国際連合食糧農業機関(FAO)の統計によると、1978年における羊の毛生産量ランキングで首位を占めたのはオーストラリアで、生産量は677,024トンでした。2位はニュージーランドの310,804トン、3位はアルゼンチンの160,000トンです。これら上位3か国で全世界の生産量の大部分を占めていることがこのデータから明らかになりました。一方で、アジア、アフリカ、ヨーロッパの国々でも生産が行われているものの、全体的にその量は少なく、地域による分布に偏りが見られます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
オセアニア | 677,024 |
| 2 |
|
オセアニア | 310,804 |
| 3 |
|
南アメリカ | 160,000 |
| 4 |
|
アジア | 137,700 |
| 5 |
|
アフリカ | 105,900 |
| 6 |
|
南アメリカ | 58,316 |
| 7 |
|
アジア | 56,665 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 49,076 |
| 9 |
|
北アメリカ | 47,150 |
| 10 |
|
アジア | 36,186 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 35,937 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 34,254 |
| 13 |
|
アジア | 34,000 |
| 14 |
|
アジア | 33,000 |
| 15 |
|
南アメリカ | 28,685 |
| 16 |
|
アジア | 23,000 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 22,200 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 21,963 |
| 19 |
|
アジア | 19,500 |
| 20 |
|
南アメリカ | 19,115 |
| 21 |
|
アフリカ | 18,000 |
| 22 |
|
アジア | 16,894 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 14,981 |
| 24 |
|
ヨーロッパ | 12,802 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 12,395 |
| 26 |
|
アフリカ | 12,000 |
| 27 |
|
南アメリカ | 11,000 |
| 28 |
|
アジア | 10,833 |
| 29 |
|
ヨーロッパ | 10,810 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 9,183 |
| 31 |
|
アジア | 9,100 |
| 32 |
|
アフリカ | 8,980 |
| 33 |
|
ヨーロッパ | 8,870 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 8,747 |
| 35 |
|
南アメリカ | 8,462 |
| 36 |
|
南アメリカ | 6,350 |
| 37 |
|
アフリカ | 5,974 |
| 38 |
|
アフリカ | 5,100 |
| 39 |
|
ヨーロッパ | 4,272 |
| 40 |
|
アジア | 3,887 |
| 41 |
|
アフリカ | 3,650 |
| 42 |
|
アジア | 3,271 |
| 43 |
|
アフリカ | 2,612 |
| 44 |
|
ヨーロッパ | 2,500 |
| 45 |
|
アフリカ | 2,392 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 1,716 |
| 47 |
|
アジア | 1,700 |
| 48 |
|
ヨーロッパ | 1,658 |
| 49 |
|
アフリカ | 1,500 |
| 50 |
|
アフリカ | 1,410 |
| 51 |
|
南アメリカ | 1,252 |
| 52 |
|
アジア | 1,200 |
| 53 |
|
南アメリカ | 1,100 |
| 54 |
|
アジア | 1,000 |
| 55 |
|
北アメリカ | 925 |
| 56 |
|
ヨーロッパ | 635 |
| 57 |
|
アジア | 600 |
| 58 |
|
アジア | 600 |
| 59 |
|
ヨーロッパ | 560 |
| 60 |
|
ヨーロッパ | 522 |
| 61 |
|
アジア | 470 |
| 62 |
|
南アメリカ | 435 |
| 63 |
|
アジア | 400 |
| 64 |
|
アフリカ | 330 |
| 65 |
|
アジア | 215 |
| 66 |
|
ヨーロッパ | 180 |
| 67 |
|
ヨーロッパ | 110 |
| 68 |
|
アジア | 56 |
| 69 |
|
アジア | 41 |
| 70 |
|
ヨーロッパ | 35 |
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1978年の羊の毛生産量ランキングは、オーストラリアやニュージーランドといったオセアニア地域が世界的に大きなシェアを占め、羊の毛生産において重要な役割を果たしていることを示しています。この時期のオーストラリアはその羊の放牧地に恵まれた環境と長い羊毛生産の歴史に支えられ、約68万トン超という圧倒的な生産能力を誇りました。ニュージーランドもまた同地域に属し、有利な気候と肥沃な土地を活かして独自の羊毛産業を発展させ、世界第2位の310,804トンを記録しています。これら2国だけで世界の羊毛生産量の約60%を占めている計算となり、非常に特徴的な集中が見られます。
3位のアルゼンチンは160,000トンで、オーストラリアやニュージーランドに次ぐ愛畜地帯として南アメリカを代表しています。この他中国や南アフリカ、ウルグアイも安定して生産を行い、それぞれ137,700トン、105,900トン、58,316トンという実績を出していますが、これらの数値は上位2か国に比べまだ大きな差があります。
羊毛生産の地理的な分布はその地域特有の地政学的条件と密接に関係しています。例えば、オセアニア地域の広大な放牧地と貿易の利便性が生産を後押ししている一方で、アジアやヨーロッパ諸国、ならびにアフリカでは気候や経済的条件、さらには地政学的課題が生産能力を制限しています。また、労働力の確保とインフラの未整備が生産にとっての障壁となっている地域も少なくありません。
今後の課題としては、環境保護の観点から羊牧草地の管理や土地の劣化防止、そして気候変動に伴う生産環境の変化への対応が挙げられます。例えば、乾燥化や異常気象への対策を強めることや、効率的な放牧養羊システムの開発によって、持続可能な羊毛生産を達成することが求められるでしょう。
さらに、各国の技術開発や農業政策を活用することで、地理的に偏在する生産基盤を広げることも必要です。一例として、中国やインドなどのアジア諸国では、既存の農業技術を羊毛産業に適用することで、生産量の向上が期待されます。また、アフリカ地域でも南アフリカ以外の国々における支援政策や技術導入を通じて、新たな羊毛産業の発展が可能です。
他方、輸出入の観点でも各国間協力が重要です。オーストラリアやニュージーランドのような主要供給国は、世界市場の安定供給を維持する必要があります。そのため、適正価格管理や羊毛貿易の透明性を確保し、紛争や保護貿易主義による市場混乱を防ぐことが懸念点となります。特に、貿易摩擦や地域的な紛争が主要生産国の輸出路を阻害するような事態は、全体の供給バランスに影響を及ぼす可能性があります。
結論として、1978年のデータはオーストラリアやニュージーランドが羊の毛の世界的な生産をリードしていたことを示しつつ、地域間の大きな格差も浮き彫りにしています。持続可能な生産体系の構築、気候変動への対応、地域間の技術力の格差を埋める取り組みが急務であり、国際的な協力と情報共有による解決策が求められています。