国際連合食糧農業機関(FAO)の2000年度データによると、世界の羊の毛生産量ランキングで1位はオーストラリア(671,000トン)、2位は中国(292,502トン)、3位はニュージーランド(257,200トン)でした。これら上位3カ国の生産量は他国を大きく引き離し、羊毛生産の主要拠点であることがわかります。日本はランクインしていませんが、近隣国である中国やインドが上位に位置しており、アジア地域における羊毛産業の存在感が改めて浮き彫りとなっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
オセアニア | 671,000 |
| 2 |
|
アジア | 292,502 |
| 3 |
|
オセアニア | 257,200 |
| 4 |
|
アジア | 75,000 |
| 5 |
|
ヨーロッパ | 64,000 |
| 6 |
|
南アメリカ | 58,000 |
| 7 |
|
南アメリカ | 57,218 |
| 8 |
|
アフリカ | 49,385 |
| 9 |
|
アジア | 48,400 |
| 10 |
|
アジア | 43,139 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 40,088 |
| 12 |
|
アフリカ | 40,000 |
| 13 |
|
アジア | 38,900 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 32,104 |
| 15 |
|
アジア | 32,000 |
| 16 |
|
アジア | 23,000 |
| 17 |
|
アジア | 22,924 |
| 18 |
|
アジア | 22,281 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 21,825 |
| 20 |
|
アジア | 21,700 |
| 21 |
|
北アメリカ | 20,662 |
| 22 |
|
アジア | 18,000 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 17,997 |
| 24 |
|
アフリカ | 17,709 |
| 25 |
|
南アメリカ | 17,000 |
| 26 |
|
アジア | 15,834 |
| 27 |
|
アジア | 15,800 |
| 28 |
|
南アメリカ | 13,301 |
| 29 |
|
南アメリカ | 12,361 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 12,301 |
| 31 |
|
アフリカ | 12,000 |
| 32 |
|
アジア | 11,250 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 11,000 |
| 34 |
|
アジア | 10,916 |
| 35 |
|
アジア | 10,000 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 9,645 |
| 37 |
|
ヨーロッパ | 9,114 |
| 38 |
|
アフリカ | 8,947 |
| 39 |
|
南アメリカ | 8,752 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 8,731 |
| 41 |
|
アフリカ | 8,581 |
| 42 |
|
アフリカ | 7,373 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 6,976 |
| 44 |
|
ヨーロッパ | 4,957 |
| 45 |
|
アジア | 4,391 |
| 46 |
|
南アメリカ | 4,176 |
| 47 |
|
アフリカ | 3,803 |
| 48 |
|
アジア | 3,530 |
| 49 |
|
ヨーロッパ | 3,400 |
| 50 |
|
ヨーロッパ | 3,400 |
| 51 |
|
ヨーロッパ | 3,369 |
| 52 |
|
南アメリカ | 2,975 |
| 53 |
|
アフリカ | 2,600 |
| 54 |
|
ヨーロッパ | 2,400 |
| 55 |
|
南アメリカ | 2,196 |
| 56 |
|
ヨーロッパ | 2,067 |
| 57 |
|
アフリカ | 2,060 |
| 58 |
|
アジア | 2,059 |
| 59 |
|
ヨーロッパ | 1,920 |
| 60 |
|
アジア | 1,860 |
| 61 |
|
アフリカ | 1,709 |
