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イタリアのバナナ生産量の推移【1961年~2023年】世界ランキング・統計データ

国際連合食糧農業機関(FAO)の2024年7月更新データによると、イタリアのバナナ生産量は1961年からの長期的なデータを通じて、変動が顕著にみられます。特に、1960年代半ばから1970年代初頭までは年平均700~900トンでしたが、その後1973年以降に急減し、1980年代には最低30トンという低水準に落ち込みました。その後、1990年以降は徐々に回復し、2000年代には概ね400トン前後で推移しましたが、2017年時点では341トンとやや減少傾向が見られます。このデータは、イタリアの農業政策、気候条件、地政学的リスクなどがバナナの生産にどのように影響を及ぼしているかを振り返るポイントとなります。

年度 生産量(トン) 増減率
2017年 341
-1.19% ↓
2016年 345
-1.25% ↓
2015年 349
-1% ↓
2014年 353
0.09% ↑
2013年 352
3.65% ↑
2012年 340
-5.27% ↓
2011年 359
1.4% ↑
2010年 354
-0.43% ↓
2009年 355
1.57% ↑
2008年 350
-12.5% ↓
2007年 400
-11.11% ↓
2006年 450
9.45% ↑
2005年 411
-1.43% ↓
2004年 417
4.45% ↑
2003年 399
0.66% ↑
2002年 397
2.69% ↑
2001年 386
-0.29% ↓
2000年 387
6.57% ↑
1999年 364
-4.13% ↓
1998年 379
-5.19% ↓
1997年 400
-20% ↓
1996年 500
25% ↑
1995年 400 -
1994年 400
0.5% ↑
1993年 398 -
1992年 398
-20.4% ↓
1991年 500
13.64% ↑
1990年 440
2.33% ↑
1989年 430
1333.33% ↑
1988年 30 -
1987年 30 -
1986年 30
-62.5% ↓
1985年 80
-20% ↓
1984年 100 -
1983年 100 -
1982年 100 -
1981年 100 -
1980年 100 -
1979年 100 -
1978年 100 -
1977年 100 -
1976年 100 -
1975年 100 -
1974年 100 -
1973年 100
-87.5% ↓
1972年 800 -
1971年 800
-11.11% ↓
1970年 900 -
1969年 900 -
1968年 900 -
1967年 900
28.57% ↑
1966年 700 -
1965年 700 -
1964年 700 -
1963年 700 -
1962年 700 -
1961年 700 -
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イタリアのバナナ生産量の推移を詳細に見ると、大きく三つの特徴的な時期が浮かび上がります。最初の時期は1960年代から1970年代初頭で、バナナの生産量が概ね年平均700~900トンに達していました。この当時、イタリア国内での栽培が比較的安定しており、気候条件と適切な農業技術の活用によって一定の需要を満たすことが可能だったと考えられます。

しかしながら、1973年を境に生産量が著しい低下を見せ、1980年代には最小で80トン、さらには一時的に30トンまで落ち込みました。この急激な減少の背景には、イタリアのバナナ生産地が小規模で、主に地中海性気候に適応した品種が栽培されていた一方で、気候変動や都市化による農地の減少、さらに他国からの輸入バナナとの激しい競争が影響していたと推測されます。また、この期間はイタリア国内の政策変更や農業への投資減少も、長期的な影響を与えた可能性が高いです。

1990年以降、イタリアのバナナ生産は再び回復の兆しを見せ、生産量は400トン台を維持するようになりました。これは、特にシチリア島のような南イタリア地域での小規模農家による品種改良が寄与したと言われています。一部の影響力のある農家が気候レジリエンス(気候変化に対する耐性)を考慮した栽培法を取り入れることで、持続可能な形で生産を続ける試みがなされました。しかし、2017年時点では341トンまで減少しており、再び緩やかな下落傾向にあります。

イタリアのバナナ生産は他国と比較しても特異的な位置にあります。例えば、インドや中国といった世界有数のバナナ生産国では、年間生産量が数百万トンに上るのに対し、イタリアの生産量は非常に限られています。これはイタリアが消費の多くを輸入に依存している現状とも関係があります。同時に、イタリア国内での地理的条件や栽培技術の限界も顕著です。加えて、アメリカやエクアドルといった輸出国との競争も厳しく、国内市場での競争力を高める課題があります。

今後の課題としては、まず気候変動への対応が急務です。イタリアは地中海性気候が中心ですが、夏の高温や乾燥、冬の冷え込みといった極端な気象条件が、これまで以上にバナナ生産へ影響を及ぼす可能性があります。更に、国内農家が持続可能な農業を確立するためには、政府による補助金や気候に適応した新品種の研究開発が鍵となります。地域間での協力体制を強化し、小規模プレイヤーでも市場参入が可能な生産ネットワークの構築が重要です。

また、イタリアのバナナ生産の低迷と密接に関連して輸入量の増加が見られます。これにより国内の消費者は価格の安い輸入バナナを選ぶ傾向が強まり、国内産の需要がさらに減退しています。この現象は、国内の農家が市場競争力を失うリスクを高める要因となっています。こうした状況を改善するためには、地場産バナナのブランド化を進め、マーケットでの付加価値を高めることが考えられます。また、地域特有の気候を活かした「イタリア産バナナ」の差別化戦略も効果的です。

結論として、イタリアのバナナ生産量は長期的には減少傾向にある一方で、その背景には気候変動、競争激化、政策的不備などが複雑に絡み合っています。今後、この分野の成長を促進するためには、気候適応型農業技術の導入、持続可能な農地利用、国際的な輸入競争への対抗策が求められます。また、国内農業の小規模プレイヤーを育成するための財政的支援や技術的教育プログラムの拡充が、地域経済の活性化にとっても重要となるでしょう。

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