国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1982年度の羊の毛生産量データによると、1位はオーストラリアで717,208トン、2位はニュージーランドで363,000トン、3位は中国で202,000トンでした。上位3カ国が世界の羊毛生産を牽引し、特にオーストラリアは突出した生産量を誇ることが分かります。一方で、10位以下は比較的少量の生産であり、上位国に比べて小規模な生産に留まっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
オセアニア | 717,208 |
| 2 |
|
オセアニア | 363,000 |
| 3 |
|
アジア | 202,000 |
| 4 |
|
南アメリカ | 153,000 |
| 5 |
|
アフリカ | 110,400 |
| 6 |
|
南アメリカ | 74,459 |
| 7 |
|
アジア | 62,075 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 50,236 |
| 9 |
|
北アメリカ | 48,140 |
| 10 |
|
アジア | 40,700 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 38,596 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 34,886 |
| 13 |
|
アジア | 34,500 |
| 14 |
|
アジア | 34,000 |
| 15 |
|
南アメリカ | 30,002 |
| 16 |
|
アジア | 25,638 |
| 17 |
|
アジア | 23,000 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 22,778 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 22,200 |
| 20 |
|
アフリカ | 22,000 |
| 21 |
|
南アメリカ | 21,800 |
| 22 |
|
アジア | 21,400 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 16,554 |
| 24 |
|
アジア | 13,500 |
| 25 |
|
アフリカ | 13,000 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 12,762 |
| 27 |
|
ヨーロッパ | 12,703 |
| 28 |
|
アジア | 12,693 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 12,482 |
| 30 |
|
南アメリカ | 12,000 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 10,213 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 9,102 |
| 33 |
|
アフリカ | 9,000 |
| 34 |
|
アフリカ | 8,250 |
| 35 |
|
南アメリカ | 8,200 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 8,000 |
| 37 |
|
南アメリカ | 6,760 |
| 38 |
|
アジア | 5,857 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 5,231 |
| 40 |
|
アフリカ | 3,850 |
| 41 |
|
アジア | 3,527 |
| 42 |
|
アフリカ | 3,400 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 3,062 |
| 44 |
|
アフリカ | 2,690 |
| 45 |
|
アフリカ | 2,500 |
| 46 |
|
アフリカ | 2,100 |
| 47 |
|
ヨーロッパ | 2,000 |
| 48 |
|
アジア | 1,980 |
| 49 |
|
ヨーロッパ | 1,593 |
| 50 |
|
南アメリカ | 1,479 |
| 51 |
|
北アメリカ | 1,391 |
| 52 |
|
南アメリカ | 1,250 |
| 53 |
|
アジア | 1,000 |
| 54 |
|
アフリカ | 800 |
| 55 |
|
アジア | 700 |
| 56 |
|
アジア | 640 |
| 57 |
|
ヨーロッパ | 623 |
| 58 |
|
アジア | 600 |
| 59 |
|
ヨーロッパ | 594 |
| 60 |
|
ヨーロッパ | 580 |
| 61 |
|
アジア | 483 |
| 62 |
|
南アメリカ | 453 |
| 63 |
|
アジア | 422 |
| 64 |
|
アフリカ | 370 |
| 65 |
|
アジア | 258 |
| 66 |
|
ヨーロッパ | 200 |
| 67 |
|
ヨーロッパ | 88 |
| 68 |
|
アジア | 63 |
| 69 |
|
アジア | 43 |
| 70 |
|
ヨーロッパ | 35 |
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1982年度における羊の毛生産量ランキングは、オーストラリア、ニュージーランド、中国が世界の羊毛市場で重要な役割を担っていることを示しています。オーストラリアの717,208トンという生産量はニュージーランドを約2倍上回り、市場における圧倒的な地位を示しています。この生産量の背景には、オーストラリアの広大な草原地帯、適した気候条件、高度に発展した畜産業の技術が挙げられます。同様にニュージーランドも、草地管理の優れたスキルや羊毛産業への長年の投資がこれほど高い生産量に繋がっています。
中国が3位に位置している点にも注目が必要です。202,000トンという量はオーストラリアやニュージーランドに及びませんが、経済的発展が加速していく中で、今後さらに羊毛の生産量が増加する可能性が考えられます。同時に、人口が多い国である中国では、国内の羊毛需要が生産の大部分を占めると推測できます。
アルゼンチンや南アフリカ、ウルグアイといった国家もランキング上位に名を連ねており、特に南半球に位置する国々の生産が目立っています。これら各国は輸出を主な目的とした生産を行っており、輸出収益が経済において重要な地位を占めています。
一方で、ランキングの下位に位置する国々は、地理的条件や気候要因、牧草地の不足が生産量の制約となっており、6,000トン未満の生産量が多く見られます。これらの国々では、羊毛が農業の副産物として扱われている可能性が高いです。
## 課題と未来の展望:
現状のデータを見ると、羊毛生産における地理的・気候的条件の影響が顕著であり、一部の国に生産が集中しています。この集中化は市場や供給における脆弱性をもたらす可能性があります。例えば、主要生産国の干ばつや疫病が発生した場合、世界的な羊毛の供給不足が輸出価格の急騰を引き起こすリスクがあります。
また、地政学的リスクや貿易政策の影響も重要です。特に近年では、世界各国の間で自由貿易の制限や輸入関税の導入が議論されており、これが羊毛製品の需要や輸出に影響する可能性があります。
一方で、羊毛製品の需要が持続的に伸び続ける現状を踏まえると、新興国による生産能力の向上が期待されます。例えばインドやパキスタンのようなランキング中位国が、生産技術の導入やインフラ整備を進めれば、今後さらに上位ランキングに名を連ねる可能性があります。また、環境持続可能性の観点から、游牧や生態系に負担をかけない生産モデルの確立も急務です。
## 提言と結論:
市場の安定性を保つためには、羊毛の生産を担う国々間での協力が重要です。情報共有の促進や生産技術の普及に関する取り組みを通じ、特定国への生産集中リスクを低減することが求められます。また、干ばつや疫病などのリスクに対する備えとして、種の改良や気候に強い牧草の導入が有用となるでしょう。
さらに、新興国に向けた技術支援や投資によって、羊毛生産の多様化を図ることも重要です。食品安全と同様に、羊毛の生産と持続可能な供給を国際的な議題として捉えるべきです。こうした取り組みを通じて、羊毛市場の安定化と持続可能性を実現できるはずです。