国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、1961年度における世界の羊の毛生産量ランキングにおいて、1位はオーストラリア(737,100トン)、2位はニュージーランド(266,300トン)、3位はアルゼンチン(182,000トン)でした。これらの上位3か国で全体の生産量の約62%を占める一方、日本は2,517トンで45位に位置しています。羊毛は世界中で衣料や産業素材としての重要性がある資源であることから、このランキングは各国の農業および繊維産業の特徴と関連性を示しています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
オセアニア | 737,100 |
| 2 |
|
オセアニア | 266,300 |
| 3 |
|
南アメリカ | 182,000 |
| 4 |
|
北アメリカ | 144,156 |
| 5 |
|
アフリカ | 142,600 |
| 6 |
|
アジア | 93,000 |
| 7 |
|
南アメリカ | 85,000 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 59,602 |
| 9 |
|
アジア | 46,280 |
| 10 |
|
アジア | 32,600 |
| 11 |
|
アジア | 29,091 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 29,002 |
| 13 |
|
南アメリカ | 24,570 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 23,600 |
| 15 |
|
アジア | 23,400 |
| 16 |
|
ヨーロッパ | 23,200 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 23,000 |
| 18 |
|
南アメリカ | 22,000 |
| 19 |
|
アジア | 15,200 |
| 20 |
|
アフリカ | 15,000 |
| 21 |
|
アジア | 14,500 |
| 22 |
|
ヨーロッパ | 12,700 |
| 23 |
|
アジア | 12,700 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 12,000 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 11,523 |
| 26 |
|
ヨーロッパ | 11,325 |
| 27 |
|
南アメリカ | 10,827 |
| 28 |
|
アジア | 10,200 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 9,400 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 9,100 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 8,800 |
| 32 |
|
南アメリカ | 7,036 |
| 33 |
|
アジア | 6,300 |
| 34 |
|
南アメリカ | 5,965 |
| 35 |
|
アフリカ | 5,000 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 4,100 |
| 37 |
|
アフリカ | 4,000 |
| 38 |
|
アフリカ | 3,682 |
| 39 |
|
アフリカ | 3,232 |
| 40 |
|
アフリカ | 3,200 |
| 41 |
|
アフリカ | 3,000 |
| 42 |
|
アジア | 2,900 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 2,832 |
| 44 |
|
北アメリカ | 2,798 |
| 45 |
|
アジア | 2,517 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 2,400 |
| 47 |
|
アフリカ | 2,332 |
| 48 |
|
アフリカ | 1,900 |
| 49 |
|
アジア | 1,765 |
| 50 |
|
アジア | 1,500 |
| 51 |
|
アジア | 1,300 |
| 52 |
|
ヨーロッパ | 1,000 |
| 53 |
|
南アメリカ | 900 |
| 54 |
|
アジア | 700 |
| 55 |
|
アフリカ | 660 |
| 56 |
|
南アメリカ | 645 |
| 57 |
|
アフリカ | 500 |
| 58 |
|
アジア | 427 |
| 59 |
|
ヨーロッパ | 420 |
| 60 |
|
ヨーロッパ | 400 |
| 61 |
|
アジア | 360 |
| 62 |
|
アジア | 340 |
| 63 |
|
南アメリカ | 300 |
| 64 |
|
ヨーロッパ | 300 |
| 65 |
|
ヨーロッパ | 288 |
| 66 |
|
アジア | 180 |
| 67 |
|
ヨーロッパ | 100 |
| 68 |
|
アジア | 74 |
| 69 |
|
アジア | 38 |
| 70 |
|
ヨーロッパ | 28 |
| 71 |
|
アジア | 25 |
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羊の毛は繊維産業において、衣料品、特に防寒用の製品に広く活用される天然資源であり、1961年のデータはその生産量の地理的分布をよく反映しています。オーストラリアが圧倒的な生産量でトップに立ち、続いてニュージーランドとアルゼンチンがそれに続いています。これらの国々の共通点として、広大な草原地帯を持ち、羊の放牧に適した自然環境を有しているという地理的利点が挙げられます。また、同時にこれらの国々では、羊毛産業が経済活動において長年重要な役割を果たしてきました。
一方で、上位に位置する国々の中には、アメリカ合衆国や南アフリカ、中国のように、気候的には異なる条件に置かれた国々も含まれています。これらの国々では、牧畜業の発展により生産量が確保されています。特に中国は、この時点では6位にとどまっていますが、後年に羊毛生産を含む家畜生産で大きな拡大を遂げたことを考えれば、当時の状況はその発展の基盤とも言えるでしょう。
日本は45位で2,517トンを生産していますが、これは地理的要因と産業構造の相違によるものです。限られた土地と、羊毛よりも米や魚介などほかの農業資源への重点が置かれてきたことが、数字に反映されています。日本の場合、羊毛は主に輸入に依存しており、これは衣料品産業における供給の安定性に課題をもたらす可能性を示唆しています。
将来的に羊毛生産に関連する課題として、地球規模での気候変動の影響が挙げられます。降水量の変化や温暖化は、牧草地帯の環境に大きな影響を与える可能性があります。また、低価格の合成繊維の市場拡大により、羊毛の需要において競争が激化しています。これによって、羊毛農家の経済的持続可能性が危ぶまれる可能性があります。さらに、牧畜が与える温室効果ガスの排出に関する国際的な議論も進んでおり、環境負荷を軽減する取り組みが求められています。
このような課題に対処するためには、各国が地域特性に合った政策を推進することが肝要です。例えば、オーストラリアやニュージーランドでは持続可能な放牧技術や効率的な生産方法の導入が今後の競争力強化につながるでしょう。一方で、日本のように生産が少ない国々では、国内での需要に見合う輸入体制の強化とともに、輸入先との協力関係を進めることが大切です。また、将来的に羊毛の供給の安定化を目指すためには、国際的な情報共有や、気候変動対策のための技術活用が鍵を握るでしょう。
結論として、1961年のデータから読み取れるのは、地域ごとの自然環境や経済構造に応じた羊毛生産体制の特徴です。この産業は、地域経済に密接に結びつきながらも、環境問題や国際競争の文脈での調整を求められています。今後、各国の政策リーダーシップと国際機関との連携が、持続可能な羊毛産業の発展に向けた重要な役割を果たすと考えられます。