1979年の世界の羊の毛生産量ランキングによると、1位はオーストラリアで705,700トン、2位にはニュージーランドが320,600トン、3位はアルゼンチンが155,000トンと続きます。これら上位3カ国が圧倒的な生産量を誇り、羊毛の大部分を担っています。中国が153,000トンで4位に位置し、アジア地域における主要な生産国であることも確認できました。一方で、日本はこのランキングに名前が挙がっておらず、羊毛生産はほとんど行っていない国であることが示されています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
オセアニア | 705,700 |
| 2 |
|
オセアニア | 320,600 |
| 3 |
|
南アメリカ | 155,000 |
| 4 |
|
アジア | 153,000 |
| 5 |
|
アフリカ | 101,900 |
| 6 |
|
南アメリカ | 62,547 |
| 7 |
|
アジア | 59,260 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 48,068 |
| 9 |
|
北アメリカ | 47,980 |
| 10 |
|
アジア | 39,261 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 37,325 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 35,109 |
| 13 |
|
アジア | 33,000 |
| 14 |
|
アジア | 30,900 |
| 15 |
|
南アメリカ | 30,563 |
| 16 |
|
アジア | 23,000 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 22,200 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 22,172 |
| 19 |
|
アジア | 20,500 |
| 20 |
|
南アメリカ | 19,600 |
| 21 |
|
アフリカ | 19,000 |
| 22 |
|
アジア | 17,766 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 15,320 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 13,585 |
| 25 |
|
アフリカ | 12,600 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 12,600 |
| 27 |
|
ヨーロッパ | 12,600 |
| 28 |
|
アジア | 12,216 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 11,417 |
| 30 |
|
南アメリカ | 10,900 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 9,838 |
| 32 |
|
アジア | 9,700 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 8,962 |
| 34 |
|
南アメリカ | 8,784 |
| 35 |
|
アフリカ | 8,610 |
| 36 |
|
アフリカ | 8,167 |
| 37 |
|
南アメリカ | 6,500 |
| 38 |
|
ヨーロッパ | 4,764 |
| 39 |
|
アフリカ | 4,700 |
| 40 |
|
アジア | 3,981 |
| 41 |
|
アフリカ | 3,700 |
| 42 |
|
アジア | 3,300 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 2,600 |
| 44 |
|
アフリカ | 2,499 |
| 45 |
|
アフリカ | 2,444 |
| 46 |
|
アジア | 1,850 |
| 47 |
|
ヨーロッパ | 1,816 |
| 48 |
|
ヨーロッパ | 1,648 |
| 49 |
|
アフリカ | 1,600 |
| 50 |
|
南アメリカ | 1,395 |
| 51 |
|
アジア | 1,300 |
| 52 |
|
アフリカ | 1,170 |
| 53 |
|
南アメリカ | 1,100 |
| 54 |
|
北アメリカ | 1,066 |
| 55 |
|
アジア | 1,000 |
| 56 |
|
ヨーロッパ | 667 |
| 57 |
|
アジア | 610 |
| 58 |
|
ヨーロッパ | 550 |
| 59 |
|
アジア | 550 |
| 60 |
|
ヨーロッパ | 542 |
| 61 |
|
アジア | 515 |
| 62 |
|
南アメリカ | 460 |
| 63 |
|
アジア | 402 |
| 64 |
|
アフリカ | 340 |
| 65 |
|
アジア | 219 |
| 66 |
|
ヨーロッパ | 180 |
| 67 |
|
ヨーロッパ | 99 |
| 68 |
|
アジア | 67 |
| 69 |
|
アジア | 41 |
| 70 |
|
ヨーロッパ | 35 |
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国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した1979年のデータに基づくと、羊毛生産量においてオーストラリアが首位を占め、705,700トンという圧倒的な数値を示しています。この水準は2位のニュージーランド(320,600トン)の2倍以上に達しており、オーストラリアが当時の世界市場における羊毛の供給を主導していたことがわかります。これにはオーストラリアの広大な牧草地や羊の飼育に適した気候条件が大きな要因として挙げられます。ニュージーランドでも同様の要因により高い生産量が維持されていますが、オーストラリアとの生産規模の差は依然として顕著です。
ヨーロッパ諸国ではイギリスが48,068トンで8位となり、羊毛生産において一定のシェアを持つ一方、フランスやドイツなどの主要な経済国は比較的低い順位にとどまっています。同地域で牧羊が行われているものの、農業の集約化や工業化が進んだことにより、他の分野へとシフトしている背景があります。
アジア地域では中国が4位(153,000トン)にランクインしており、これが羊毛の主要生産国としての位置づけを示しています。インドも14位(30,900トン)に入っていますが、中国の規模には大きく及んでいません。なお、この当時の中国は人口増加や技術発展の最中にあり、農業全般の効率化を進めつつありました。
アメリカ合衆国は47,980トンで9位に入り、ラテンアメリカ(南米地域)ではアルゼンチンやウルグアイがそれぞれ3位、6位に位置しています。特にアルゼンチンは元々牧羊業が盛んな国であることが歴史的に知られており、このデータもその継続性を裏付けています。一方、日本はこのランキング圏外であり、それは地形的・気候的に大規模な牧羊が不向きであることや、他の農産物に重点を置いていることが理由と考えられます。
また、地政学的な背景を考慮すると、羊毛生産は比較的平和で地理的条件が整った国々に集中しており、内戦や資源の争奪が頻発する地域では生産が困難な傾向があります。たとえば、シリアの17,766トンやアフガニスタンの23,000トンといった数字は、地政学的な安定性の問題や牧羊環境の限界を反映しているかもしれません。
課題としては、気候変動が羊毛生産に与える影響が挙げられます。干ばつや異常気象が広がりつつある中で、生産量の減少やコストの増大が懸念されます。特にオーストラリアやニュージーランドといった主要生産国では、この問題がより深刻化する可能性があります。また、急速な都市化や農地減少が生産基盤の縮小を招いている点も無視できません。
このような課題に対応するためには、いくつかの施策が考えられます。一つは、生産効率を向上させるための技術革新です。遺伝子改良やデジタル技術を活用して、環境負荷を最小限に抑えながら生産量を保つ方法が模索されています。また、地元農家を支援する政策や、地域ごとの協力関係の強化も重要です。アジアやアフリカの新興市場に目を向け、羊毛生産のノウハウを共有し、それぞれの国が安定した供給を確保できる体制を整えるべきです。さらに、国際市場での公正な取引ルールを定めることにより、生産国が適切な価値を得られる仕組みを構築する必要があります。
結論として、1979年のデータは羊毛生産が特定の少数国に集中していることを示しており、これが市場の安定性や経済的な公平性に課題をもたらしています。今後、気候変動対策や技術革新、国際協力の推進によって生産基盤を持続可能なものにする取り組みがますます重要になると考えられます。羊毛は多くの産業で必要とされる資源であるため、今後の地球規模の経済と持続可能性の両面で重要な役割を果たしていくでしょう。