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イタリアのレモン・ライム生産量推移(1961年~2023年)

国際連合食糧農業機関(FAO)が発表したデータによれば、イタリアのレモン・ライムの生産量は、1961年の約49万8千トンから年々大きな変動を伴いながら推移しています。最盛期は1968年から1983年の期間で、特に1983年には約85万6千トンの最高値を記録しました。しかし、その後、生産量は全体的に減少傾向を示し、2023年には約47万3千トン程度となりました。直近10年間では、約30万~40万トン台に落ち込みその水準で推移しています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 472,960
-0.7% ↓
2022年 476,310
2% ↑
2021年 466,990
-1.33% ↓
2020年 473,280
6.13% ↑
2019年 445,950
5.02% ↑
2018年 424,630
1.56% ↑
2017年 418,102
-3.99% ↓
2016年 435,471
12.11% ↑
2015年 388,435
4.85% ↑
2014年 370,458
13.19% ↑
2013年 327,282
-5.5% ↓
2012年 346,325
-28.31% ↓
2011年 483,088
-7.52% ↓
2010年 522,377
-4.07% ↓
2009年 544,532
5.02% ↑
2008年 518,500
-6.81% ↓
2007年 556,417
-2.92% ↓
2006年 573,171
-5.01% ↓
2005年 603,392
3.42% ↑
2004年 583,443
12.17% ↑
2003年 520,128
6.93% ↑
2002年 486,410
-11.01% ↓
2001年 546,600
-10.86% ↓
2000年 613,205
12.77% ↑
1999年 543,744
18.31% ↑
1998年 459,600
-20.18% ↓
1997年 575,805
-5.55% ↓
1996年 609,664
11.91% ↑
1995年 544,801
-1.32% ↓
1994年 552,064
-25.82% ↓
1993年 744,260
-0.39% ↓
1992年 747,202
4.51% ↑
1991年 714,940
11.96% ↑
1990年 638,590
-4.47% ↓
1989年 668,490
-5.76% ↓
1988年 709,340
19.8% ↑
1987年 592,100
-20.25% ↓
1986年 742,420
0.46% ↑
1985年 739,000
5.55% ↑
1984年 700,130
-18.2% ↓
1983年 855,930
35.37% ↑
1982年 632,290
-20.28% ↓
1981年 793,180
13.64% ↑
1980年 697,950
-8.79% ↓
1979年 765,250
3.55% ↑
1978年 739,020
-5.14% ↓
1977年 779,090
4.74% ↑
1976年 743,800
-7.82% ↓
1975年 806,930
4.79% ↑
1974年 770,020
-0.69% ↓
1973年 775,380
12% ↑
1972年 692,325
-11.65% ↓
1971年 783,622
4.12% ↑
1970年 752,642
-3.92% ↓
1969年 783,318
-2.83% ↓
1968年 806,150
19.11% ↑
1967年 676,792
11.3% ↑
1966年 608,099
7.97% ↑
1965年 563,191
-0.38% ↓
1964年 565,361
15.13% ↑
1963年 491,078
35.39% ↑
1962年 362,715
-27.25% ↓
1961年 498,577 -

FAOの公開データを見ると、イタリアのレモン・ライムの生産量は長期間にわたって大きく変動しています。1961年から1983年にかけて、特に1970年代後半から1980年代初頭は、生産量が高水準を維持した"黄金時代"と呼べる時期がありました。この時期、輸出市場の需要が高まったことや、地中海性気候を活かした農業政策が奏功したと考えられます。しかし、これ以降の30年余りで、生産量は一貫して減少傾向を示しています。2023年では、全盛期の約半分にあたる生産量にとどまっています。

減少の主な要因として、まず、世界的な競争激化と気候変動が挙げられます。イタリアは他国、特にスペインやトルコといった地中海諸国、それだけでなくアメリカ、アルゼンチンといった非ヨーロッパ諸国との競争に直面しています。これらの国々は、大規模かつ高度な生産体制を実現しており、結果としてイタリア産のレモン・ライムが価格競争で劣る状況が続いています。また、近年頻発する異常気象――例えば高温、干ばつ、集中豪雨――は、作物の収穫量減少や質の低下に直結しています。

特に2010年代では、生産量が30万トン台となるなど、大幅な抑制が確認されます。これは、気候危機の影響に加え、耕作地の減少や、農業従事者の高齢化といった内的な社会経済問題も絡んでいる可能性があります。イタリア南部、特にシチリア島やカラブリアといった主要生産地では、より利益の出る他作物への転換も進んでいるとされています。

では、どのような対策が有効でしょうか。一つは、技術革新の導入です。例えば、ドローンによる灌漑管理やセンシング技術を用いた病害虫の早期発見など、スマート農業を普及させ、生産効率を向上させることが考えられます。また、有機農業への転換や、地域ブランドを確立することで、市場での競争力を高める手法も選択肢の一つです。さらに、EUや国際機関との協力を深め、新しい輸出市場の開発や関税の緩和といった施策も必要です。

地政学的なリスクについても留意すべきです。例えば、地中海地域の他国がより多くの輸出ルートや経済圏にアクセスを得る状況に、イタリアがどう対応するかがカギとなります。具体例として、より持続可能な農業方針を打ち出してグリーン市場向けの製品を増やし、消費者の関心を集める戦略が重要となります。

結論として、イタリアのレモン・ライム生産量の減少は、気候変動と競争環境の激化によるものが大きいですが、新技術の導入や国際的な協力体制の構築により、ポジティブな局面を迎える可能性があります。今後、国家単位だけでなく、地域コミュニティも巻き込んだ政策立案と実行が求められるでしょう。特に、農業従事者の人材確保や若手農業者の支援は喫緊の課題です。持続可能な農業の実現を目指し、地元の特性を活かした独自の競争力を育む努力が必要です。