1975年の羊の毛生産量のデータによると、1位はオーストラリアで793,479トン、2位ニュージーランド294,100トン、3位アルゼンチン160,000トンでした。この3か国だけで世界全体の羊毛生産量の大部分を占めています。上位にはこれらの農牧業が盛んな地域が名を連ねる一方で、日本を含む東アジアの国々はランキングに名を連ねていません。このデータは、羊毛という資源をめぐる地域ごとの農業政策や経済体制、地理的条件の差異を示唆しています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
オセアニア | 793,479 |
| 2 |
|
オセアニア | 294,100 |
| 3 |
|
南アメリカ | 160,000 |
| 4 |
|
アジア | 133,000 |
| 5 |
|
アフリカ | 108,200 |
| 6 |
|
南アメリカ | 60,769 |
| 7 |
|
北アメリカ | 54,220 |
| 8 |
|
アジア | 53,325 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 49,304 |
| 10 |
|
アジア | 35,000 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 34,014 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 31,532 |
| 13 |
|
アジア | 31,000 |
| 14 |
|
南アメリカ | 29,096 |
| 15 |
|
アジア | 28,334 |
| 16 |
|
アジア | 25,000 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 22,154 |
| 18 |
|
アジア | 21,100 |
| 19 |
|
アフリカ | 20,000 |
| 20 |
|
南アメリカ | 18,795 |
| 21 |
|
アジア | 17,700 |
| 22 |
|
アフリカ | 16,470 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 15,704 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 13,695 |
| 25 |
|
アジア | 12,340 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 11,600 |
| 27 |
|
南アメリカ | 11,435 |
| 28 |
|
アジア | 10,122 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 10,077 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 9,450 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 9,094 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 8,393 |
| 33 |
|
アフリカ | 7,950 |
| 34 |
|
南アメリカ | 7,694 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 7,487 |
| 36 |
|
アフリカ | 6,700 |
| 37 |
|
南アメリカ | 5,897 |
| 38 |
|
ヨーロッパ | 4,281 |
| 39 |
|
アフリカ | 4,100 |
| 40 |
|
アフリカ | 3,400 |
| 41 |
|
アジア | 3,224 |
| 42 |
|
アジア | 3,093 |
| 43 |
|
アフリカ | 2,867 |
| 44 |
|
アフリカ | 2,300 |
| 45 |
|
ヨーロッパ | 2,100 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 1,688 |
| 47 |
|
南アメリカ | 1,610 |
| 48 |
|
アジア | 1,550 |
| 49 |
|
アフリカ | 1,520 |
| 50 |
|
ヨーロッパ | 1,468 |
| 51 |
|
アジア | 1,300 |
| 52 |
|
北アメリカ | 1,266 |
| 53 |
|
アフリカ | 1,250 |
| 54 |
|
アジア | 1,100 |
| 55 |
|
南アメリカ | 1,100 |
| 56 |
|
ヨーロッパ | 606 |
| 57 |
|
アジア | 570 |
| 58 |
|
ヨーロッパ | 550 |
| 59 |
|
ヨーロッパ | 437 |
| 60 |
|
アジア | 410 |
| 61 |
|
南アメリカ | 390 |
| 62 |
|
アジア | 335 |
| 63 |
|
アフリカ | 300 |
| 64 |
|
アジア | 232 |
| 65 |
|
ヨーロッパ | 200 |
| 66 |
|
アジア | 183 |
| 67 |
|
ヨーロッパ | 120 |
| 68 |
|
アジア | 47 |
| 69 |
|
アジア | 39 |
| 70 |
|
ヨーロッパ | 23 |
| + すべての国を見る | |||
1975年度の国別羊毛生産量ランキングは、国連食糧農業機関(FAO)が発表したデータからまとめられたものです。このランキングのデータは、各国の羊毛生産規模だけでなく、その国が農牧業にもつ依存度や気候条件、地形の影響などを反映しており、羊毛という繊維資源の地理的分布を理解するうえで重要です。
トップのオーストラリアは圧倒的な生産量で他国を引き離しており、年間793,479トンの羊毛を生産しています。これは、オーストラリアが広大な牧草地と比較的安定した気候に恵まれているほか、メリノ種などの高品質羊毛を産出する品種育成に長年取り組んできた結果です。2位のニュージーランドも約30万トンの生産量を誇り、国内での畜産業の重要な構成要素として羊毛が位置づけられています。これらオセアニア諸国は高品質な羊毛の輸出国であり、国際市場において主要な供給者とされています。一方で、アルゼンチンやウルグアイといった南アメリカの国々もそれなりに生産量を確保しており、同様の農牧業環境を共有しているため、この分野で一定の競争力を有しています。
一方、中国やインドといった人口大国では羊毛生産が農業生産全体の中で比較的小規模な部門にとどまっていることがわかります。中国の羊毛生産量は133,000トンと世界4位にランクインしていますが、農業の重点は穀物生産や他の家畜産物に置かれており、生産量も上位3か国とは開きがあります。日本はこのランキングに含まれていませんが、1975年当時からすでに羊毛の生産は国内ではほとんど行われておらず、対照的に輸入依存によってアパレル産業を支えていました。
全体的には、オセアニア、南アメリカ、そして一部のアジア・アフリカ諸国が主要な羊毛生産国と位置付けられています。こうした地理的な偏りは、羊毛生産における気候や牧草地の条件が重要な要素であることを示しています。しかしながら、1975年当時のデータを見る限り、一部の富裕国以外の地域では適切なインフラ整備や市場へのアクセスが制限され、羊毛産業の成長に限界があることもうかがえます。
今後の課題として、まず考えられるのが持続可能な羊毛生産の実現に向けた取り組みです。とりわけ、気候変動の影響が強まる現代において、羊毛生産の安定性を確保することは重要です。乾燥化や土壌劣化への対策として、牧草地保全のための国際的な協力や技術援助が求められます。また、生産国間での地域協力を通じて市場経済への統合や付加価値型の製品化を推進することも、競争力を高める鍵となるでしょう。
さらに、地政学的背景に目を向ければ、羊毛産業の発展には地域紛争や貿易摩擦といった要因も影響を及ぼします。たとえば、輸送網の中断や農地への影響により主要輸出国が直面するリスクを軽減するには、サプライチェーンを複数確保する戦略や新しい生産地の開発が必要です。これに関連して、日本を含む消費国は、安定的な輸入を続けるために生産国とのパートナーシップを再評価する必要があります。
1975年のデータから導き出せる結論として、羊毛生産は地域ごとの農牧業政策や地理条件、国際市場の需要に強く依存していることが明らかです。現在の地球規模の課題を考慮に入れつつ、国際連携を強化し、生産の持続可能性を高めることが、今後の主要な方向性となるでしょう。国際機関や各国政府は、技術提供やインフラ改善などを通じ、生産地域を支援していくべきです。そうした取り組みによって、羊毛業界が安定的に発展し、環境と経済を両立する未来を築くことが期待されます。