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世界の羊の毛生産量ランキング【1961〜2023】国別推移・年間比較データ

国際連合食糧農業機関(FAO)が提示した2015年の羊毛生産量データによると、世界で最も多くの羊毛を生産した国は中国(413,134トン)でした。続いてオーストラリア(363,824トン)とニュージーランド(147,731トン)が2位と3位にランクインし、これらの3カ国が羊毛の世界的な生産を大きくリードしています。一方、日本はこのランキングには登場しておらず、国内の羊毛生産が相対的に低水準であることがうかがえます。

順位 国名 地域 生産量(トン)
1 中国国旗 中国 アジア 413,134
2 オーストラリア国旗 オーストラリア オセアニア 363,824
3 ニュージーランド国旗 ニュージーランド オセアニア 147,731
4 イギリス国旗 イギリス ヨーロッパ 68,390
5 モロッコ国旗 モロッコ アフリカ 60,204
6 トルコ国旗 トルコ アジア 59,196
7 イラン(イスラム共和国)国旗 イラン(イスラム共和国) アジア 56,453
8 ロシア連邦国旗 ロシア連邦 ヨーロッパ 55,644
9 南アフリカ国旗 南アフリカ アフリカ 49,788
10 アルゼンチン国旗 アルゼンチン 南アメリカ 46,000
11 パキスタン国旗 パキスタン アジア 44,600
12 インド国旗 インド アジア 43,600
13 トルクメニスタン国旗 トルクメニスタン アジア 39,916
14 カザフスタン国旗 カザフスタン アジア 38,025
15 アルジェリア国旗 アルジェリア アフリカ 37,100
16 ウズベキスタン国旗 ウズベキスタン アジア 35,614
17 ウルグアイ国旗 ウルグアイ 南アメリカ 31,000
18 インドネシア国旗 インドネシア アジア 28,000
19 スペイン国旗 スペイン ヨーロッパ 23,336
20 シリア・アラブ共和国国旗 シリア・アラブ共和国 アジア 17,413
21 アゼルバイジャン国旗 アゼルバイジャン アジア 17,020
22 モンゴル国旗 モンゴル アジア 15,768
23 イラク国旗 イラク アジア 15,726
24 アフガニスタン国旗 アフガニスタン アジア 15,231
25 フランス国旗 フランス ヨーロッパ 14,124
26 アイルランド国旗 アイルランド ヨーロッパ 14,123
27 ドイツ国旗 ドイツ ヨーロッパ 12,426
28 アメリカ合衆国国旗 アメリカ合衆国 北アメリカ 12,270
29 キルギスタン国旗 キルギスタン アジア 11,853
30 サウジアラビア国旗 サウジアラビア アジア 11,725
31 エジプト国旗 エジプト アフリカ 11,258
32 ブラジル国旗 ブラジル 南アメリカ 10,924
33 リビア国旗 リビア アフリカ 9,808
34 ペルー国旗 ペルー 南アメリカ 8,954
35 イエメン国旗 イエメン アジア 8,728
36 タンザニア連合共和国国旗 タンザニア連合共和国 アフリカ 7,970
37 エチオピア国旗 エチオピア アフリカ 7,716
38 イタリア国旗 イタリア ヨーロッパ 7,641
39 チュニジア国旗 チュニジア アフリカ 7,610
40 ギリシャ国旗 ギリシャ ヨーロッパ 7,585
41 タジキスタン国旗 タジキスタン アジア 7,033
42 チリ国旗 チリ 南アメリカ 6,991
43 ポルトガル国旗 ポルトガル ヨーロッパ 6,148
44 メキシコ国旗 メキシコ 南アメリカ 4,975
45 コロンビア国旗 コロンビア 南アメリカ 4,310
46 ヨルダン国旗 ヨルダン アジア 4,160
47 ノルウェー国旗 ノルウェー ヨーロッパ 4,031
48 ハンガリー国旗 ハンガリー ヨーロッパ 3,840
49 レソト国旗 レソト アフリカ 3,690
50 オランダ国旗 オランダ ヨーロッパ 3,199
51 ブルガリア国旗 ブルガリア ヨーロッパ 3,154
52 アルバニア国旗 アルバニア ヨーロッパ 3,115
53 セルビア国旗 セルビア ヨーロッパ 2,769
54 ジンバブエ国旗 ジンバブエ アフリカ 2,681
55 レバノン国旗 レバノン アジア 2,518
56 バングラデシュ国旗 バングラデシュ アジア 2,340
57 グルジア国旗 グルジア アジア 2,300
58 ウクライナ国旗 ウクライナ ヨーロッパ 2,270
59 ケニア国旗 ケニア アフリカ 2,050
60 モルドバ共和国国旗 モルドバ共和国 ヨーロッパ 1,899
61 ボリビア (多民族国家)国旗 ボリビア (多民族国家) 南アメリカ 1,885
62 アルメニア国旗 アルメニア アジア 1,571
63 ナミビア国旗 ナミビア アフリカ 1,500
64 ボスニア・ヘルツェゴビナ国旗 ボスニア・ヘルツェゴビナ ヨーロッパ 1,391
65 カナダ国旗 カナダ 北アメリカ 1,291
66 エリトリア国旗 エリトリア アフリカ 1,237
67 イスラエル国旗 イスラエル アジア 1,122
68 パラグアイ国旗 パラグアイ 南アメリカ 1,083
69 クロアチア国旗 クロアチア ヨーロッパ 1,031
70 エクアドル国旗 エクアドル 南アメリカ 989
71 アイスランド国旗 アイスランド ヨーロッパ 977
72 北マケドニア国旗 北マケドニア ヨーロッパ 955
73 オーストリア国旗 オーストリア ヨーロッパ 932
74 スロバキア国旗 スロバキア ヨーロッパ 793
75 クウェート国旗 クウェート アジア 756
76 ミャンマー国旗 ミャンマー アジア 715
77 ポーランド国旗 ポーランド ヨーロッパ 693
78 スイス国旗 スイス ヨーロッパ 595
79 ネパール国旗 ネパール アジア 587
80 マリ国旗 マリ アフリカ 305
81 キプロス国旗 キプロス アジア 263
82 リトアニア国旗 リトアニア ヨーロッパ 256
83 モンテネグロ国旗 モンテネグロ ヨーロッパ 254
84 チェコ国旗 チェコ ヨーロッパ 211
85 ラトビア国旗 ラトビア ヨーロッパ 197
86 デンマーク国旗 デンマーク ヨーロッパ 166
87 スロベニア国旗 スロベニア ヨーロッパ 162
88 マレーシア国旗 マレーシア アジア 158
89 スウェーデン国旗 スウェーデン ヨーロッパ 140
90 ベラルーシ国旗 ベラルーシ ヨーロッパ 131
91 エストニア国旗 エストニア ヨーロッパ 108
92 フィンランド国旗 フィンランド ヨーロッパ 78
93 マルタ国旗 マルタ ヨーロッパ 26
94 ルクセンブルク国旗 ルクセンブルク ヨーロッパ 18
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2015年のデータを見ると、中国が世界の羊毛生産において他国を大きく引き離し、圧倒的な首位となりました。これは、中国が広大な国土と豊富な牧草地を持ち、羊の大規模な飼育が可能であることが主要な要因です。また、国内での羊毛需要の高まりや農業政策の支援が、生産量の増加に寄与していると考えられます。オーストラリアとニュージーランドも気候や土地条件が羊の飼育に非常に適しており、歴史的に高品質な羊毛を産出してきたことで知られています。これらの上位3国が世界の羊毛市場をリードしていることは、データから明らかです。

