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イタリアのキウイフルーツ生産量推移(1961年~2023年)

Food and Agriculture Organization(国際連合食糧農業機関)が発表した最新のデータによると、イタリアのキウイフルーツ生産量は長期的には着実に増加してきましたが、近年は減少傾向も見られます。2023年の生産量は391,100トンで、ここ数十年のうちで最低水準に近い結果を記録しています。一方で、2015年には598,558トンとピークを迎え、その後は全体的にばらつきのある推移をたどっています。

年度 生産量(トン) 増減率
2023年 391,100
-25.24% ↓
2022年 523,120
25.73% ↑
2021年 416,060
-20.22% ↓
2020年 521,530
-0.56% ↓
2019年 524,490
-6.71% ↓
2018年 562,190
3.89% ↑
2017年 541,150
3.35% ↑
2016年 523,595
-12.52% ↓
2015年 598,558
18.07% ↑
2014年 506,958
11.73% ↑
2013年 453,737
17.9% ↑
2012年 384,844
-10.82% ↓
2011年 431,558
3.77% ↑
2010年 415,877
-7.09% ↓
2009年 447,608
-5.56% ↓
2008年 473,955
13.66% ↑
2007年 416,997
-4.06% ↓
2006年 434,650
4.72% ↑
2005年 415,052
-3.29% ↓
2004年 429,186
32.96% ↑
2003年 322,800
-14.91% ↓
2002年 379,383
15.21% ↑
2001年 329,300
-4.74% ↓
2000年 345,692
3.63% ↑
1999年 333,596
25.79% ↑
1998年 265,200
4.04% ↑
1997年 254,903
-25.9% ↓
1996年 344,000
9.54% ↑
1995年 314,032
-8.75% ↓
1994年 344,158
10.85% ↑
1993年 310,463
-17.09% ↓
1992年 374,457
21.05% ↑
1991年 309,350
-3.87% ↓
1990年 321,820
33.87% ↑
1989年 240,390
30.5% ↑
1988年 184,200
59.73% ↑
1987年 115,320
133.91% ↑
1986年 49,300
118.63% ↑
1985年 22,550
-2.59% ↓
1984年 23,150 -

イタリアは世界のキウイフルーツ生産国の中で主要な役割を果たしています。データを詳細に分析すると、1980年代の初期にはキウイフルーツ生産量は20,000トン台にとどまっていましたが、1986年以降急速に増加し、1990年代には30万トン以上の生産規模となりました。この急成長は、ヨーロッパでの果物需要の増加と適した気候条件、また経済発展による農業技術の向上が背景として挙げられます。

2000年代初頭から2015年まで、イタリアのキウイフルーツの生産量は40万トンから60万トン台で比較的安定して推移していました。しかし、2015年の598,558トンという生産量の最高記録を境に、全体的に生産量が減少し始めました。また、2023年に至るまでの期間には大きな変動があり、特に2023年の391,100トンという生産量は2000年以降で最低クラスとなっています。

生産量の減少には多くの原因が考えられます。まず、イタリアの農業に対する気候変動の影響を無視することはできません。近年の高温や干ばつ、また冬期の寒波の影響は、果実の生育や収穫に負の影響を与えている可能性があります。さらに、疫病の拡大も課題です。キウイフルーツの栽培には、通常よりも慎重な病害管理が必要であり、特定の植物病原菌や害虫の拡大が生産量の低下に拍車をかけていると報告されています。

また、地政学的背景も無関係ではありません。イタリアはヨーロッパの心臓部として広範囲な貿易ネットワークを持ちますが、昨今のエネルギー価格高騰や供給網の混乱は農業輸出全体にも影響を及ぼしています。これらの要因に、継続する新型コロナウイルスの影響が重なることで、農業労働力の不足や物流面での遅延も課題として浮き彫りになっています。

では、イタリアのキウイフルーツ生産を活性化させるためにどのような対策が必要でしょうか。まず、気候変動への対応策として、より災害に強い農業品種の研究開発が考えられます。同時に、水資源の効率的な運用が求められます。持続可能な灌漑技術の導入や、地域ごとの生態系に適した栽培方法への切り替えが必要です。また、農業協同組合の強化や、国際機関との連携により、病害対策や輸出支援ネットワークを広げる具体的な施策も必要です。

輸出振興においては、新興市場へのアプローチ拡大が鍵になります。中国、韓国、さらに中東市場での需要が高まる中、イタリア産キウイフルーツの販路を積極的に広げることで、イタリアの農業経済への貢献を期待することができます。

現状のデータは、イタリアのキウイフルーツ生産が気候変動や疫病、地政学リスクなど複数の要因によって挑戦を受けていることを浮き彫りにしています。しかし同時に、効果的な対応策さえあれば、再び収量を安定的に向上させる余地が十分にあることも示唆しています。今後は、国や地域、さらには国際レベルでの協力体制の強化が必要不可欠です。

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