国際連合食糧農業機関(FAO)の1981年度の羊毛生産量データによると、世界で最も羊の毛を生産していた国はオーストラリア(701,150トン)で、2位のニュージーランド(380,700トン)に大きく差をつけていました。3位には中国が189,000トンで続き、アルゼンチン(165,136トン)と南アフリカ(104,500トン)がそれに追随しました。上位5か国で全体の生産量の大部分を占めており、特にオセアニア地域が圧倒的なシェアを持つことが特徴的です。一方で、日本を含む東アジアやヨーロッパの多くの国は、生産量が比較的少ない状況にあることが確認できます。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
オセアニア | 701,150 |
| 2 |
|
オセアニア | 380,700 |
| 3 |
|
アジア | 189,000 |
| 4 |
|
南アメリカ | 165,136 |
| 5 |
|
アフリカ | 104,500 |
| 6 |
|
南アメリカ | 74,603 |
| 7 |
|
アジア | 62,310 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 50,521 |
| 9 |
|
北アメリカ | 50,320 |
| 10 |
|
アジア | 38,900 |
| 11 |
|
ヨーロッパ | 35,961 |
| 12 |
|
ヨーロッパ | 34,959 |
| 13 |
|
アジア | 33,100 |
| 14 |
|
南アメリカ | 32,636 |
| 15 |
|
アジア | 32,000 |
| 16 |
|
アジア | 23,296 |
| 17 |
|
アジア | 23,000 |
| 18 |
|
ヨーロッパ | 22,200 |
| 19 |
|
南アメリカ | 21,600 |
| 20 |
|
ヨーロッパ | 20,992 |
| 21 |
|
アジア | 20,900 |
| 22 |
|
アフリカ | 20,800 |
| 23 |
|
ヨーロッパ | 16,390 |
| 24 |
|
アフリカ | 16,000 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 13,060 |
| 26 |
|
アジア | 12,531 |
| 27 |
|
アジア | 12,200 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 12,160 |
| 29 |
|
南アメリカ | 11,900 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 11,187 |
| 31 |
|
ヨーロッパ | 10,186 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 10,100 |
| 33 |
|
南アメリカ | 9,060 |
| 34 |
|
アフリカ | 9,000 |
| 35 |
|
ヨーロッパ | 8,941 |
| 36 |
|
南アメリカ | 6,656 |
| 37 |
|
アフリカ | 6,290 |
| 38 |
|
ヨーロッパ | 4,665 |
| 39 |
|
アフリカ | 4,400 |
| 40 |
|
アジア | 3,891 |
| 41 |
|
アフリカ | 3,800 |
| 42 |
|
アジア | 3,300 |
| 43 |
|
ヨーロッパ | 3,000 |
| 44 |
|
アフリカ | 2,663 |
| 45 |
|
アフリカ | 2,227 |
| 46 |
|
アジア | 2,146 |
| 47 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 48 |
|
ヨーロッパ | 1,660 |
| 49 |
|
ヨーロッパ | 1,659 |
| 50 |
|
南アメリカ | 1,457 |
| 51 |
|
北アメリカ | 1,407 |
| 52 |
|
南アメリカ | 1,250 |
| 53 |
|
アジア | 1,000 |
| 54 |
|
アフリカ | 940 |
| 55 |
|
アジア | 700 |
| 56 |
|
ヨーロッパ | 638 |
| 57 |
|
アジア | 630 |
| 58 |
|
ヨーロッパ | 600 |
| 59 |
|
アジア | 600 |
| 60 |
|
ヨーロッパ | 581 |
| 61 |
|
アジア | 531 |
| 62 |
|
南アメリカ | 514 |
| 63 |
|
アジア | 418 |
| 64 |
|
アフリカ | 360 |
| 65 |
|
アジア | 250 |
| 66 |
|
ヨーロッパ | 200 |
| 67 |
|
ヨーロッパ | 75 |
| 68 |
|
アジア | 67 |
| 69 |
|
アジア | 43 |
| 70 |
|
ヨーロッパ | 35 |
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1981年度の羊毛生産量ランキングデータは、世界各国がどのように羊毛生産に依存していたかを明らかにしています。このデータは、繊維産業を支える天然資源としての羊毛の重要性や、各国の地理的条件がその生産にどのように影響を与えるかを非常に具体的に示しています。
世界のランキングでは、オーストラリアが圧倒的な生産量で1位を占めており、これはその広大な牧草地域と温帯気候が、羊の繁殖と羊毛の高品質生産を可能にしているためです。同じくオセアニアのニュージーランドも2位にランクインしており、この地域の産業基盤が羊毛生産に依存していることが見て取れます。オーストラリアとニュージーランドだけで、世界全体の羊毛生産において重要なシェアを占めている点は特筆に値します。
一方で、中国が3位にランクインしていることも重要なポイントです。1981年当時、中国は経済面で発展途上であったものの、広大な草原地帯を背景に、大量の羊毛生産を行っていました。この順位は、その後の経済発展や技術革新によってさらに飛躍的に拡大していく可能性を秘めていました。他にはラテンアメリカ地域ではアルゼンチンが大きく注目される一方で、南アフリカも同地域での主導的な地位を示しています。
ヨーロッパに目を向けると、イギリスをはじめとする各国の羊毛生産量は全体的に限られています。これは、地理的特徴の違いや、土地利用と気候条件が主因とされています。例えばイギリス(50,521トン)とルーマニア(35,961トン)が欧州地域の生産を牽引していましたが、その規模はオセアニアやアジアの主要国に比べると小さなものでした。
このデータから見える課題として、羊毛生産が特定の地域や国に集中している構造が挙げられます。このような集中は、気候変動に伴う自然条件の変化や国際市場の需要変動に大きな影響を受けやすい脆弱性を生み出す可能性があります。特に、持続可能な牧草地の管理や、気候変動への対応策の必要性が今後さらに高まるでしょう。また、発展途上国においては羊毛生産の拡大が可能と考えられるものの、技術やインフラの不足が障壁となりやすい現状があります。インドやパキスタン、モンゴルなどは潜在的な生産能力を有しつつも、上位国に比べればまだ発展途上の段階にあります。
将来的に、この集中構造を緩和するためには、国際機関や先進国による技術移転や資金援助が鍵となるでしょう。また、地域間での協力体制を構築し、低コストで高品質な生産を可能にする戦略的枠組みが重要です。例えば、羊毛生産をマーケティングと結びつけ、地域ブランドの強化や輸出促進を図る取り組みが有効でしょう。
結論として、1981年度に見る羊毛生産の動態は、オセアニアやラテンアメリカの特定地域に大きく依存する非対称な状況が現れており、これが持続可能性の観点で将来的課題となることが示唆されます。特に、地政学的リスクや気候変動への対応が求められる現代では、地域間のネットワークを通じた産業の多様化やバックアップ体制の整備が重要です。このようなアプローチが、羊毛供給の安定や新たな経済発展の可能性を支える道となるでしょう。