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イタリアのニンニク生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が公開した最新データによると、イタリアのニンニク生産量は1961年から2023年までの期間、全体的に減少傾向を示しています。1960年代には平均して60,000トン台を維持していたものの、その後徐々に生産量が減少し、2023年には26,730トンと、1961年と比較して約54%下回る水準となっています。ここ数十年の統計では、2000年代以降は概ね30,000トンを下回る状況が維持されており、近年はさらに低下傾向が続いていることが確認されています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 26,730
-4.09% ↓
2022年 27,870
-2.76% ↓
2021年 28,660
2.47% ↑
2020年 27,970
-4.44% ↓
2019年 29,270
-4.03% ↓
2018年 30,500
1.72% ↑
2017年 29,983
1.4% ↑
2016年 29,568
9.02% ↑
2015年 27,123
-7.26% ↓
2014年 29,248
2.97% ↑
2013年 28,405
4.8% ↑
2012年 27,104
-11.38% ↓
2011年 30,585
3.14% ↑
2010年 29,655
12.32% ↑
2009年 26,403
-2.06% ↓
2008年 26,958
-6.4% ↓
2007年 28,800
1.61% ↑
2006年 28,344
-4.24% ↓
2005年 29,598
10.41% ↑
2004年 26,807
5.81% ↑
2003年 25,334
-9.75% ↓
2002年 28,070
-18.64% ↓
2001年 34,500
9.04% ↑
2000年 31,639
6.8% ↑
1999年 29,624
-14.13% ↓
1998年 34,500
0.88% ↑
1997年 34,200
-7.57% ↓
1996年 37,000
6.02% ↑
1995年 34,900
-11.32% ↓
1994年 39,355
-1.01% ↓
1993年 39,757
-3.57% ↓
1992年 41,230
-3.67% ↓
1991年 42,800
3.88% ↑
1990年 41,200
2.49% ↑
1989年 40,200
-10.47% ↓
1988年 44,900
-2.81% ↓
1987年 46,200
0.87% ↑
1986年 45,800
4.09% ↑
1985年 44,000
-7.37% ↓
1984年 47,500
-7.77% ↓
1983年 51,500
5.1% ↑
1982年 49,000
-2.2% ↓
1981年 50,100
-4.39% ↓
1980年 52,400
-4.9% ↓
1979年 55,100
3.18% ↑
1978年 53,400
0.56% ↑
1977年 53,100
-5.85% ↓
1976年 56,400
-8.14% ↓
1975年 61,400
-6.32% ↓
1974年 65,540
6.24% ↑
1973年 61,690
-1.92% ↓
1972年 62,900
-4.81% ↓
1971年 66,080
-2.54% ↓
1970年 67,800
-6.92% ↓
1969年 72,840
6.62% ↑
1968年 68,320
2.28% ↑
1967年 66,800
0.45% ↑
1966年 66,500
-4.45% ↓
1965年 69,600
7.44% ↑
1964年 64,780
6.55% ↑
1963年 60,800
8.77% ↑
1962年 55,900
-2.61% ↓
1961年 57,400 -

イタリアは中世以来、ヨーロッパの農業大国としてその地位を築いており、とりわけニンニクの生産は地中海料理の重要な食材として多くの地域に供給されていました。しかしながら、1961年に記録された57,400トンの生産量はその後減少傾向をたどり、2023年には26,730トンまで減少しています。この生産量の減少には、いくつかの要因が影響を与えています。

まず、農地利用の変化が生産量の低下につながっています。イタリアでは人口密度の増加や都市化により農地が縮小し、ニンニクを含む作物の生産に割ける土地が減少しています。また、他の収益性の高い作物に生産を切り替える動きも見られます。さらに、海外からの安価なニンニク輸入が増加し、国内生産の競争力に影響を及ぼしていることも重要な要因です。特に、中国は世界最大のニンニク輸出国であり、価格競争が激化した結果、イタリアの小規模農家には厳しい状況が続いています。

また、農業分野全体で高齢化と若い働き手の減少が進行しており、ニンニク生産にも影響を与えています。農業労働者の不足や世代交代の遅れが、生産技術の革新や効率化の停滞を引き起こしていると言えます。これに加え、気候変動もまた作物生産に影響を与える重要な要因です。イタリアは地中海性気候の中で異常気象や干ばつが増加しており、作物の収量減少を加速させています。

現在の減少傾向が続く場合、イタリアの食糧自給率の観点からも課題が生じます。ヨーロッパ諸国間のデータを比較すると、例えばフランスやスペインなど他の地中海性気候を持つ国々では似たような課題を抱えていますが、一部では地域特産品のブランド化や輸出政策の強化を通じて生産量を下支えする取り組みが進行しています。

今後、ニンニクの生産量を安定化させるにはいくつかの対策が考えられます。例えば、農業技術を革新し、収穫効率を向上させることで競争力を高めることが可能です。さらに、地理的表示(GI)を通じたブランド力向上や有機農業へのシフトは、イタリア産ニンニクを他国産との差別化する重要な戦略となるでしょう。また、政府や国際機関による農家支援が不可欠です。具体的な支援策としては、低利融資プログラムの提供や気候変動に適応した農業技術の普及が考えられます。

最後に、長期的な視点では、若者を農業分野に呼び込む取り組みや、地域間協力を通じた輸出市場の再構築が求められます。特に、地政学的リスクを背景とした食糧安全保障の重要性が増している今、国内農業の復興は国家やEUレベルでの緊急かつ重要な課題と言えるでしょう。

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