| 62 |
|
アジア | 1,650 |
| 63 |
|
北アメリカ | 1,468 |
| 64 |
|
アジア | 1,360 |
| 65 |
|
ヨーロッパ | 1,322 |
| 66 |
|
アジア | 1,310 |
| 67 |
|
ヨーロッパ | 1,260 |
| 68 |
|
アフリカ | 1,260 |
| 69 |
|
アフリカ | 1,080 |
| 70 |
|
ヨーロッパ | 930 |
| 71 |
|
アジア | 800 |
| 72 |
|
ヨーロッパ | 764 |
| 73 |
|
ヨーロッパ | 730 |
| 74 |
|
南アメリカ | 699 |
| 75 |
|
アジア | 615 |
| 76 |
|
ヨーロッパ | 458 |
| 77 |
|
ヨーロッパ | 420 |
| 78 |
|
アジア | 417 |
| 79 |
|
アジア | 400 |
| 80 |
|
アジア | 389 |
| 81 |
|
アフリカ | 384 |
| 82 |
|
ヨーロッパ | 360 |
| 83 |
|
ヨーロッパ | 250 |
| 84 |
|
ヨーロッパ | 200 |
| 85 |
|
ヨーロッパ | 184 |
| 86 |
|
アジア | 157 |
| 87 |
|
ヨーロッパ | 133 |
| 88 |
|
ヨーロッパ | 130 |
| 89 |
|
ヨーロッパ | 80 |
| 90 |
|
ヨーロッパ | 72 |
| 91 |
|
ヨーロッパ | 71 |
| 92 |
|
ヨーロッパ | 30 |
| 93 |
|
ヨーロッパ | 25 |
| 94 |
|
ヨーロッパ | 14 |
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2000年度のFAOデータは、羊毛産業がいくつかの特定の地域に集中している現状を正確に反映しています。ランキングで最上位に位置するオーストラリアは、671,000トンという圧倒的な生産量を誇り、特に高品質の「メリノウール」の原産地としても知られています。この背景には、広大な牧草地と温暖な気候に支えられた羊の飼育に有利な自然条件があると考えられます。一方、2位の中国(292,502トン)は食糧生産と並行して羊毛産業が急速に発展し続けており、その規模は年々拡大しています。3位のニュージーランド(257,200トン)は、国内経済における農牧業の重要性が高いことが反映されています。
注目すべきは、アジア地域における羊毛生産の広がりです。特に中国、イラン、インドといった国々が上位に名を連ねており、今後の羊毛需要においてアジア諸国の役割が拡大する可能性が示唆されます。例えば、中国は繊維製品全般の大規模生産国であるため、国内市場だけでなく世界市場における影響力を持ち、羊毛の取引も重要な位置を占めています。日本においては羊毛生産はほとんど行われませんが、中国をはじめとする近隣諸国からの輸入に依存しているため、これらの主要生産国の動向が日本の繊維産業に直接的な影響を与えています。
さらには、地理的要因と羊毛生産の関係性についても見逃せません。イギリスやアルゼンチン、ウルグアイ、南アフリカといった中規模な生産国は、それぞれ牧草地や特定の羊種の生育に適した環境を持ちながらも、上位3カ国と比較すると生産量が遥かに少ないです。これは、国内市場規模や政策支援の違いにも起因していると考えられます。
一方で、羊毛産業の未来に目を向けると、いくつかの課題と改善すべき点が明らかになります。気候変動は羊飼育に直接的な影響を与える可能性があり、特に乾燥地域では家畜のえさとなる草原が減少しつつあります。また、生産国間での不平等な貿易条件や労働環境の問題も、より持続可能な羊毛産業を目指す上で解決が求められる課題です。たとえば、より効率的な水資源管理技術の導入や、国際協力を基盤とした公正な貿易体制の確立が具体的な対策として挙げられます。
さらに地政学的な観点からは、羊毛をめぐる取引が国際経済の安定性に影響を及ぼす可能性がある点が指摘できます。特に、大規模な生産国が輸出に依存している場合、地政学的リスクや経済制裁の影響を受けやすくなります。羊毛は単なる原材料にとどまらず、特定地域の経済基盤を支える資源となっており、その持続可能な開発を進めることは国際社会にとっても重要な課題です。
今後、世界的な羊毛需要と供給のバランスを維持するためには、以下のような具体的な対策が考えられます。まず、生産国における環境配慮型の養羊技術の普及を支援する国際機関の役割が期待されます。次に、消費国側でも家畜由来の製品についての認証制度の導入や需要予測に基づいた計画的な貿易を進めることが求められます。これにより、生産者と消費者の双方が安定的な恩恵を享受できるような仕組みが構築されるでしょう。