメリカ | 4,754 |
| 47 |
|
ヨーロッパ | 4,444 |
| 48 |
|
ヨーロッパ | 4,372 |
| 49 |
|
ヨーロッパ | 4,111 |
| 50 |
|
南アメリカ | 3,920 |
| 51 |
|
アフリカ | 3,900 |
| 52 |
|
ヨーロッパ | 3,200 |
| 53 |
|
ヨーロッパ | 3,065 |
| 54 |
|
ヨーロッパ | 3,028 |
| 55 |
|
アジア | 2,590 |
| 56 |
|
ヨーロッパ | 2,403 |
| 57 |
|
アジア | 2,132 |
| 58 |
|
アジア | 2,100 |
| 59 |
|
ヨーロッパ | 1,996 |
| 60 |
|
アフリカ | 1,900 |
| 61 |
|
アフリカ | 1,863 |
| 62 |
|
南アメリカ | 1,860 |
| 63 |
|
アジア | 1,800 |
| 64 |
|
アフリカ | 1,716 |
| 65 |
|
ヨーロッパ | 1,438 |
| 66 |
|
北アメリカ | 1,339 |
| 67 |
|
アジア | 1,307 |
| 68 |
|
アフリカ | 1,130 |
| 69 |
|
南アメリカ | 1,062 |
| 70 |
|
アジア | 960 |
| 71 |
|
ヨーロッパ | 951 |
| 72 |
|
ヨーロッパ | 820 |
| 73 |
|
ヨーロッパ | 816 |
| 74 |
|
ヨーロッパ | 716 |
| 75 |
|
ヨーロッパ | 696 |
| 76 |
|
ヨーロッパ | 659 |
| 77 |
|
アジア | 584 |
| 78 |
|
アジア | 535 |
| 79 |
|
ヨーロッパ | 425 |
| 80 |
|
アフリカ | 355 |
| 81 |
|
アジア | 315 |
| 82 |
|
ヨーロッパ | 296 |
| 83 |
|
ヨーロッパ | 243 |
| 84 |
|
ヨーロッパ | 190 |
| 85 |
|
ヨーロッパ | 180 |
| 86 |
|
アジア | 160 |
| 87 |
|
ヨーロッパ | 144 |
| 88 |
|
アジア | 136 |
| 89 |
|
ヨーロッパ | 134 |
| 90 |
|
ヨーロッパ | 86 |
| 91 |
|
ヨーロッパ | 83 |
| 92 |
|
ヨーロッパ | 80 |
| 93 |
|
ヨーロッパ | 42 |
| 94 |
|
ヨーロッパ | 26 |
| 95 |
|
ヨーロッパ | 16 |
| + すべての国を見る | |||
2009年における世界の羊毛生産量データは、羊毛の産業構造や各国の経済、農業活動の特徴を示す興味深い指標です。羊毛は衣料産業における重要な原材料であり、その供給源としての羊の飼育環境や管理体制が各国で異なるため、このデータに基づく分析は農業政策や国際貿易戦略にも役立ちます。
まず、中国が364,002トンで世界のトップに位置しています。これは同国における農業規模の広さと農村地域での羊の飼育普及率の高さを反映しています。特に、中国の内陸部や北方地域では広大な土地が放牧地として利用され、羊毛生産を支える重要な基盤となっています。一方で、オーストラリアも361,118トンという僅差で追随しています。同国は品質の高い羊毛(メリノ種の羊毛として知られる)を産出することで国際市場で有名であり、羊毛輸出の主要国としての役割を担っています。さらに、ニュージーランドは185,800トンで3位を占めており、小国でありながら高い生産性を実現しています。この中で特筆すべきは、ニュージーランドが自然放牧における持続可能性と高品質な製品を両立している点です。
羊毛生産量が上位3位を占めるこれらの国々と比較すると、日本はデータに姿を現していません。これは、日本国内での羊飼育が畜産の中で極めて限られた規模であるためです。日本は羊毛供給をほぼ全量輸入に依存しており、このデータは国内の繊維産業の供給網が海外に大きく依存している状況を改めて示しています。
続いて、4位にはイラン、5位はアルゼンチンがそれぞれランクインしました。どちらの国も羊飼育に適した自然環境を有していますが、生産規模や効率の面で課題も存在します。特に、イランのように地政学的緊張が絶えない地域では、地域紛争が農業経済に影響を及ぼすリスクが高く、安定的な生産の確保が課題となっています。
生産量が上位に入る国々には、地理的・気候的な要因だけでなく、技術革新や農業政策が重要な役割を果たしています。一方で、下位の国々、特にランキング50位以降に位置する国々は、限られた資源や技術的欠如、農業インフラの不十分さが生産量の低迷に影響を与えています。例えば、エチオピアやジンバブエのようなGDPが低い国々では、近代的な畜産業が未成熟であり、これが羊毛産業にも反映されています。
このデータの示唆する課題として、まず輸出主導型の供給体制と輸入依存型経済の地域不均衡が挙げられます。トップ生産国の中国やオーストラリアが世界の羊毛市場を左右していますが、これらの国に何らかの自然災害や疫病が発生した場合、それが全球的な市場に与える影響は甚大です。羊毛供給の多様性を確保し、特定地域に依存しない形での国際的協力が求められるでしょう。加えて、地球温暖化や気候変動に伴う農業生産への影響も深刻な問題です。干ばつや洪水などの極端気象は放牧環境に直接的な悪影響を与え、生産量を減少させる可能性があります。
具体的な対策としては、次のような取り組みが考えられます。ひとつは、持続可能な羊毛生産のための国際的な枠組みの構築です。これは生産基準の共有や技術交流、農業技術支援を含むものであり、生産者と消費地の双方に利益をもたらします。さらに、輸入依存が高い国々、特に日本のような国々では、国内畜産の多様化と効率化が重要です。自治体レベルで羊飼育の活性化を図る政策や、小規模農家への支援を通じた試みも有益です。
結論として、2009年度の羊毛生産ランキングは、各国の農業環境や産業の発展段階を反映した重要な指標です。生産量が集中する一方で、リスク分散や持続可能性への課題が浮き彫りになっています。地球規模での協力体制と国内の農業振興策を組み合わせることで、安定した羊毛供給と気候変動への対応を目指すべきでしょう。