世界の羊の毛生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

2016年、Food and Agriculture Organization（国際連合食糧農業機関）のデータによると、羊の毛生産量ランキングの1位は中国（411,642トン）、2位はオーストラリア（354,991トン）、3位はニュージーランド（153,253トン）でした。これら3カ国が全体の生産量の大半を占め、特に中国は圧倒的な生産量を誇っています。一方、日本はこのランキングには含まれておらず、羊毛生産国としての存在感は限定的であることがわかります。

順位	国名	地域	生産量(トン)
1	中国	アジア	411,642
2	オーストラリア	オセアニア	354,991
3	ニュージーランド	オセアニア	153,253
4	イギリス	ヨーロッパ	68,791
5	トルコ	アジア	62,525
6	イラン（イスラム共和国）	アジア	59,121
7	モロッコ	アフリカ	58,268
8	ロシア連邦	ヨーロッパ	56,006
9	南アフリカ	アフリカ	46,297
10	パキスタン	アジア	45,100
11	インド	アジア	43,500
12	アルゼンチン	南アメリカ	42,700
13	トルクメニスタン	アジア	41,753
14	カザフスタン	アジア	38,518
15	アルジェリア	アフリカ	38,373
16	ウズベキスタン	アジア	37,103
17	ウルグアイ	南アメリカ	25,672
18	インドネシア	アジア	25,000
19	スペイン	ヨーロッパ	22,724
20	シリア・アラブ共和国	アジア	18,893
21	アゼルバイジャン	アジア	16,662
22	イラク	アジア	16,436
23	モンゴル	アジア	15,484
24	アフガニスタン	アジア	15,074
25	アイルランド	ヨーロッパ	14,330
26	フランス	ヨーロッパ	14,228
27	サウジアラビア	アジア	13,690
28	ドイツ	ヨーロッパ	12,448
29	キルギスタン	アジア	11,904
30	アメリカ合衆国	北アメリカ	11,816
31	エジプト	アフリカ	11,413
32	リビア	アフリカ	9,809
33	チュニジア	アフリカ	9,784
34	ブラジル	南アメリカ	9,756
35	ペルー	南アメリカ	9,352
36	イエメン	アジア	8,343
37	エチオピア	アフリカ	7,556
38	ギリシャ	ヨーロッパ	7,484
39	チリ	南アメリカ	7,464
40	イタリア	ヨーロッパ	7,444
41	タンザニア連合共和国	アフリカ	7,198
42	タジキスタン	アジア	7,000
43	ポルトガル	ヨーロッパ	6,411
44	ヨルダン	アジア	5,008
45	メキシコ	南アメリカ	4,854
46	ノルウェー	ヨーロッパ	4,390
47	コロンビア	南アメリカ	4,155
48	ハンガリー	ヨーロッパ	3,739
49	レソト	アフリカ	3,692
50	オランダ	ヨーロッパ	3,182
51	アルバニア	ヨーロッパ	3,000
52	セルビア	ヨーロッパ	2,848
53	ジンバブエ	アフリカ	2,846
54	レバノン	アジア	2,559
55	ブルガリア	ヨーロッパ	2,375
56	バングラデシュ	アジア	2,374
57	ケニア	アフリカ	2,189
58	ウクライナ	ヨーロッパ	2,072
59	グルジア	アジア	2,000
60	ボリビア (多民族国家)	南アメリカ	1,907
61	モルドバ共和国	ヨーロッパ	1,710
62	アルメニア	アジア	1,641
63	ナミビア	アフリカ	1,551
64	ボスニア・ヘルツェゴビナ	ヨーロッパ	1,411
65	カナダ	北アメリカ	1,267
66	エリトリア	アフリカ	1,256
67	エクアドル	南アメリカ	1,227
68	イスラエル	アジア	1,133
69	クロアチア	ヨーロッパ	1,093
70	アイスランド	ヨーロッパ	952
71	オーストリア	ヨーロッパ	913
72	パラグアイ	南アメリカ	881
73	クウェート	アジア	859
74	北マケドニア	ヨーロッパ	851
75	スロバキア	ヨーロッパ	798
76	ミャンマー	アジア	736
77	ポーランド	ヨーロッパ	731
78	ネパール	アジア	588
79	スイス	ヨーロッパ	535
80	リトアニア	ヨーロッパ	305
81	キプロス	アジア	303
82	マリ	アフリカ	298
83	モンテネグロ	ヨーロッパ	254
84	チェコ	ヨーロッパ	207
85	ラトビア	ヨーロッパ	200
86	デンマーク	ヨーロッパ	167
87	マレーシア	アジア	161
88	スロベニア	ヨーロッパ	151
89	スウェーデン	ヨーロッパ	145
90	ベラルーシ	ヨーロッパ	142
91	エストニア	ヨーロッパ	129
92	フィンランド	ヨーロッパ	78
93	マルタ	ヨーロッパ	26
94	ルクセンブルク	ヨーロッパ	17
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2016年の羊毛生産データは、羊毛消費が世界中で重要な経済活動の一部であることを示しています。中でも中国、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国が上位を占めており、これらは羊毛産業の主力国といえます。中国の生産量は約41万トンを超え、これは2位のオーストラリアの約35万トンを大きく上回っています。中国がトップである背景には、長年にわたる畜産業への投資と広大な土地を活用した効率的な生産体制の構築があります。さらに、国内人口の需要と輸出市場の拡大も寄与していると考えられます。

オーストラリアとニュージーランドも羊毛産業が経済の重要な柱であり、高品質なメリノ種の羊毛が世界的に有名です。気候や牧草地の多さといった自然環境が、この分野での競争優位性を生み出しています。一方で、イギリスやトルコ、イラン、モロッコ、ロシアといった国々はそれほど高い生産量ではないものの、地域需要や輸出を支える中堅プレーヤーとなっています。

日本はランキングに登場しないため、国内での羊毛生産はほぼ行われていない状況です。しかし、羊毛製品の消費率は依然として高く、オーストラリアやニュージーランドからの輸入が多いことが特徴です。このことは、日本が消費中心型の市場であることを示唆しています。

一方、中東やアフリカ諸国、そして南アジアの国々では、ランキング下位での参入が多いですが、地域特有の課題が見受けられます。例えば、気候変動による乾燥化や干ばつは羊の放牧に影響を与え、生産量の向上を妨げています。また、経済基盤が脆弱な国々では、羊毛加工技術や輸出インフラの不足が市場競争力を下げる要因となっています。

地政学的に見ると、例えば紛争地帯に位置するシリアやイラクでは、羊毛生産も地域紛争の影響を受けており、生産量が安定しない状況が課題です。こうした困難な環境下での持続可能な畜産業の発展には、国連や国際機関による支援が不可欠です。また、モンゴルなどの寒冷地帯は生産量が限られる一方で、高品質な羊毛が特徴であり、ブランド化を進めることで国際市場における競争力を高められる可能性があります。

今後の課題としては、気候変動への適応策だけでなく、安定供給のための技術的サポートが求められます。具体的には、乾燥地域における耐乾性の高い家畜の品種改良や、効率的な飼料供給システムの導入が考えられるでしょう。また、国際協力の強化によって、後発国のインフラ整備や技術移転を促進することも必要です。

まとめると、羊毛の生産は一部の国が主導する一極集中型の構造を持っていますが、地球環境問題や地域紛争、経済格差といった複雑な要因が絡み合っています。羊毛産業が今後も世界的に持続可能であるためには、国際機関や主要生産国だけでなく、各地域の持つ課題を解決するための具体的な地元主導型の取り組みが重要となります。この分野への継続的な注目と支援が求められる状況といえます。