ヨーロッパ諸国を見ると、イギリスが68,390トンを生産し、ヨーロッパ内でトップですが、世界全体では4位にとどまります。フランス(14,124トン)、ドイツ(12,426トン)なども生産はしていますが、他の大陸の大規模生産国との比較では総量に大きな差が見られます。これは欧州が品質重視の生産体系を採用しているためであり、高級羊毛を主に市場に供給している背景があります。ただし、これらの国々では羊飼育の減少や農業従事者の減少といった課題があり、産業の持続可能性が問われています。

アフリカの国々では特にモロッコや南アフリカがランクインしています。モロッコは60,204トンとアフリカでのトップで、穏やかな気候条件が羊毛生産を支えています。しかし、他のアフリカ諸国では羊毛の生産量は比較的少なく、気候変動や土地の砂漠化などが生産の拡大を阻む要因となっています。

アジアでは、中国以外にもトルコ(59,196トン)、イラン(56,453トン)、パキスタン(44,600トン)、インド(43,600トン)がランクインしています。いずれも国土が広く、農業人口が多いため、羊毛生産に適した地域を多く有している国々です。この地域では国内需要も高く、特に衣料品産業との結びつきが強い点が特徴です。しかし、この地域では都市化の進展や土地の利用競争が、生産量の変化に影響を与える可能性がさらに高まっています。

日本に目を向けた場合、羊毛の生産は国内では極めて少ない状況です。季節や土地の制約、さらには農業人口の減少や畜産業の観光化(観光牧場の運営など)などが影響していると考えられます。一方で、羊毛を輸入に依存していることから、羊毛の輸入価格や国際市況の影響を受けやすい面もあります。

地政学的背景を考慮すると、南米の生産国であるアルゼンチンやウルグアイは羊毛産業にとって重要な国である一方、気候変動や不安定な政策状況が将来の生産量にリスクをもたらす可能性があります。また、中東諸国や北アフリカにおいては、紛争や持続可能な水資源の管理問題が生産量を左右する重要な要因になります。

今後の課題として、羊毛生産においては気候変動への対応が避けて通れません。砂漠化や異常気象により、草地の劣化が懸念されるため、適応的な農法の導入や持続可能な牧草地管理が必要です。また、各国の政策支援や国際協力の推進が、効果的な課題解決の鍵を握ります。例えば、中国やオーストラリアが積極的に進めるスマート農業技術の活用は、他国にとっても有益なモデルとなる可能性があります。加えて、市場の動向を見据えながら、供給網の効率化や品質向上も重要なテーマとなるでしょう。

総じて、2015年のデータは、羊毛生産が特定の国々に著しく集中している現状を示しています。しかし、気候変動や地政学的リスク、都市化が各国に異なる課題をもたらしており、これらの変化に適応するための国際的な取り組みが必要になっています。FAOやWTO(世界貿易機関)などの国際機関の役割がますます重要になると考えられます。

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