Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)の最新データ(1962年の統計に基づく)によると、世界の羊毛生産量ランキングでは、1位がオーストラリア(770,500トン)、2位がニュージーランド(281,500トン)、3位がアルゼンチン(176,000トン)でした。羊毛の生産はオセアニア地域が特に強く、上位20位にアジアや南アメリカの国々が多く含まれる点も特徴です。一方、日本は48位(1,877トン)で、国内生産は非常に小規模であることが分かります。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
オセアニア | 770,500 |
| 2 |
|
オセアニア | 281,500 |
| 3 |
|
南アメリカ | 176,000 |
| 4 |
|
アフリカ | 136,500 |
| 5 |
|
北アメリカ | 134,838 |
| 6 |
|
アジア | 95,000 |
| 7 |
|
南アメリカ | 83,081 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 59,200 |
| 9 |
|
アジア | 42,700 |
| 10 |
|
アジア | 32,900 |
| 11 |
|
アジア | 30,909 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 29,929 |
| 13 |
|
南アメリカ | 25,247 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 24,200 |
| 15 |
|
アジア | 23,600 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 22,800 |
| 17 |
|
南アメリカ | 22,000 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 21,700 |
| 19 |
|
アジア | 17,700 |
| 20 |
|
アフリカ | 16,000 |
| 21 |
|
アジア | 15,600 |
| 22 |
|
アジア | 13,200 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 12,300 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 11,927 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 11,607 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 11,200 |
| 27 |
|
南アメリカ | 10,664 |
| 28 |
|
アジア | 10,500 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 9,400 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 8,605 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 8,200 |
| 32 |
|
アジア | 8,000 |
| 33 |
|
南アメリカ | 6,174 |
| 34 |
|
南アメリカ | 5,690 |
| 35 |
|
アフリカ | 5,500 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 4,500 |
| 37 |
|
アフリカ | 4,304 |
| 38 |
|
アフリカ | 4,000 |
| 39 |
|
アフリカ | 3,516 |
| 40 |
|
アフリカ | 3,400 |
| 41 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 42 |
|
アジア | 2,934 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 2,800 |
| 44 |
|
北アメリカ | 2,671 |
| 45 |
|
アフリカ | 2,406 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 2,300 |
| 47 |
|
アフリカ | 1,900 |
| 48 |
|
アジア | 1,877 |
| 49 |
|
アジア | 1,815 |
| 50 |
|
アジア | 1,500 |
| 51 |
|
アジア | 1,300 |
| 52 |
|
ヨーロッパ | 1,100 |
| 53 |
|
南アメリカ | 900 |
| 54 |
|
アジア | 900 |
| 55 |
|
アフリカ | 740 |
| 56 |
|
南アメリカ | 686 |
| 57 |
|
アフリカ | 500 |
| 58 |
|
アジア | 500 |
| 59 |
|
ヨーロッパ | 480 |
| 60 |
|
アジア | 440 |
| 61 |
|
ヨーロッパ | 400 |
| 62 |
|
ヨーロッパ | 400 |
| 63 |
|
アジア | 350 |
| 64 |
|
ヨーロッパ | 263 |
| 65 |
|
南アメリカ | 250 |
| 66 |
|
アジア | 186 |
| 67 |
|
ヨーロッパ | 100 |
| 68 |
|
アジア | 78 |
| 69 |
|
アジア | 36 |
| 70 |
|
ヨーロッパ | 27 |
| 71 |
|
アジア | 25 |
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1962年の羊毛生産量ランキングでは、オセアニア地域の国々、特にオーストラリアとニュージーランドが世界的なリーダーとして位置づけられています。オーストラリアは770,500トンを生産しており、唯一70万トンを超える国です。これは、広大な牧草地や恵まれた気候条件、そして長い放牧業の歴史を背景とした結果です。ニュージーランドの生産量はその約3分の1に当たる281,500トンでしたが、こちらも非常に高い貢献度を誇ります。この二国は、当時から世界の羊毛市場を牽引してきたことが分かります。
また、アルゼンチンや南アフリカ、アメリカ合衆国も上位に名を連ねており、彼らの生産量はそれぞれ176,000トン、136,500トン、134,838トンでした。これらの地域も広大な土地と気候条件を活かした羊毛生産が盛んです。一方で、中国やインドといったアジア地域は、当時の規模で見ると比較的小規模な生産国であり、中国が6位(95,000トン)、インドが10位(32,900トン)でした。しかし、これらの国々では人口が多いことから、国内需要を満たすための羊毛生産に特化していたと考えられます。
日本は48位、1,877トンという数値にとどまっており、国内産業としての羊毛生産は限られています。これは地理的条件の制約のほか、より工業化された産業構造への移行によるものと推測できます。この状況は日本だけでなく、オランダやスイスなどの欧州諸国も同様であり、これらの国々も生産量は少数でした。
この統計からは、地域ごとの地理的条件や経済的背景による差が際立っています。例えば乾燥地帯や草原地帯を持つ国々は、羊の繁殖に適した環境を持ち、生産量が集中する一方で、土地面積が狭小、または気候条件が適さない国の生産量は非常に限られていることが確認できます。
将来を見据えた課題としては、地球温暖化や土地の過剰利用が放牧地へ与える影響が挙げられます。特に、主要生産国であるオーストラリアやニュージーランドでは、異常気象や干ばつのリスクが生産性に直接的な脅威を与える可能性があります。また、国際的な羊毛需要が変化する中で、途上国を含む新興市場での生産効率向上が求められます。
具体的な対策としては、主要生産国による持続可能な農業技術の導入・普及が有効です。例えば、効率的な放牧管理や環境保護の観点から炭素排出量の低減などが挙げられます。さらに、アジアやアフリカといった地域での生産技術支援も重要です。これにより、世界全体での羊毛供給がさらに安定する可能性が高まります。
地政学的には、羊毛は産業用資源であり、輸出国への依存度が高いことから、輸出制限や紛争などによる供給リスクが潜在的に存在します。国際的な平和と安定が持続的な生産と貿易の基盤となるため、地域協力の枠組みを整えることは、生産国・消費国の双方にとって非常に重要です。
1962年の羊毛生産量データは、地域ごとの自然・経済条件が羊毛産業の格差につながると同時に、持続可能な国際協力の重要性を示しています。今後、地球規模での持続可能性を考慮した政策が求められるでしょう。