国際連合食糧農業機関(FAO)のデータによると、1993年度の羊の毛生産量ランキングで1位はオーストラリア(869,400トン)、2位はニュージーランド(255,500トン)、3位は中国(240,300トン)という結果でした。これらの上位3か国が世界の羊の毛生産の大部分を占めており、特にオーストラリアの存在感が群を抜いています。一方、日本はランキングに掲載されず、羊毛産業が限られた規模であることがうかがえます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
オセアニア | 869,400 |
| 2 |
|
オセアニア | 255,500 |
| 3 |
|
アジア | 240,300 |
| 4 |
|
ヨーロッパ | 158,390 |
| 5 |
|
南アメリカ | 103,000 |
| 6 |
|
アジア | 94,575 |
| 7 |
|
南アメリカ | 87,845 |
| 8 |
|
アフリカ | 73,400 |
| 9 |
|
ヨーロッパ | 67,517 |
| 10 |
|
アジア | 56,200 |
| 11 |
|
アジア | 50,536 |
| 12 |
|
アジア | 49,700 |
| 13 |
|
アジア | 39,900 |
| 14 |
|
北アメリカ | 35,169 |
| 15 |
|
アフリカ | 35,000 |
| 16 |
|
アジア | 31,200 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 29,649 |
| 18 |
|
アジア | 26,600 |
| 19 |
|
ヨーロッパ | 26,011 |
| 20 |
|
南アメリカ | 25,617 |
| 21 |
|
アジア | 22,230 |
| 22 |
|
ヨーロッパ | 22,000 |
| 23 |
|
アフリカ | 21,900 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 21,101 |
| 25 |
|
アジア | 20,800 |
| 26 |
|
南アメリカ | 18,976 |
| 27 |
|
アジア | 18,720 |
| 28 |
|
アジア | 18,500 |
| 29 |
|
アジア | 18,000 |
| 30 |
|
アジア | 15,289 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 14,073 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 13,385 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 12,719 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 11,974 |
| 35 |
|
アフリカ | 11,500 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 10,706 |
| 37 |
|
アフリカ | 10,000 |
| 38 |
|
アジア | 9,657 |
| 39 |
|
南アメリカ | 9,300 |
| 40 |
|
ヨーロッパ | 8,850 |
| 41 |
|
アジア | 7,900 |
| 42 |
|
アフリカ | 7,646 |
| 43 |
|
南アメリカ | 7,512 |
| 44 |
|
アフリカ | 7,425 |
| 45 |
|
アジア | 5,800 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 5,211 |
| 47 |
|
南アメリカ | 4,713 |
| 48 |
|
ヨーロッパ | 4,172 |
| 49 |
|
アジア | 4,138 |
| 50 |
|
アフリカ | 4,117 |
| 51 |
|
ヨーロッパ | 4,092 |
| 52 |
|
アフリカ | 3,707 |
| 53 |
|
アジア | 3,683 |
| 54 |
|
アジア | 3,200 |
| 55 |
|
ヨーロッパ | 3,197 |
| 56 |
|
ヨーロッパ | 2,840 |
| 57 |
|
ヨーロッパ | 2,636 |
| 58 |
|
ヨーロッパ | 2,501 |
| 59 |
|
南アメリカ | 2,022 |
| 60 |
|
アジア | 1,940 |
| 61 |
|
アフリカ | 1,870 |
| 62 |
|
北アメリカ | 1,519 |
| 63 |
|
アフリカ | 1,500 |
| 64 |
|
南アメリカ | 1,462 |
| 65 |
