国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した最新データによると、1965年の羊の毛生産量ランキングでは、オーストラリアが809,200トンで圧倒的な1位を占めています。第2位はニュージーランド(315,200トン)、第3位がアルゼンチン(186,000トン)となっており、上位3国だけで全体の羊毛生産量の大部分を占めていることが分かります。一方、日本は800トンで総合56位となっており、国内での羊毛生産が非常に限定的なことが明らかになっています。
| 順位 | 国名 | 地域 | 生産量(トン) |
|---|---|---|---|
| 1 |
|
オセアニア | 809,200 |
| 2 |
|
オセアニア | 315,200 |
| 3 |
|
南アメリカ | 186,000 |
| 4 |
|
アフリカ | 148,400 |
| 5 |
|
北アメリカ | 109,349 |
| 6 |
|
アジア | 100,000 |
| 7 |
|
南アメリカ | 73,315 |
| 8 |
|
ヨーロッパ | 58,600 |
| 9 |
|
アジア | 43,000 |
| 10 |
|
アジア | 34,545 |
| 11 |
|
アジア | 33,700 |
| 12 |
|
南アメリカ | 29,075 |
| 13 |
|
ヨーロッパ | 25,800 |
| 14 |
|
ヨーロッパ | 25,500 |
| 15 |
|
ヨーロッパ | 25,400 |
| 16 |
|
アジア | 25,000 |
| 17 |
|
ヨーロッパ | 24,409 |
| 18 |
|
南アメリカ | 23,600 |
| 19 |
|
アジア | 19,100 |
| 20 |
|
アジア | 18,600 |
| 21 |
|
ヨーロッパ | 13,386 |
| 22 |
|
アジア | 13,200 |
| 23 |
|
アフリカ | 13,000 |
| 24 |
|
アジア | 12,700 |
| 25 |
|
ヨーロッパ | 12,000 |
| 26 |
|
南アメリカ | 11,875 |
| 27 |
|
ヨーロッパ | 11,800 |
| 28 |
|
ヨーロッパ | 11,400 |
| 29 |
|
アジア | 10,950 |
| 30 |
|
ヨーロッパ | 10,100 |
| 31 |
|
アフリカ | 8,250 |
| 32 |
|
ヨーロッパ | 7,983 |
| 33 |
|
南アメリカ | 7,800 |
| 34 |
|
ヨーロッパ | 7,500 |
| 35 |
|
南アメリカ | 6,144 |
| 36 |
|
ヨーロッパ | 5,000 |
| 37 |
|
アフリカ | 5,000 |
| 38 |
|
アフリカ | 4,200 |
| 39 |
|
アフリカ | 3,800 |
| 40 |
|
アジア | 3,128 |
| 41 |
|
アフリカ | 2,850 |
| 42 |
|
ヨーロッパ | 2,850 |
| 43 |
|
アジア | 2,800 |
| 44 |
|
アフリカ | 2,800 |
| 45 |
|
アフリカ | 2,630 |
| 46 |
|
ヨーロッパ | 2,100 |
| 47 |
|
北アメリカ | 2,048 |
| 48 |
|
アフリカ | 2,000 |
| 49 |
|
ヨーロッパ | 2,000 |
| 50 |
|
アジア | 1,985 |
| 51 |
|
アジア | 1,617 |
| 52 |
|
南アメリカ | 1,400 |
| 53 |
|
南アメリカ | 906 |
| 54 |
|
アジア | 900 |
| 55 |
|
アフリカ | 800 |
| 56 |
|
アジア | 800 |
| 57 |
|
ヨーロッパ | 510 |
| 58 |
|
アジア | 478 |
| 59 |
|
アジア | 470 |
| 60 |
|
ヨーロッパ | 400 |
| 61 |
|
ヨーロッパ | 400 |
| 62 |
|
アジア | 400 |
| 63 |
|
アフリカ | 300 |
| 64 |
|
ヨーロッパ | 300 |
| 65 |
|
南アメリカ | 280 |
| 66 |
|
アジア | 210 |
| 67 |
|
ヨーロッパ | 200 |
| 68 |
|
アジア | 171 |
| 69 |
|
アジア | 44 |
| 70 |
|
アジア | 31 |
| 71 |
|
ヨーロッパ | 25 |
| + すべての国を見る | |||
1965年の羊の毛生産量データを見ると、オーストラリアが他国を大きく引き離して首位に立っています。オーストラリアは適度な気候条件や広大な牧草地が羊の飼育に最適であり、特にメリノ種の羊毛は高品質なテキスタイル製品に使用されることで国際的に高い評価を得ています。ニュージーランドもその類似条件のおかげで第2位を誇り、羊毛生産が国内経済にとって主要な柱となっています。アルゼンチン、南アフリカ、アメリカ合衆国といった順位の高い国々は、広大な土地と過去の羊毛産業への投資が現在のランキングに寄与していると考えられます。
このランキングは、気候や土地条件だけでなく、羊毛需要によっても大きな影響を受けています。オーストラリアやニュージーランドの羊毛生産がリードしている背景には、ヨーロッパをはじめとした工業国からの羊毛需要が大きく関与しています。一方、56位の日本を見てみると、国内の羊毛生産が非常に小規模にとどまっています。これは、日本の気候や地形が羊の大規模な飼育に適していないことや、国内での羊毛資源への依存が低いことによるものです。
興味深いことに、中国の羊毛生産量は100,000トンで6位につけており、20世紀後半から台頭し始める工業国としての中国の成長がすでにこの時期から羊毛市場に影響を与え始めている様子がうかがえます。一方、ヨーロッパの主要国(例えばイギリスやフランス)は生産量において中位に位置しており、その生産規模がオーストラリアやニュージーランドには及んでいないことが顕著です。
このデータが示す課題の一つとして、経済発展と持続可能な牧畜の両立が挙げられます。特に上位の国々では、大規模生産が環境に与える影響が懸念されています。広大な牧草地を確保するための土地利用や飼育における水資源の消費など、これからは環境保護と産業発展をバランスよく進める必要があります。同時に、中位・下位の国々では、産業化の面での課題が浮き彫りになります。例えばインドや南米諸国においては、羊毛生産の技術革新や市場開拓が十分でないため、さらなる投資が経済の多角化に寄与する可能性があります。
地政学的に見ると、羊毛生産量が低い国が抱える課題が貧困や紛争、あるいは気候変動の影響による農業・牧畜の停滞と結びついている場合が多いです。たとえば、アフガニスタンやイエメンといった国内での安定性に課題を抱える国々は、このような生産労働に十分なリソースを割くことが難しい状況にあります。その一方で、気候変動による影響を鑑みた国際協力の枠組みが必要であると考えられます。
未来の展望として、より持続可能で効率的な羊毛生産を目指すための取り組みが挙げられます。例えば、牧草地の最適化や水の利用効率を高める技術、さらには気候適応型の羊種の開発などが有効となるでしょう。また、下位の国々には国際的な技術支援や市場参入のチャンスを創り出す政策が必要です。羊毛産業の持続的発展には、単に生産量を増加させるだけでなく、環境との調和と社会的安定への配慮が不可欠であることを忘れてはなりません。
結論として、1965年の羊毛生産データは各国の気候条件や資源管理、さらには地政学的状況が産業発展にいかに影響を与えるかを示しています。今後の国際的な共同行動と政策形成が、持続可能で公平な羊毛産業の発展に重要な役割を果たすと期待されます。