|
ヨーロッパ | 1,200 |
| 66 |
|
アジア | 1,200 |
| 67 |
|
アジア | 1,150 |
| 68 |
|
ヨーロッパ | 1,000 |
| 69 |
|
ヨーロッパ | 936 |
| 70 |
|
アフリカ | 840 |
| 71 |
|
南アメリカ | 815 |
| 72 |
|
アフリカ | 776 |
| 73 |
|
ヨーロッパ | 696 |
| 74 |
|
ヨーロッパ | 661 |
| 75 |
|
アジア | 650 |
| 76 |
|
アジア | 619 |
| 77 |
|
ヨーロッパ | 583 |
| 78 |
|
ヨーロッパ | 579 |
| 79 |
|
ヨーロッパ | 548 |
| 80 |
|
ヨーロッパ | 460 |
| 81 |
|
アジア | 445 |
| 82 |
|
アフリカ | 374 |
| 83 |
|
ヨーロッパ | 309 |
| 84 |
|
アジア | 305 |
| 85 |
|
ヨーロッパ | 282 |
| 86 |
|
アジア | 262 |
| 87 |
|
ヨーロッパ | 200 |
| 88 |
|
ヨーロッパ | 130 |
| 89 |
|
ヨーロッパ | 110 |
| 90 |
|
アジア | 98 |
| 91 |
|
ヨーロッパ | 32 |
| 92 |
|
ヨーロッパ | 29 |
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1993年度のFAOによるデータでは、羊の毛生産量のランキングにおいてオーストラリアが圧倒的な首位に立っています。オーストラリアは869,400トンを生産しており、これは2位のニュージーランド(255,500トン)の約3.4倍という驚異的な差です。さらには3位の中国(240,300トン)を含めた上位3国が、世界全体の羊毛市場の大部分を支えている状況が明らかです。
オーストラリアは広大な牧草地、適切な気候条件、そして長年にわたる羊毛産業の技術的専門性を背景に、この驚異的な生産量を実現しています。一方、ニュージーランドはその高品質な羊毛で知られており、主に衣料品や高級品市場に提供されることが多いため地位を確立しています。一方で、中国は国土の大きさと豊富な労働力を活用して着実に生産を増加しており、今後さらにシェアを拡大する可能性があります。
ランキング4位以下を見ると、ロシア連邦、アルゼンチン、カザフスタンなど多様な地域が続いています。これらの国々は大規模な国土や半乾燥地域、広範な農業環境を持つことが特徴であり、自給自足的な牧羊活動が支えています。しかし、ロシアやカザフスタンのような旧ソ連諸国は、政治的変動や経済再編期にあり、羊毛産業の持続性が課題となっています。
ヨーロッパ諸国の中では、イギリス(67,517トン)が特筆すべき存在です。同国は歴史的に羊毛取引の拠点となっており、現在も根強い羊毛文化を保持しています。しかし、全体的なヨーロッパの数値を見れば、羊の毛生産は他地域と比較して少なく、農業の多角化や都市化がその原因となっています。フランスやドイツなどの西ヨーロッパ諸国の順位は低く、これについては持続可能性の観点からも議論が必要です。
一方でアジアやアフリカ、南米では、環境要因や技術の導入状況による課題が見受けられます。特に中東やアフリカの国々では、乾燥地帯特有の過放牧による土壌劣化、水不足の問題が深刻化しており、持続的な生産を可能にするための政策的介入が不可欠です。また、内戦や地域紛争が起こりやすい地域では、羊毛生産が経済的な安定に大きく依存しているため、地政学的なリスクも絡んできます。
日本の視点から見ると、国内での羊毛生産は極めて限定的であり、羊毛製品のほとんどは輸入に頼っています。このデータを踏まえれば、オーストラリアやニュージーランド、中国など主要輸出国との貿易関係強化が重要と言えるでしょう。同時に、消費者ニーズを満たすためのより持続可能な取引の促進、あるいは国内農場での羊毛製造技術の導入など、将来的に検討できる方向性も考えられます。
このデータから見える課題としては、気候変動が羊毛生産に与える影響が挙げられます。温暖化による牧草地の減少や異常気象などが拡大すれば、生産量に大きな影響を及ぼすことが予想されます。そのため、各国においては、気候変動への対策と持続可能な畜産方法の導入が鍵となるでしょう。同時に、国際協力を通じ、生産効率を高める技術や農業インフラの整備に注力するべきと考えられます。
結論として、1993年度の羊毛生産データは、農産業の動態や各国の独自の強み、そして抱える問題を浮き彫りにした重要な指標です。今後各国が取るべき政策としては、持続的な畜産維持、気候変動への対応、紛争地域への支援、さらには資料供給国間の協調体制の強化などが挙げられます。これにより、安定した羊毛の供給と市場の持続可能性を確保できるでしょう。